来春も「賃金改善」に取り組む/自動車総連大会

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(加藤裕治会長)は、7、8の両日、都内で定期大会を開催し、向こう2年間の運動方針を決めた。運動方針は現在、年間2,100時間程度と高止まりしている総実労働時間の短縮の取り組み強化を確認。また、組織人員が前年比5,000人増の70万5,000人と12年ぶりに増加に転じたことが報告された。役員改選があり、加藤裕治会長、萩原克彦事務局長が再任された。

賃金改善は大きく前進するも、格差拡大に歯止めかからず

大会冒頭の挨拶で加藤会長は、今春闘の成果について、加盟組合の7割超の914組合がベースアップなどの賃金改善分を要求し、約半数が有額回答となったことを受け、「賃金改善は大きく前進したが、産業内の格差拡大に歯止めがかかっていない」と指摘。ここ数年規模間、業者間の賃金格差の是正を共闘軸にすえてきたことを踏まえ、07年春闘に向けても「毎年賃金改善に取り組むことはきっちり維持したい」と述べた。また、「デフレは脱却しつつあり、物価上昇もプラス基調に転じている。物価上昇は従来の要求の考え方に立ったとき、重要」と強調。来春闘では、ベースアップ要求の必要性が高まるとの見通しを示した。そのうえで、来春闘の要求方式については、金属労協(IMF-JC)が新たな共闘軸として掲げている「大くくり職種別賃金」に「中堅技能職」で参加すると表明した。

また、自動車産業内でも非典型労働者が増加していることを受け、組織化や労働条件改善などに向けた検討を進める一方、業界における非典型労働者の人数や労働・契約条件などについて調査を行うことを明らかにした。自動車総連が非典型労働者について包括的な調査を行うのは初めて。

年間総実労働時間1,800時間台を目指す取り組みを推進

大会では、他産別に比べ高い水準にある総実労働時間の短縮に向けて取り組みを強化することが確認された。自動車総連では、1980年代後半から90年代にかけて、年間1,800時間台の達成に向けて取り組みを進めてきた経緯がある。しかし、1993年以降は年間2,100時間程度で高止まりしたままで、大きな改善は見られていない。

大会で報告された「今後の働き方・労働時間のあり方」(答申)を踏まえ、年間の総実労働時間1,800時間台を目指し、運動を展開する。答申は1,800時間台達成という単なる数値目標だけではなく、すべての単組が年休・所定外・所定とそれぞれの要素ごとに自ら目標を設定するなど、着実に前進できるよう、具体的な取り組みを提示していることが特徴となっている。

IMF書記長、解雇撤回キャンペーンへの参加を訴え

来賓挨拶した国際金属労連(IMF)のマルチェロ・マレンタッキ書記長は、フィリピン・トヨタに解雇撤回を求めるキャンペーンへの参加を呼びかけた。

同社は組合承認をめぐり、労働雇用省の公聴会に参加した233人を解雇。IMFは5月の執行委員会で解雇された労働者の原職復帰を求めるキャンペーン開始を決めている。また同氏は、多国籍企業労組がこうした問題に対処するために最も良い方法は、「国際枠組み協定(IFA)を使うこと」と指摘。多国籍企業の労使が団結権や団体交渉権などの順守を約束する国際枠組み協定の締結も訴えた。