来春も「賃金改善」に取り組む前提で/金属労協大会

(調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF-JC、200万人)は6日、都内で定期大会を開き向こう2年間の運動方針を決めた。また、政策・制度の実現の取り組みについて、連合の金属部門連絡会を基本的な活動の場に移行させることなどを柱とする総合プロジェクト会議の答申を確認した。

大会の冒頭挨拶した加藤裕治議長(自動車総連会長)は、今春闘の成果について、「5年ぶりに金属労協全体として賃金引上げに取り組み、産別がそれぞれ成果をあげ、日本経済にも一定の好影響を与えることができた。『賃金改善』という広い取り組みの枠組みを作ったことはよかったし、今後に生かしていきたい」などと評価。そのうえで、来春闘に向けても「今年の成果を踏まえ、金属部門としては来年も『賃金改善』に取り組むことを前提に考えていきたい」と述べ、賃上げを盛り込んだ要求策定論議を進める意向を表明した。

大会で決めた運動方針では、賃上げの取り組みに関して新しい共闘軸に掲げている「大くくり職種別賃金水準の形成」の具体化を進めるとしている。その具体策の第一弾として、単組ごとに設定した「技能職中堅労働者」といった大くくりの職種別賃金について、産業・業種内における相対的な位置づけを判断するための「比較指標」の作成に着手する。この指標は、賃金の実態データに基づき、産業・業種別のほか規模別に賃金の特性値を示すもので、産別や企連・単組の要求策定の参考指標として活用する。

この前段の取り組みとして、来春闘では同業種の中堅・中小労組に影響力のある労組を新たに登録組合(組合名を公表)に追加。JC共闘の社会的影響力を強めるため、規模間格差の是正に向けた闘争体制を再構築する。

また、金属労協の機能強化と運動の質的転換をテーマに2年間議論を重ねてきた総合プロジェクト会議の答申を確認した。答申は、早急に連合に対して、産業ごとに7つ設定されている「産業部門連絡会」について、連合の組織運営基盤として機能するよう働きかけを強めると同時に、これまで実質的には金属労協内で取り組んできた産業関連の「政策・制度」の実現については、基本的に連合の「金属部門連絡会」に活動の場を移行するとしている。

さらに、将来的には春闘の要求策定とも重なる雇用・労働条件について、議論の場を部門連絡会に移行させることも射程に入れており、金属労協の動向が労働界に波紋を投げかけることが予想される。答申ではまた、組織の本来的な機能である国際活動の窓口としての国際局の強化を打ち出しており、アジアを重点にした活動展開とアジア金属労組連絡会(仮称)の設置を盛り込んでいる。