労働基本権回復に向けた公務員制度改革への対応強化/自治労定期大会

(調査・解析部)

[労使]

地方公務員を中心に公務・公共サービス部門の労働者などで構成する自治労(岡部謙治委員長、約93万6,000人)は24、25の両日、さいたま市で第78回定期大会を開き、当面の闘争方針を決めた。今年は中間年のため、運動の中間総括を行うとともに、公務員制度改革へ対応や来年の参院選挙への対応といった行動計画を確認した。

岡部委員長はあいさつの中で、政労協議にもとづき7月下旬、公務・公務員のあり方や労働基本権の問題などを話し合う専門調査会が設置されたことを報告。労働基本権回復の意義について、「単に、公務員労働者の賃金・労働条件を労使交渉で決めるにとどまらない。戦後60年経ち、新たな社会ニーズに応える、良質で包括的な公務公共サービスをどう打ち立てるかが問われるなか、これを担う公務員制度の確立には労働基本権の回復が重要で、そのことは社会正義としての労働運動の改善にもつながる」などと述べた。

また、月例給、一時金ともに改定を見送った今夏の人事院勧告を受け、秋からは自治体での確定闘争が本格化することを踏まえて、「現状は勧告制度のもとでの闘争だが、現場で実質的な労使交渉の実体化に取り組んでおくことが、労働基本権回復にとっても重要だ」などと強調した。

大会では、公務員制度改革や人勧確定闘争、自治労として初めて非常勤職員出身者を民主党候補に擁立してのぞむ来年の参議院選挙闘争などを柱とする、当面の方針を決めた。また、97年に策定した賃金政策を補強し、国家公務員の給与を絶対視せずに(国公準拠の相対化)、自治体労働者の賃金を構成するための考え方などを示した「第二次賃金政策」(組織討議案)や、4年後には代議員の30%以上を女性にすることを目標に、割当制も検討するなどとする「男女がともに担う自治労第3次計画」を可決した。

質疑・討論では、「(昨年の勧告に基づく)地域手当の削減が進んでいる。公務員給与を参考にすることが多い地方民間でも、賃金悪化のスパイラルが懸念されている。本部は現状を再認識し、人事院・総務省対策を立て直すべき」(長野県)や、「教育基本法改正法案や国民投票法案などが臨時国会に上がり、憲法改正論議も高まろうとするなかで、本部はいまこそ9条堅持の原則を再確認し、平和運動を強化する必要があるのでは」(埼玉県)といった意見が相次いだ。