労働条件は政策的な重点配分を/NTT労組定期大会

(調査・解析部)

[労使]

国内最大の単一組合であるNTT労働組合(森嶋正治中央執行委員長、18万人)は11,12の両日、東京・三軒茶屋の人見記念講堂で定期全国大会を開き、向こう2年間の活動方針を確認した。森嶋正治委員長はあいさつで、「パイは限られており、これをどの労働条件に重点を置いて改善を求めるか具体化をはかる必要がある」などと述べ、今後、労働条件をトータルでとらえるアプローチが必要になるとの認識を示した。

森嶋委員長はあいさつで、今春闘の連合の姿勢について「労働者への配分は十分ではないというメッセージを出して、賃金改善に取り組もうと号令をかけた意義は大変大きいものがあった」とする一方、「相場波及が機能したかというと、そこまでには至っていない状況にあった」と評価。そのうえで、「企業間格差が顕著となり、国際競争がこれまでにも増して進展する中で、経営側が筋肉質な財務基盤を維持・強化しようとする傾向は、たとえ景気が回復しても変わらない」と強調した。

そして、その結果として「社会全体で労働者への分配は明らかに減っており、賃金面のみならずパートや派遣労働への労働力シフトや不払い残業の横行等、労働者に不安や不信を抱かせるような経営側の姿勢が多く見られる」と指摘。「(こうした状況に)置かれた環境の中で最大限獲得したとしても、パイは限られており、これをどの労働条件に重点を置いて改善を求めるか、賃金を含めた総体の労働条件を視野に、政策的な重点配分の考え方に立ち、具体化をはかる必要がある」と訴えた。

活動方針でも、NTTグループの成果・業績重視の処遇体系への転換を踏まえ、賃金や労働時間、福利厚生等を総合的にとらえた労働条件改善のあり方や、新賃金制度に基づく賃金改善要求の見直しを今後の検討課題とした。

同労組は今春闘で月例賃金の改善要求は断念。その代わりに、他企業の一時金に相当する特別手当に加え「組合員の努力を反映させたい」として別途、「一時金」を要求。全体として前年の特別手当の妥結水準を上回る回答を引き出した。また、パート・有期契約社員を、重要な労働力と位置づけている事業会社においては、 (1) 特別休暇(結婚・忌引、夏季)の有給化 (2) 病気休暇、公傷休暇、通勤災害休暇の創設 (3) パート(月給制)の休日手当割増率の5%増改定 (4) 労働条件諸制度の協約化──などの成果を得ている。

なお、大会では、森島委員長、有村博幸事務局長が再選された。