担当看護師の8割「新人指導が不十分」/東京医療関連労働組合協議会

(調査・解析部)

[労使]

新人看護師の教育を担当した人の約8割が業務多忙や技術不足を理由に十分な指導ができていないと考えている――。東京医労連と都庁職の医療関係労働者で構成する東京医療関連労働組合協議会が、このほど発表したアンケート調査でこんな結果がわかった。同協議会は、「安全で安心な医療・看護を実現していくためにも、現場の新人研修や教育の実態に目を向けた対策が求められている」などと訴えている。

調査結果によると、新人研修を担当した看護師のうち、「十分な指導ができなかった」との回答が77.3%を占めている(「十分な指導ができた」は22.3%)。「できなかった」と答えた人にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「自分も業務をしながらなので、指導どころではなかった」が57.7%でトップ。次いで、「忙しくて振り返りの時間が持てなかった」(47.4%)、「自分自身の技術もまだまだなのに、指導どころではなかった」(38.2%)が多かった。

一方、研修を受ける立場の経験年数3年以下の看護師に、入職後一人だちするまでの教育・指導が十分だったか否かを聞いた問いでは、「十分だった」との回答は半数近い45.3%に達し、「不十分だった」(18.7%)や「よくわからない」(29.8%)を上回っている。「十分だった」と答えた理由(複数回答)は、「きちんと担当者が決められていた」(77.5%)が最も多く、以下、「初めての実践の時の指導が具体的だった」(46.4%)、「すぐに質問できるような環境だった」(45.3%)の順だった。

日本看護協会の調査(04年度)によれば、新卒看護師の9.3%が採用後1年以内に離職しているという。今回の調査でも、8割強が「これまでに職場を辞めたいと思ったことがある」と回答。うち半数が就職後1年ぐらいまでに辞めたいと思ったことがあった。就職した頃の悩みは、「仕事内容」と「職場の人間関係」が多い。

また、辞めたいと思うほど悩んだ際に相談する人(複数回答)は「職場の友人・同僚」が約半数を占めて最多。辞めたいと思っても働き続けることができた理由(同)も、「仲間がいたから」が4割強を占めた。

さらに、「新人教育で大事なことは何か」との問い(同)に対しても、81.8%が「担当者任せでなく、育ち合うことを基本に職場全体に育てる雰囲気がある」ことを選んでいる。研修・指導体制の充実もさることながら、職場の良好な人間関係の構築が、看護師の定着率向上のカギを握っているようだ。

調査は、「新人看護師が働き続けるために何が必要か」を探る目的で実施。同協議会加盟の組合がある都内32病院でアンケート調査を行い、5,066人の回答をまとめた(回収率33.7%)。