7割強が「組合は役に立っている」/労働総研と全労連の共同調査

(調査・解析部)

[労使]

労働総研と全労連は15日、「労働組合の活動実態と課題と展望」調査の第1次中間報告を発表した。組合員の7割強が「組合は役に立っている」と回答しており、多くの人が労組の存在価値を認めている。調査は全労連加盟組織の単組・支部とその傘下の組合員などを対象に行われた。10月末までに集まった有効回答は787組織と組合員4,378人。

71.3%の組合員が「労組は役に立っている」

中間報告によると、3分の2の単組・支部が最近5年間で組合員数を減らしている。これを詳しく見ると、地方公務労組の83.3%、国家公務労組の74.0%が定数削減や採用抑制などで組合員を減少させている。

一方、民間労組で減らしているのは56.4%にとどまっており、横ばいが25.6%、増やしている組合も16.2%あった。特に100~299人規模(29.2%が増加)の健闘が目立つ。

単組・支部の委員長・書記長に「組合員にとって労組が頼りになる存在か」尋ねたところ、全体の3分の2が「頼りになっている」(「頼りになっている」と「どちらかといえば頼りになっている」の合計)と自負している。組合員に「労組が役に立っているか」の設問に対し、「役に立っている」(「大いに役立っている」と「まあまあ役に立っている」の合計)の回答が71.3%と多数を占めた。

組織化の働きかけが不十分

増大する非典型労働者への組織化対策は、組合員の減少傾向に歯止めがかけられない労組にとって緊急課題。今回のアンケートでも非典型労働者の組織化の必要性を感じている単組・支部が8割近くに達している。ところが、実際に組織化計画を有しているか、との質問では7割が計画を持っていないとの回答だった。労組サイドの働きかけが不十分であることが証明された格好だ。

また、正規従業員に関しては、これとは別に単組・支部に組合員数が減る理由(複数回答)を質問している。そこでは「退職者に比べて採用が少ない」が57.0%と圧倒的に多いが、次には「賃上げ等が困難で魅力が薄れている」(29.5%)や「組織を煩わしいと思う人が増加」(27.9%)と並んで「未加入のままメリットを得る人が増加している」(27.6%)が目立っている。全労連は「こうした層にいかにして連帯の意義を理解してもらうかが改めて大きな課題となっている」と見ている。

なお、組合活動に女性の意見が「反映されている」とした単組・支部が約7割を占めたのに対し、女性組合員の「反映されている」との回答は約半数にとどまるなど、両者の認識にギャップがあることも浮き彫りになった。