月例賃金の改善を重視/連合の春闘方針案

(調査・解析部)

[労使]

連合は17日に中央執行委員会を開き、来春闘の闘争方針案を承認した。景気の回復基調を背景に「マクロ的には労働側に(賃金の)1%以上の成果配分がなされるべきだ」として、賃金カーブ維持(定期昇給)分を確保した上で、ベアや賃金カーブ是正などの「賃金改善」にすべての労組が取り組むとし、月例賃金を重視した賃上げ要求を促す姿勢を強調している。今月30日に都内で開く中央委員会で正式決定する。

方針案は、「企業業績の回復と家計の苦しさが好対照であり、二極化が鮮明になっている」などと指摘。「デフレ経済から脱却し、安定成長に至るカギは家計所得の増にある」として生産性向上に見合う賃金改善が不可欠だとしている。

賃金改善は、一時金よりも月例賃金を重視して取り組む。具体的には、ベアや賃金カーブの是正、残業代の割増率や初任給、パートタイム労働者の時給アップなど人件費総枠を拡大させる要求も可能とした。

高木剛会長は同日の会見で「産業・業種別の労使関係や過去の議論の経緯もあるので、山の登り方やめざす高さはそれぞれの構成組織で検討して決めてもらうが、(賃金カーブの維持プラスアルファの賃金増額要求を掲げて)山登りすることはよほどの事情がない限りやっていく」と強調した。

また、来春闘では、企業規模間格差の拡大を緩和する目的で「中小共闘」を強化。パート労働者の待遇改善をはかるため「パート共闘会議」も新設する。

一方、中央執行委員会では、組織率の減少傾向に歯止めをかけるため、向こう2年間で「60万人プラスアルファ」の組織拡大目標も確認した。このうち、12万人がパート労働者等の非典型労働者の組織化目標となっている。