賃金改善は月例賃金重視で/連合の06年春闘構想案

(調査・解析部)

[労使]

連合(高木剛会長)は21日、中央執行委員会を開き、「2006春季生活闘争基本構想案」を確認した。月例賃金を重視した賃金改善の取り組みを強化するとともに、非典型労働者や未組織労働者を含む全雇用労働者の賃上げを実現させることで二極化の進行に歯止めをかける構えだ。

構想案は、今の経済情勢を「企業業績は、ばらつきがあるものの4年連続の増益見通し」「勤労者世帯の我慢が続いており、04年の可処分所得はピークの97年から1割以上低下している」などと分析。そのうえで、「デフレ経済から脱却し、安定成長に至るカギは家計所得増にある」と強調している。

こうした情勢分析を踏まえ、06春闘では「(定期昇給相当分以外の賃金)1%以上の成果配分がなされるべきだ」として、昨春闘同様、賃金カーブ維持(定期昇給)分を確保した上で賃金改善に取り組む姿勢を示した。要求基準はベアや時給引き上げ、賃金カーブの是正など、各組織の状況に応じた形で設定。前年のように成果配分を一時金にシフトするのではなく、月例賃金の改善による年間収入の維持・向上を求めていく考えだ。古賀事務局長は具体的な取り組み内容について、「賃金改善はやや中期的にも捉えており、若年者の水準引き上げや高齢者の賃金カーブの見直し、初任給、パートの均衡処遇、時間外労働の割増率など(人件費を拡大させる要求は)幅広いものを内蔵している」と説明した。

また、06年春闘では、パートなど非典型労働者や中小・地場組合、未組織労働者の待遇改善にも力を入れる。パート労働者の組織化を運動方針に掲げている産別などを中心に「パート共闘」を立ち上げ、均等待遇の実現と組織拡大を図る。また、今回で3年目を迎える「中小共闘」では、情報の収集・開示を強化することで、中小・地場組合の企業規模間格差の縮小と未組織労働者への賃金底上げの波及をめざす。

春季生活闘争の具体案については、来月1、2日の中央討論集会などの議論を経て、同月30日の中央委員会で闘争方針を決定する。今回、連合がベアの統一要求を見送ると5年連続となる。