若年者問題をテーマに労使トップが意見交換/連合・日本経団連

(調査・解析部)

[労使]

連合と日本経団連は27日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開いた。連合からは笹森清会長、日本経団連からは奥田碩会長ら労使それぞれの首脳が出席。若年者の雇用対策や職場の安全衛生の課題について、認識の一致する部分では、労使が協力して対応していくことを確認した。

冒頭、奥田会長はあいさつで若年者の雇用問題に触れ「9月15日に『若者の人間力を高めるための国民会議宣言』が出されたが、どれだけ実効が担保できるかが重要だ。日本の将来を担う若者が自信を失っていることは重大な問題だと認識している」などと指摘。職場の安全に関しても「特にアスベストの問題は非常に重視している。最近では国内も含め酷い被害がでており、しっかり対応していかねばならない」と述べた。

若年者の雇用対策については、連合側が「フリーター、ニートの急増は、社会の活力が失われる。しかも(彼らは)税金や社会保障の枠外に置かれているので、公助・自助・共助の上に成り立っている社会システムの均衡が保てなくなる心配がある」「経済全体にとっても生産性の低下や成長の制約になる可能性がある」などと強調。経営側に対し、「若者の雇用は企業の社会的責任の一つとして雇用の門戸をもっと広げるべきだ」「連合は中・高校に講師派遣したり、大学への寄付講座に取り組んでおり、企業も(こうした取り組みを)行うべきだ」などと要請した。

これに対して経営側からは、「社会的な問題として捉えなければならないとの意識は共通」としながらも、「組合は『企業はもっと採用しろ』と言うが、有効求人倍率は1倍を超えている。ミスマッチ・アンマッチの問題に踏み込んで考えていく必要がある」「企業は若い人を採りたいと思っており、一部では人手不足の状況にもなっている。そうしたところに人が来ないことに問題があるのではないか」などと反論した。

その一方で、「若い人の生活設計面からも、国の将来を考えても非常に重要な問題であり、学校や家庭、企業等、すべての場で考えていかねばならない」「若い人に職場を与えることも必要だが、(企業から)学校に出向いたり、インターンシップを強化することも必要だ」との考え方も示された。

安全衛生については、「アスベスト問題に万全の対策をしていかねばならない」との認識で一致。連合側の「アスベスト製造企業には、政府の禁止措置以前に製造された在庫があると聞いているが、この無害化処理と安定的な廃棄を経団連として加盟企業に指示すべき」との要請に対し、経団連側は「8月2日に全会員企業に対し、アスベスト対策について徹底することを要請した」と回答。「代替化の技術促進や疾病に対する適切な診断の対応など、併せて政府に要求していかねばならない」との発言もあった。

このほか、職場のメンタルヘルス対策や社会保障問題などについても意見交換が行われた。