賃金改善要求に強い意欲/基幹労連大会

(調査・解析部)

[労使]

鉄鋼、造船重機、非鉄金属の労組でつくる基幹労連(24万3,000人)は9、10の両日、愛媛県松山市・愛媛県県民文化会館で中間定期大会を開き、中間的な産業・労働政策となる「アクティブ・ビジョン(AV)2010」を確認。併せて、2006年から2年サイクルの春季闘争(「06,07年労働条件改善の基本方針」)に取り組む方針も決めた。

「魅力ある労働条件」と「競争力強化」の好循環を

宮園哲郎委員長はあいさつで、来春闘の賃上げ要求について、「賃金改善要求の可否も含めて、様々な角度から議論を積み上げていく」との慎重な表現を用いつつも、「我々は『魅力ある労働条件づくり』と『産業・企業の競争力強化』の好循環を創り上げるという観点から月例賃金を改善していこうとしている」と述べ、具体的な賃上げ要求の設定に強い意欲を見せた。

さらに、「1産別として財源投入の要求額を揃えるのは当然だが、配分のあり方は画一的に揃える必要はない。自らの産業・企業の労働条件を魅力あるものにするために、もっとも効果的な財源投入のあり方を追求すべきであり、そのことが産業・企業基盤の強化に寄与する」と強調。従来型のベースアップ要求とは違った形の賃上げ改善要求を組むとの見解を明らかにした。改善の方法については賃金カーブの落ち込んでいるポイントのメンテナンスを施すやり方などが考えられそうだ。

2年サイクルの春闘に統一へ

基幹労連は一昨年9月の結成時から運動の2年サイクルを基本としてきたが、春闘に限っては旧3産別ごとの部門運営を前提にしており、鉄鋼部門が2年単位の協定、船重(造船重機)部門と非鉄金属部門が毎年の協定に取り組んでいた。今大会で最終報告された中長期的な産業・雇用・労働のあるべき姿をまとめた「アクティブ・ビジョン2010」のなかで、春闘についても2年サイクルに揃える方向を提示。「その時の環境条件を十分に分析したうえで、適用するか否か」を判断するとした。

06,07年の環境条件については「比較的落ち着いた動きを示している」と予測し、基幹労連全体で「2年サイクルの春季闘争に取り組む」方針を承認した。来春闘は「基本年度」と位置づけて賃金や一時金、退職金などの主要労働条件について交渉を集中的に行い、07年春闘では「個別年度」との位置づけで一時金や格差改善などの個別的な労働条件改善交渉を行う。

賃上げ求める意見相次ぐ

06年春闘では「賃金」「一時金」「退職金」「割増率(時間外割増率、交替手当)」の4項目について要求の可否も含めて検討を重ね、来年2月の中央委員会で決めることになった。賃上げ要求については、企業の業績・財務体質や連合・金属労協(IMF・JC)などの動向を見極めたうえで最終決定する。一時金は年間5カ月(額で160万円程度)で、このうち生活給的要素を年間4カ月程度とする。退職金水準は2,200万円への到達を目標指標に据える。

賃上げをめぐる論議では、ここ数年低落傾向にある月例賃金の引き上げを求める意見が相次いだ。

一方、大会では07年7月施行の第21回参議院選挙に組織内候補者を擁立することも確認した。企業の自助努力や労使交渉で解決できない課題に対して、政治の場での解決を図ることが狙い。鉄鋼、重機造船の旧産別からそれぞれ議員を出しているが、基幹労連に統合してから新たに組織内候補者を立てるのは初めてとなる。全国規模での取り組みとするため参議院の比例区で候補者を擁立することとした。選挙体制の確立、組織内への周知活動などは来年2月の中央委員会で確認する。