組織拡大・機構改革など柱に/JAM新運動方針

(調査・解析部)

[労使]

機械金属中小を多く組織化するJAM(小出幸男会長)は8月29日から3日間、静岡・熱海市で定期大会を開き、組織拡大や組織機構改革などを柱とする向こう2年間の運動方針を決めた。組織人員は、1999年結成時の約47万人から、5年間で10万人弱減らして約37万人(2004年10月現在)となっており、組織拡大が最大の課題だ。そのため、地域でのオルグ活動強化を狙い、人材・資源の配分を地域に振り向ける組織機構改革案「新しいJAMのあり方に関する基本構想」を提起。再来年の大会まで2年間、具体的な中身について論議することとした。役員選挙では、小出会長、大山勝也書記長が再任された。

あいさつの中で小出会長は、組織拡大について、「組織化経験者が少ないのが現状。地域で実践的な(オルグ)教育を強化する」として、組織化を進める人材の育成に力を入れることを強調しながら、具体的な組織化の方法として、「(地域での組織拡大に加えて)企業の連結経営が強化される中、関連会社を把握することは労組としても重要。関連会社の組織化を進める」との考えを示した。組織拡大に向けた機構改革に関しては、「中小労組をきめ細かに面倒見るのがJAMの最大の特徴。この原点に帰って(地方組織のあり方を)再構築したい」と説明した。

運動方針の最重要課題である組織拡大の具体的な中身は、 (1) オルガナイザー養成による地域での組織化強化 (2) 業種別のつながりを通じたオブ加盟・未組織の組織化 (3) 企業グループ・関連会社の組織化 (4) 相談活動などを通じた個人加盟方式による組織化――など。総がかりによるオルグ体制をつくるための人材育成を進めながら、身近なところの未組織・中立組合の組織化を図ることで、組織拡大の実を上げる考えだ。

この組織拡大を人材・財政の面から裏付けるために、「新しいJAMのあり方に関する基本構想」を提起した。基本構想は、地方組織について、従来の31から17に大括りに再編して効率化を図るとともに、その分の人材・財政を地域協議会(地協)に振り向ける機構改革が骨格。ヒト・カネを地域に重点再配分することで、地域活動を活性化し、地域・中小労組への対応の充実と組織拡大の強化をめざす。組織人員の大幅な減少などを背景とする組織の弱体化を止め、再活性化を図るためには、抜本的な組織改革が必要不可欠だとの判断だ。具体的な新地方組織のあり方・活動の中身については、本部三役会の下に設置する「本部作業委員会」で基本構想を固めるとともに、「新地方JAM準備委員会」を設けて議論することとしている。手続きスケジュールとしては、来年の大会で構想を具体化した「新しいJAMのあり方」を決め、細部を詰めながら、再来年の大会後に新地方組織を発足する考えだ。

論議では、組織機構改革について、「大括りでは地域・中小に対する日常活動が滞るのではないか」(岐阜)、「きちんと組織のあり方を明確にすることが先決だ。単なる職員の再配置では絵に描いたモチになる」(大阪)などの意見がでた。