来春闘は賃金、ワーク・ライフ・バランスなどを柱に要求/電機連合大会

(調査・解析部)

[労使]

電機連合(古賀伸明委員長)は7日から2日間、長野県長野市で定期大会を開催した。2006年以降の総合労働条件改善闘争(春闘)の柱を、 (1) 賃金、一時金など「生活改善」、 (2) 60歳以降の雇用延長やキャリア開発支援など「雇用」、 (3) 多様な働き方への対応など「ワーク・ライフ・バランス」、の3点に絞り込むことを確認。組織人員がピーク時から25万人減少していることを踏まえ、2010年までに75万人組織をめざす組織拡大の強化も確認した。

電機連合は中期運動方針のなかで、当面取り組むべき課題として9つのテーマを設定している。テーマは、生活改善の取り組みや男女平等参画社会の実現、雇用の安定・創出など。過去4年間の春闘では、これらの9つのテーマを踏まえて要求項目などを検討してきたが、06年闘争からは取り組みの柱を3点に絞り込んで取り組む。3つのテーマは、 (1) 賃金、一時金など「生活改善」、 (2) 60歳以降の雇用延長やキャリア開発支援など「雇用」、 (3) 総実労働時間の短縮や多様な働き方への対応など「ワーク・ライフ・バランス」、と設定。具体的な要求内容はこれから検討を開始し、来年1月の中央委員会で提案する。

ワーク・ライフ・バランスについては、5カ年の年次プログラムを策定し、必要に応じて闘争のなかで経営側に要求し、その実現を図っていくことを確認した。電機連合では、昨年から「新たなワークスタイルと労働時間のあり方」プロジェクトを設置。同プロジェクトはこのほど報告をまとめた。報告では、派遣労働者、請負企業の労働者に対する「均衡ある処遇」の必要性を訴えるとともに、短時正社員制度導入の提言に向けて検討を開始することを明言している。

大会冒頭のあいさつで古賀委員長は、非典型雇用労働者の労働条件について「労働組合が放置しておくことはけっして望ましい状態ではない」と強調。経営側からみた場合、「正規従業員と非典型雇用労働者の生み出す付加価値の差が労働条件以上に開いていないと正規従業員を雇用してもペイしない。このことが現実に正規従業員から非典型雇用労働者への置き換えの圧力にもなっているし、正規従業員の労働条件の押し下げ圧力となっている」として、雇用構造の変化に対応した均衡処遇の実現を強く訴えた。

大会ではこのほか、2010年での75万人組織の実現(現在約68万人)をめざす組織拡大の強化を確認。現在3名いるオルガナイザーを10人程度にまで増員する。

大会の討論では、06年闘争におけるベア要求について、「(今期は)企業業績が回復するなど(ベア要求を見送った)過去4年間とは異なる転換点にあるという環境変化を感じる。深く掘り下げた検討をしたい」(三菱電機労組)、「企業業績の回復もあり、組合員の関心も高まっている。早めに検討を開始すべき。ベアという言葉に経営側の抵抗が強いのなら、要求の仕方を工夫する検討もしたらどうか」(東芝労組)、「雇用状況なども考えればベア要求の機は熟しつつある。何らかのベアの取り組みは避けて通れない」(日立製作所労組)などの意見が出た。

なお、大会の来賓であいさつした連合の笹森清会長は、連合の次期役員人事について触れ、「現在、連合の役員推薦委員会で議論しているが、世代交代の大切なポイントとなるのが電機連合の古賀委員長であり、最適任の対象者の一人だと私は言った。この思いを電機連合のみなさんに賛同いただいて労働運動の再生、活性化に向けての牽引役を担っていってほしい」と述べ、古賀委員長が自らの後継にふさわしい人物の一人であることを明言した。