失われた信頼の回復に努める/JR連合定期大会

(調査・解析部)

[労使]

JR西日本の多数派組合を傘下に収めるJR連合(明石洋一会長、約7万3000人)は15日から2日間、東京都内で定期大会を開いた。4月25日にJR西日本福知山線で発生した列車脱線事故を踏まえ、安全最優先の企業風土の確立や失われた信頼の回復を課題とする2005年度運動方針を確認。大会では開会冒頭、参加者一同が、脱線事故の犠牲者及び負傷者の回復を願い黙祷を捧げた。明石会長はあいさつの中で、「事故は労使双方の責任。事故を未然に防げなかったことに対して責任組合としてその責めを負わなければならない」と詫び、「競争に走りすぎたのではという反省も含め、今一度、鉄道労働者としての原点に立ち返り、改めて『安全最優先』の企業風土作り」に向けた取り組みの強化を訴えた。

また、明石会長は、JR西日本が5月31日に国土交通省に提出した「安全性向上計画」(PDF:76KB)についても、「単に報告のための報告であってはならない。何より重要なのは、今回の計画が本当に機能し、意図したものになりつつあるか。今後もしっかりと労働組合・責任組合の立場から目を凝らして見張っていく」などと述べ、労組によるチェック機能の強化も訴えた。

大会の質疑・討議でも、代議員から、事故の教訓化についての発言が相次いだ。集約答弁にたった角田修作事務局長は、安全対策についての労組によるチェック機能の重要性を強調。今回の事故の一因とも言われる日勤教育について、各単組でも調査把握するよう求めた。すでに事故後、JR連合傘下のJR西労組は独自に、乗務員の再教育についてのアンケート調査(PDF:128KB)を実施している。これを踏まえ、角田事務局長は、事故再発防止教育について、懲罰的な手法を排した社員の技能を高める再教育の重要性を指摘した。

さらに、角田事務局長は、「現場の事故については、職場で対策・原因解明が図られなければならない。そのためには、労使の話し合いができ、会社と社員・組合員の意思疎通が図られる風通しのいい職場環境を作らなければならない」などと人間尊重の企業文化を確立する必要性も強調。「あの惨劇を二度と繰り返さないために、JR連合は先頭にたって取り組む」との決意を語った。

新会長に角田修作氏

役員改選では、会長職を5期10年務めた明石洋一氏が退任。角田修作氏(JR連合事務局長)が新会長についた。大会で決めた主な新役員は次のとおり。

▽会長=角田修作(新・JR西労組)、事務局長=藤次康雄(新・JR東海ユニオン)