賃金体系維持プラス1,000円を要求/UIゼンセン同盟

(調査・解析部)

[労使]

民間最大の産別、UIゼンセン同盟(高木剛会長・約79万人)は2日、滋賀県大津市で中央委員会を開き、今季交渉に向けた賃上げの統一要求として「賃金体系(カーブ)維持プラス賃金引き上げ原資1,000円」と、定昇制度のない中小向けに「6,000円または2.5%」の2つの柱を盛り込んだ方針を決定した。実質的な統一ベア要求を掲げるのは4年ぶりとなる。

あいさつで高木会長は、「3年連続の賃金ダウン、6年連続してマイナスを続ける可処分所得、税や社会保険料の増加などで家計は疲弊している」などと現状分析したうえで、賃上げ要求について、「家計の疲弊や賃金格差の拡大を少しでも緩和しようという考え方にもとづくもの」と説明。今季交渉はUIゼンセン同盟にとって「正念場の闘い。賃上げの確保をはかるため、統一闘争としての体制を固め、懸命の交渉を進めたい」と強調した。

中央委員会で決定した春季闘争方針は、従来以上に「賃上げ要求」に力点を置いている。方針では「家計の疲弊」「労働分配率の大幅な低下」「雇用の縮減と労働条件の低下」「3年連続したベア要求見送りに対する職場の不満」などを総合して、実質的なベア要求を決めたと説明している。

「体系維持プラス1,000円基準」を求める組合について、引き上げ原資については「基本賃金の改善に充当することを基本とするが、賃金体系(カーブ)是正、各種手当などの改善に配分することも含め対応する」としており、「ベア」だけにこだわらない考え方を示している。

一方、おもに定昇制度のない中小向けとなる「6,000円または2.5%」は、昨年の5,200円より800円上積みの要求となる。規模間格差が拡大するなか、「格差是正」を主眼に中小に対しても積極的な交渉を求めている。

また、臨時・パートタイムの賃上げ要求基準も「正社員組合員の要求に準じる」ことを原則にするが、 (1) 定昇制度がある場合は「定昇相当分に時間あたり6円を基準に加算した額」 (2) カーブ維持算定が困難な場合は組合要求に準じて要求(2.5%)――などを基準に要求する。なお、昨年の交渉では約40組合がパートの賃上げを引き出しており、各部会平均で時給9.6~11.2円のアップを獲得している。

加盟組合は、16~21日に要求を提出。昨年と同じく、大手と中小も金属大手の集中回答日となる3月16日に一斉に回答を出すよう経営側に迫る。ベア要求を見送る組合が多く、金属大手労使の交渉結果が相場波及しなくなった現状を踏まえ、JAMや全国一般といった中小労組が多く加盟する産別との共闘強化を通じた中小相場の形成を狙う。