JC共闘の再構築は業種別賃金水準の開示で/JAM会長が提起

(調査・解析部)

[労使]

中小・地場の金属関係労組を主体に構成するJAM(37万人)は19、20の両日、静岡県熱海市で中央委員会を開いた。冒頭のあいさつで小出幸男会長は、加盟する金属労協(IMF・JC)の新たな共闘軸として、金属産業の業種別賃金水準を開示することにより、影響力が低下するJC共闘を「早急に整理する必要がある」と訴えた。

金属労協は加盟産別のここ数年のベア要求見送りのなかで、ベアを中心とする「賃上げ交渉リード役・相場形成役」という共闘軸が機能しなくなっている。そのため03春闘からは、新たな共闘の柱を「JCミニマム運動」に置き、 (1) 金属産業全体の賃金水準を下支えする「JCミニマム」(35歳最低21万円)の徹底 (2) 企業内最賃協定の締結 (3) 「法定産業別最賃」に各組織が取り組んできた。

さらに05春闘を「大くくり職種別賃金水準の形成」に向けた第一歩の年と位置づけ、「産業間・産業内格差を是正し、金属産業の位置づけにふさわしい賃金水準の実現」をめざす新たな方向性を模索している。

こうした状況を踏まえ、小出会長は「JC無用論が組織内にも散見される」と指摘したうえで、「JC共闘に取って代わる産別共闘が台頭するなら、その道を譲ってもいいと考えるが、現在、連合を基軸とした産別の中には、金属産業部門を差し置いて前面に出ようとする部門は見当たらない」と現状分析。「従来型のJC共闘に代わる新しい共闘を早急に整理する必要がある」と強調した。

しかし、金属労協は今春闘から取り組みをスタートさせる「産業ごとの代表職種における中堅労働者(基幹労働者)」をベースにした職種別賃金形成の実現目標を「2010年をめど」としており、「早急な整理」にはふさわしくない。そのため小出会長は、「今後の賃金の目標を格差是正とするならば、JCは金属産業に集う単組のデータを集約し、業種別(電機、自動車、鉄鋼、アルミ、非鉄、軸受など)にその水準を開示することが必要」とし、これによって産業間、単組ごとの格差圧縮を前提とした「共闘体制の構築が可能」との見解を示した。

さらに小出会長は、「規模別の水準も開示し、モノづくり産業の中小労組にも波及効果がでる」形での共闘再構築で、春闘におけるJC共闘を再構築すべきだと訴えた。

なお、中央委員会では、賃上げ要求の考え方として、「賃金維持分確保と是正」を中心に (1) 賃金構造維持分の確保 (2) 格差と賃金構造上の歪みを是正する要求を組み立てる (3) 賃金構造維持分が確認できない場合、平均賃上げ要求基準5,700円--を柱とする方針を確認した。