社会保障制度の抜本改革を目指す/連合・笹森会長

(調査・解析部)

[労使]

連合の笹森清会長は5日、連合本部で年頭の記者会見を開き、労働運動の再生・活性化と社会保障制度の抜本的な改革の実現を目指していくとの考えを示した。05春闘については、「企業の業績回復は従業員の犠牲の上に成り立っている」と指摘。「昨年を上回る回答を必ず獲得する」と強い意欲を見せた。

笹森会長は会見の冒頭、「連合がこの数年続けてきた『自らの力で答えを出す運動』の成果が見え始め『労働運動の再生・活性化』に手ごたえを感じている」と説明。そのうえで、社会保障制度や春闘改革、公務員制度改革などの「克服すべき課題」を挙げ、「一つひとつ答えを積み上げていきたい」と語った。

最重要課題は社会保障制度の抜本的な改革の取り組み。「持続可能な国民のための公平・公正な揺るぎない制度の確立に向けて、時間はかかるだろうが連合の手で必ず実現する」と決意表明し、昨年に引き続き、「社会保障のあり方懇談会」を通して改革を目指していく姿勢を改めて強調した。なお、この問題については、日本経団連の奥田碩会長も年頭の記者会見で「社会保障制度改革への取り組みが最重要課題。年金、医療、介護を一体的に改革することが必要だ」と話している。

一方、05春闘に関しては、「昨年の中小地場組合を中心とする格差是正、パートなど非典型労働者の労働条件改善の取り組みで、長期に渡り模索してきた春闘改革の一端が見いだせた」と昨春闘を振り返ったうえで、「業績回復は従業員の犠牲の上に成り立っているのだから、その還元を求めていく。今まで以上に企業別労組の交渉力が問われる年になる」として、昨春闘を超える成果の獲得に強い意欲を見せた。連合はベースアップの統一要求は見送るものの、中小地場労組で昨年を500円上回る5,700円以上、パートで時給10円以上の要求を掲げる方針だ。

また、公務員制度改革については「国民のための行政サービスの運営・効率化をどう図るのかという真の改革が求められているのに、政府・与党側はその内容を明確に提示してこない」と批判。「具体的な中味をつくりあげる年にしたい」と述べた。

政治対応は「小泉内閣は限界が露呈しており、(今年は)政局、政変がある」との見通しを示した。「小泉内閣を変えられるかどうかは野党の頑張りにかかっている」として、「民主党との連携を深めつつ、政策的に攻める」との姿勢を強調した。

この他、失業率の改善や労組組織率の回復、少子・高齢化への対応なども課題にあげている。