連合が05春季闘争方針を確認/ベア積極要求を

(調査・解析部)

[労使]

連合(笹森清会長)は25日、都内で中央委員会を開き、「2005春季生活闘争方針」を確認した。統一ベースアップ要求はせず、具体的な賃上げは産別や単組の判断に委ねるが、「可能な限り積極的にベア要求し、その獲得をめざす」とのスタンスで臨む。中小・地場組合は、今春闘を上回る統一目標基準を設定し、大手との格差是正を図る。

笹森会長はあいさつで「統一ベア要求は行わないが、取りに行けるところは敢然と積極果敢に取りに行って欲しい。下降線にピリオドを打った今春闘を上回る回答を獲得し、(上昇傾向への)反転の流れを確実なものにしたい」と述べ、賃上げ要求の姿勢を強める意向を示した。今後についても「(統一ベア要求を)組織全体で取り組める動きを1年でも早く作りあげたい」と強調した。

方針は、 (1) マクロ生産性が1%程度上昇している (2) 実質経済が3%程度成長している (3) 企業業績が3年連続の増収見通しにある――などの環境が整いつつあるなか、労働者への配分に反映されておらず、労使間の分配の偏りや所得の二極化が進んでいると分析。「しわ寄せの大きい労働者への社会的分配の是正に力点をおく」として、中小労組への共闘支援の強化を柱に据えた。基本的な考え方は、全加盟組合が定期昇給などの賃金カーブの確保を共通課題として取り組み、中小・地方組合はさらに格差是正分の積み上げを求める。定昇のないところは、今春闘と同額の5,200円を賃金カーブ確保の目安とする。パート労働者の待遇改善は、時給10円以上の賃上げを求めていく。

方針はこの他、全組合が取り組む共通課題として、男女間の格差是正やパート労働者の均等待遇、企業内最低賃金の労使協定化、不払い残業撲滅など労働時間管理の協定化などを掲げている。

一方、笹森会長はあいさつで、政府税制調査会が25日にとりまとめた「税制改正に関する答申」についても触れ、「(定率減税の縮減・廃止は)結果として増税であり、全部、サラリーマンの負担になっている。全力で立ち向かう」と語った。

また、イラクへの自衛隊派遣の延長問題に関しては、「大儀がないなか、復興支援は役立っているのか。このことを放置していていいのか」などと疑問を呈した。米軍司令部の日本への移転構想についても、「日米安保条約の本質に関わる問題であり、憲法第9条の解釈を超えてなし崩しに結びつく動きには警鐘を鳴らさねばならない」などと指摘した。