「人への投資」はベアで/日産労連会長が主張

(調査・解析部)

[労使]

日産グループの労働組合で構成する全日産・一般業種労働組合連合会(日産労連・16万人)は17、18の両日、東京・大井町で定期大会を開いた。西原浩一郎会長はあいさつで「格差是正の視点と持続的付加価値を生み出すためにも『人への投資』をベアを通じて行わなければならない」と述べ、来春闘でも労連全体でベースアップ要求に取り組む姿勢を示した。

「04総合生活改善」の取り組みのなかで、日産労連(8月1日現在448組合)は68組合がベースアップを獲得。加盟産別の自動車総連全体でみると、今春闘でのベア獲得組合(122)の過半数を占めている。自動車大手メーカーで、唯一ベア有額回答(3年連続ベア1,000円)で決着した日産自動車の交渉が、グループ企業にも波及した格好だが、販売や部品関係では、中堅層の給与水準が自動車総連の全体平均を下回っているため、05春闘以降も「格差是正」に焦点を当て、ベアによる格差の縮小を経営側に求めていく考えだ。

また、グループ全体として業績が持ち直しているとはいえ、年間一時金の支給水準が自動車総連平均(単純)の4.16カ月に比べ、労連全体で3.73カ月と落ち込みが目立つため、来春闘ではこの水準回復にも取り組む構えだ。

大会ではこのほか、「新たな組織形態の見直し実行計画」を確認した。将来の地域本部制を主体とした労連全体の一体的・効率的運営に向け、現在、全日産労組、民労、日産販労、部労など業種別組合・連合と協議会を加盟単位とする現在の組織体制を見直す。今後は新たに直加盟組合(現全日産労組、民労、直括連絡会の131組合)と既存の業種別単一組合(日産販労、部労)の並存型に移行。このため、全日産労組、民労は来年9月に解散し、日産労連に直加盟することになる。

役員改選が行われ、西原会長は再選、宮下晋一・事務局長の後任に高倉明・全日産労組委員長が就任した。