来春闘はベア要求を/UIゼンセン同盟定期大会

(調査・解析部)

[労使]

繊維、流通、化学、フード・サービスなど生活関連産業を幅広く組織し、民間最大産別のUIゼンセン同盟(高木剛会長、79万4000人)は9月14日からの3日間、東京・新宿で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。

高木会長はあいさつのなかで、来春闘の賃金要求について「全体的にはオーソドックスに賃上げを要求してよい環境にある。連合台の議論に対し、来春の要求では要求額の多少はともかく、ベースアップの要素を加味した要求を行うべきだと主張していきたい。定昇制度のない組合の要求は今年の考え方を踏襲し、定額あるいは定率要求をベア的要素も勘案して行っていけばいい」と述べた。

高木会長はまた、CSG連合、繊維生活労連との組織統合から2年を経過し、百貨店、チェーンストアなど流通産業関係を組織するJSD(日本サービス流通連合、18万1000人)との産別統合を検討していることについて、「本定期大会後、前向きに統合をめざして協議を行っていく方向で話し合っているところ。謙虚に互譲の精神を大切にしながら進めていきたい」と言及。さらに「他の産業別組織との統合問題も向こう2年間に俎上に上ってくる可能性もある」と述べ、JSD以外の産別との統合協議が進行していることを示唆した。

大会では向こう2年間の運動方針として、 (1) 職場リーダーの配置と教育活動の徹底 (2) 合理化に対し再就職支援の充実(UIゼンセン同盟再就職支援基金(通称・フェニックス基金)の創設) (3) UIゼンセン同盟共済の拡大と組合員サービス活動の強化(メンタルヘルスケアの創設)――などを決めた。フェニックス基金は、昨年度合理化などで離職を余儀なくされた組合員が4500人を超えていることから、資金の余裕がなく企業の責任で再就職支援を受けられない組合員に対して、福祉基金から1億円を繰り入れ、再就職活動をサポートするもの。来年1月に創設する。

組織の強化・拡大については、大会までの1年で約3万6500人を新たに組織化したものの、合理化による解散や脱退、自然減を差し引くと純増は前年比1075人にとどまっているため、日本介護クラフトユニオンや今年結成した人材サービスゼネラルユニオン(JSGU)に続き、 (1) もう一つ新たな分野で企業横断的な組織化に着手すること (2) 医薬品製造、卸業種のオルグが進んでおり、05年度中に多数の組合加盟を予定していること――などを確認した。

役員改選では、高木剛会長の続投が承認されたほか、会長代行に落合清四・前書記長、書記長に島田尚信・千葉県支部長(東洋紡労組)を選んだ。