06春闘から複数年交渉に統一へ/基幹労連大会

(調査・解析部)

[労使]

鉄鋼、造船重機、非鉄の産別が統合し、昨年9月に結成した基幹労連(宮園哲郎委員長、24万6000人)は8,9の両日、都内で第2回定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を確認した。賃上げ交渉については、2006年の春闘を目途に、現在、鉄鋼部門が行っている複数年交渉方式に統一する案を提示。05春闘は、今春闘同様、業種部門ごとに要求を組み立てるが、鉄鋼部門が複数年協定の中間年であることから、具体的な要求を掲げることは難しそうだ。

宮園委員長はあいさつで、今後の労働条件決定のあり方について、「各部門がこれまで進めてきた手法に固執していたのでは一体化は望むべくもない」と強調。「基幹労連の運動サイクルは2年間であり、労働条件決定も2年間をパッケージとする考え方をベースに議論・検討を進めたい」と述べ、06春闘から2年分の賃上げなどの総合労働条件を一括して要求する複数年交渉方式に統一することを提案した。

大会では、基幹労連のめざす産業・雇用・労働のあるべき姿を示す中・長期ビジョン「アクティブビジョン2010」の中間報告を提起した。今後の労働条件決定のあり方について、 (1) 取り組むリズムと速度を2年パッケージで一本化する (2) 産別として目標を一つにする (3) そこに至る尺度・道筋を一つにする――との方向性を明記。そのうえで、労働条件項目ごとに、取り組みの考え方を示している。

賃金については、「各部門が共通して比較できる指標を新たに作ることが重要だ」と指摘。統一要求・妥結をめざし、要求指標として、各職場の中核となる「基幹労働者」という個別賃金モデルを定めることで一本化する考えだ。ただし、現在は鉄鋼部門が個別賃金モデル(35歳勤続17年標準労働者)、船重部門と非鉄部門が一人平均方式と賃上げ要求・決定方式が分かれていることから、当面は「基幹労働者」の年齢や職種などの特定は避け、金属労協(IMF・JC)の賃金政策に沿い、2010年を目途に議論を重ねる。

一時金は基準要求を設定。金属労協政策の「年間5カ月を基本」とする考え方を前提に、生活給的要素と業績反映を切り分ける。その際、生活給的要素は「年間4カ月相当」で検討。決定方式は、業績連動型と要求交渉型の両方式を併記する。

なお、退職金や労働時間短縮などの項目に関しては、産別基準の定めて、到達目標とする。これらは今後、1年間の組織討議を経て来年の大会で最終報告をまとめ、06春闘から同ビジョンに基づく取り組みをスタートさせる。

一方、過渡期となる05春闘については、鉄鋼、船重、非鉄の各部門ごとに分けた今春闘同様、部門別に要求を組み立てる。とはいえ、鉄鋼部門は、複数年協定の中間年にあたることから05春闘は一時金や格差改善が中心。このため、一時金で業績連動方式を取っている鉄鋼の大手組合は原則、取り組まないことになる。1年サイクルで要求を組む船重、非鉄部門についても、「船重や非鉄は鉄と比べると業況がいいとはいえない。そういった中でどう判断するか」(内藤純朗事務局長)としており、業績が好調な鉄鋼部門をさしおいてベースアップ要求するのは難しそうだ。

なお、大会では、宮園委員長、内藤事務局長が再任されたほか、旧産別時代を含めても初めての女性中央執行委員(西野ゆかり氏・本部職員)が選ばれた。