地方公務員の給与引き下げ反対など確認/自治労の定期大会

(調査・解析部)

[労使]

自治労(人見一夫委員長、97万4,000人)は8月25日から3日間、都内で定期大会を開催し、公務員制度改革や給与問題をめぐる取り組みなどを柱とした「当面の闘争方針」を確認した。地方に勤務する公務員の給与について、地域での官民の賃金格差を解消するため、人事院から水準引き下げの意向が示されている問題では、闘争本部の設置や方針確立などを急ぐ予定だ。

政府・行政改革推進事務局がこの8月、「能力等級制」「評価制度」を導入する国家公務員制度改革関連法案の骨子案を関係労組に提示した。公務員制度全体に大きな影響を与えることから、人見委員長はあいさつのなかで「たいへん緊迫した状況だ」と強調。「民主的な改革をめざして、9月末には第2回の政労協議ができるよう努力している。労使協議を否定し、労働基本権を認めない法案には断固反対の立場で臨みたい」と述べた。

一方、地域での官民の賃金格差を解消するため、今年の人事院勧告で俸給表の水準引き下げが言及されたことについては「総人件費を抑制する目的でしかない」と政府の姿勢を強く批判。そのうえで「職員の生活維持を基本に、公務員賃金のあり方についても対案を示したうえで連合に結集して取り組んでいきたい」と述べた。

「月例給の改定を見送る」とした人事院勧告をベースにこれから本格化する給与関連の交渉にあたって、当面の闘争方針は、全単組が勧告どおり、最低限、現行の水準を維持・確保するよう取り組みを進めるとしている。

地域給与の問題では、総務省が9月下旬に有識者、地方の人事委員会などで構成する公務員給与に関する研究会を立ち上げ、検討を開始することから、「この研究会に的確に対応する」とし、公務員給与と制度のあり方についても総合的な論議を行うとしている。

公共サービス分野で進む規制改革、民間への開放化の動きに対しては、「公共サービス規制改革対策本部」(仮称)を設置し、「『質の高い公共サービス』を守る国民的運動を展開する」構えだ。

討論では、地域給与問題で「反対の認識をもっと明確にすべき。強行された場合の統一ストも考えて本部は態勢づくりに努力してほしい」(富山県本部)、「地域『差別』給の導入であり、地方の軽視だ。絶対に許されないと本部はこの大会で明らかにしてほしい」(宮崎県本部)などの意見が出された。

大会ではこのほか、全国一般、都市交・全水道との組織統合に向けた取り組みについても議論が行われたが、全国一般との統合については「組織形態が異なるのに、統合ありきだ」(岐阜県本部)など本部方針への反発も多く出された。