組織化が最重点課題、産別統合は頓挫/私鉄総連の新運動方針

(調査・解析部)

[労使]

私鉄総連が組織化の強化を打ち出した背景には、運輸労連、交通労連、全自交労連とで1999年以降進めてきた組織統合の協議が行き詰まり、この4月、正式に協議を打ち切ったことがある。4産別は当初、組織統合によるスケール・メリットによって、財政の効率化が図れると期待していた。だが、協議開始の時点に比べ各組織の組合員数が予想以上に減少。このまま統合しても、当初思い浮かべていた運動や組織運営は実現できないとして、統合の協議を「いったん白紙に戻す」ことにした。なお、平成15年の厚生労働省調査によると、私鉄総連の組合員数は、前年に比べ8,820人減少している。

一方、方針は来春闘について、「交通運輸産業の特性からしても、経験に応じて賃金が上がるという定期的な昇給の考え方は否定されるものではない」とし、組合員の賃金を将来的に守っていく視点にたてば「ベア分を獲得していくとの要求は当然だ」との姿勢を示している。

役員改選で山野委員長(南海電鉄)に代わり、現書記長の設楽利夫(東武鉄道)氏が新委員長に選出された。