国家公務員の基本給据え置きの見通し/人事院勧告

(調査・解析部)

[労使]

人事院が8月上旬に内閣に提出する2004年度の国家公務員給与改定勧告で、月例給の改定を見送る見通しであることがわかった。28日に人事院と交渉した連合傘下の公務労協が明らかにしたもの。21日に人事院が発表した「職種別民間給与実態調査結果」でも、賃金カットを行った事業所は昨年より大幅に減り、定昇を増額したところも増えている。

公務労協によると、人事院は月例給の改定について「俸給表に手をつけない可能性もある」などと述べて3年連続のマイナス改訂は見送られる公算が強まった。また、期末・勤勉手当についても現行水準据え置きの見通しが強まっており、6年連続引き下げの可能性は遠のいたと組合側は見ている。

また、勧告とともに示される報告には、寒冷地手当の具体的な見直し方法にくわえ、給与構造と地域給与の見直しの基本的な考え方などが盛り込まれる見込み。

寒冷地手当については、 (1) 支給基準を「0度以下、積雪15cm以上」と「積雪80cm以上」とする (2) 支給額はほぼ半減する (3) 一括支給方式を改め11~3月までの5ヵ月間の月割り支給方式とする (4) 本年度から実施するが、激変緩和措置として指定解除地域は2年据え置き、3年めは4万円、以降3万円刻みで最大6年で逓減する――ことなどがほぼ固まっている。

今年の「骨太方針」にも盛り込まれた、地方で働く国家公務員給与の見直しについては、 (1) 賃金センサスによる県別比較ではなく、ブロック別官民較差を考慮して全国共通俸給表の水準引き下げを検討する。(ブロック別ラスパイレス比較の試算では、5~7%の較差にとどまっている) (2) そのうえで民賃の高い地域には、上限20%程度の地域手当あるいは地域調整額を検討する (3) 具体的には一年かけて検討し、来年度の勧告で示す――ことなどが予想されている。

給与構造の見直しでは、「俸給表構造の見直し」(級の新設・統合による級構成の再編、昇給カーブのフラット化)、「昇格基準、昇格時の給与額決定方式の見直し」「査定昇給の導入、枠外昇給の廃止」――などが盛り込まれる予定で、能力・業績主体の賃金制度見直しの方向が強く打ち出される見込みだ。