失業した組合員の再就職支援にも着手/電機連合の新運動方針

(調査・解析部)

[労使]

大手電機メーカーなどの労働組合で構成する電機連合(古賀伸明委員長、約65万人)は6、7の両日、さいたま市で定期大会を開催し、向こう2年間の新運動方針を確認した。失業した組合員の再就職支援に着手し、「雇用支援センター」(仮称)の設置に向けた検討を開始する。

在職中の組合員に対する職業能力開発・キャリア形成については、昨年10月に立ち上げた「電機産業職業アカデミー」のなかで、すでに支援を開始している。職業アカデミーでは、キャリアの相談室を試行的に設置するとともに、加盟組合の企業が実施している研修講座を全組合員に開放。講座の開放では現在、大手6社など計14社が協力している。

今回の新方針は、失業してしまった組合員の能力開発・キャリア形成支援にも乗り出すもので、具体的には、キャリアの専門家とも連携して「雇用支援センター」(仮称)を設置。取り組みの細部はこれから検討するが、アカデミーが保有する加盟企業の採用情報を提供したり、アカデミーで提供している企業の研修講座を受講させることなどを考えている。

「雇用支援基金」の設立も検討する。労働金庫と協力し、教育訓練の受講にかかる資金を貸し出せるようにする。大福真由美書記長は「在職中にキャリア形成支援をうけてこなかった人たちにこそ、こうした支援が重要」と話す。ともに2005年4月のスタートをめざす。

春の総合労働条件改善闘争では、職種別賃金に向けた個別賃金要求基準のあり方について引き続き検討する。あいさつの中で古賀伸明委員長は「これからの賃金のあり方は、より仕事・職種をベースにした同一価値労働同一賃金を新たな規範とすべき。これはけっして働く者の分断を意味するのではなく、むしろ自社と他社・産業の横断性、男性と女性、正社員と非正規社員の間での格差を是正させるベースとなる」と述べた。また、古賀委員長は、ベア要求断念が今春で3年連続となった賃上げ交渉について「このことは決してベアも含めて賃金への配分を放棄したものではない」と強調。来年も今年と同様に賃金要求に当たっての4つの根拠-- (1) 実質賃金の維持・向上 (2) 国民経済の成長性 (3) 賃金の社会性 (4) 産業・企業業績の成果反映--をもとに「慎重に検討しながら判断する」との考えを示した。

業績連動方式を採用する大手10組合の一時金水準がこのほど確定。大福書記長が闘争まとめのなかで、「4.28カ月~5.05カ月で昨年に比べ上昇にシフトした」と発表した。役員改選が行われ、古賀委員長(松下電器)、中村正武副委員長(日立)、大福書記長(三菱電機)は留任した。