人勧制度廃止、争議権付与を/連合が公務員制度改革で提言

(調査・解析部)

[労使]

連合は23日、「公務員制度改革に関する提言」を発表した。提言は人事院勧告制度の廃止や公務員への争議権付与など、政府案への対案として6本の柱を提起している。連合の対案は、昨年11月に発足した学者や弁護士ら専門家9人でつくる「公務員制度改革に関する研究会」(座長=西尾勝・国際基督教大学教授)で検討してきたもの。

提言はまず、現行の公務員制度について「社会・経済構造が劇的に転換する下で、政官業の利権構造に組み込まれた行政とそれを支える公務員制度は、機能不全を露呈している」と指摘。「公務員制度には何より国民の信頼が求められ、制度と運用の抜本的改革が焦眉の急だ」とし、改革の柱を6本設定している。

第1は、幹部公務員の任用を内閣で一括管理するほか、事務次官職を大臣と運命を共にする新たな政治任命職にするといった「内閣主導体制の確立」。第2は「公正・中立・透明で民主的な人事行政システムの構築」で、具体的には「特権的なキャリアシステムの廃止」「建前としての職階制の廃止」「すべての天下りの規制」――などを盛り込んだ。

第3は、人事院勧告制度を廃止し、団体交渉によって決定する「新たな給与・勤務条件決定制度の導入」を提言。そのうえで第4として、 (1) 警察や自衛隊などを除く一般職の公務員に労働基本権を保障する、 (2) 自衛隊、警察、監獄や消防職員、管理的職務の職員などを除く公務員に原則として争議権を付与する、 (3) 労使協議制を導入する――ことなどを通じた「新しい労使関係制度の構築」を求めている。

第5は、「中央人事行政機関の再編整備」。政府全体の人事管理を統一的に行うために人事管理庁(仮称)を内閣府に設置。長官(国務大臣)は総理の代理として労組との交渉・協議などを行う。また、人事院は採用、研修、苦情処理といった面で、公正・中立な人事行政を確保する独立行政委員会としての「中央人事委員会」(仮称)への改組を主張している。

同日会見した西尾座長は、「いわゆる大綱にはじまる公務員制度改革をめぐるプロセスは、非常に閉ざされた世界で議論されてきた。重要な問題だけに、国民が広く関心を持ち参加できる公開の場で審議しなければならない。仕切り直しが必要だ」などと述べ、改革の基本目標や指針などを明らかにする「公務員制度改革推進基本法」(仮称)を制定したうえでの、ガラス張りの審議を要望した。

報告を受け笹森会長は、「報告によって連合の基本要求に確かな芯を通すことができた。提言を真摯に受け止め、政労協議の場を通じて、抜本的な改革を成し遂げるために全力をあげる」と強調。そのうえで焦点の労働基本権問題について、「何としても獲得する、悲願だ。確立されたときに協議に対応できるよう、全省庁に対応組織を必ずつくる」と述べ、各中央省庁職員の組織化に力を入れる考えを改めて強調した。