ベア要求堅持・個別目標値を設定/JR連合定期大会

(調査・解析部)

[労使]

JR連合(明石洋一会長、7万3000人)は15、16の両日、都内で定期大会を開き、04年度の運動方針を決定した。明石会長はあいさつで、今後の春闘方針について触れ、「今後ともベア要求を堅持し、他産業との比較によることなく新たな目標値を個別に設定し、賃金・処遇制度のあり方について検討を進める」などと述べ、春闘再構築に意欲を示した。

JR連合は04春闘で、ベア1000円の統一要求を掲げていたが、3年連続でベアゼロに終わっていた。しかし、運動方針では、期末手当や一時金確保など、「総合的な生活改善闘争」に取り組むことで、JR連合発足時に目標として掲げてきた全産業(1000人以上)の賃金水準に到達したとの認識を示し、「従来の目標には一定の区切りをつけ、これに代わる新たな説得力ある要求根拠を確立する」と提言。単純に上位業種との格差是正をめざすとの考え方から脱却し、JR連合独自の「ポイント別目標値」を設定する考えを示した。

また運動方針には、組織強化・拡大の観点から、JR連合傘下の2単組(JR東日本労組・JR東日本ユニオン)の統一をサポートすることも盛り込んでいる。JRの産別労組は、事実上、JR連合、JR総連、国労の三極構造にあるが、JR各社に採用された新規学卒者は、それぞれの多数組合に加入するのが通例。JR東日本では、JR総連系のJR東労組が多数組合を占めている。2単組が組織統合をすることで、組織再編の「受け皿・母体」とすることが狙いで、年内にも組織統合は実現する見込みだ。

その他、大会では「中期労働政策ビジョン」も確認された。労働政策ビジョンでは、鉄道業が安全確保の見地から鍛錬された技術・技能の積み重ねが必要とし、「正社員」を基本とした「長期雇用の確保」と「一定の年功賃金の維持」を求めている。とくに今後、数年続くベテラン社員の大量退職と効率化の進展から、職場の技術・技能の低下が問題になっているとの危機感を表明。人材を育成できる環境や制度の整備に力を入れ、技術、技能の継承を積極的に進めるべきだとしている。