再出発に向けて中央委員会を開催/JEC連合

(調査・解析部)

[労使]

日本化学エネルギー産業労働組合連合会(略称:JEC連合、約12万人)は18日、横浜市内で第1回中央委員会を開き、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)をめぐる贈収賄事件で逮捕・起訴された加藤勝敏被告の会長職の解任と、「信頼回復と新たな再出発に向けて」と題する組織再生案を確認した。7月の定期大会で新役員を選出するまで、小柳正治副会長が会長代行を兼務する。

冒頭、挨拶にたった小柳正治副会長は、加藤被告が日本歯科医師会の中医協委員から金品を受け取っていたことについて「公職の身であり、かつ連合副会長、JEC連合会長の重責にある人があってはならない不祥事を起こした」などと厳しく非難。その上で、「(加藤被告を)中医協などの公職や連合に送り出したこと、内部のチェック機能が不備だったことなど、我々の責任も極めて重い」などと述べ、組織責任についても言及した。

加藤被告は2001年4月頃から2003年10月までの間、6回にわたり日本歯科医師会側の接待を受け、現金や仕立券付き服地など、計約146万円の金品を授受した疑いで4月14日に逮捕。20日間の拘留期間を経て、5月4日には東京地裁に収賄罪で起訴されている。10日には保釈申請が認められ、同被告は11日、東京地裁の許可決定に従い保釈保証金600万円を納付した。

この間、JEC連合本部は事実関係の確認や情報伝達のあり方を含め、今後の体制整備などに努め、中央執行委員会を臨時的なものも含めて3回開催。同被告の会長職の解任と小柳正治副会長の当面の会長代行就任、信頼回復に向けた対応策を講じることなどを決めた。中央委員会は、こうした中執の決定を改めて確認し、再出発に向けた意思統一を図ることが目的。大会決議事項である会長職の解任については、正式には7月の定期大会で手続きする必要がある。今回は、「緊急を要するとの判断から、大会に次ぐ決議機関で再出発に向けた取り組みとともに確認することにした」(佐藤雅是事務局長)ものだ。

中央委員会では再発防止と組織改革に向けて、「再発防止専門委員会」の設置と本部役職員・地連役員を対象とする「倫理・行動規範」を確認した。専門委員会は加盟組合、地連、本部のメンバー約10人で構成。様々な視点から今回の不祥事の原因を分析・究明し、対応策を中央執行委員会に答申する。7月の定期大会で中間報告を行い、10月を目途に最終答申をとりまとめる。

一方、加藤被告以外の本部役員が担っている審議会等の公職については、継続して組織としての責務を果たす。辞任することも含めて検討したが、その場合の関係組織に及ぼす影響や職責の重要性などを考慮し、継続することにした。現在、本部役員が就いている公職は社会保険診療報酬支払基金理事など7つ。公職ごとに事務局担当者を配置し、活動状況の把握や可能な限りの情報公開の実施などのチェック体制を整える。

質疑では、再発防止委員会のあり方に関する発言が目立った。「自らを律することができない人間は組合活動をする資格はない。高いレベルで議論して欲しい」(ブリストル・マイヤーズスクイブ労組)、「法の抜け道ではなく、社会が求めることや許されないことを自覚しているのは当然との考えに立って議論すべきだ」(三菱ガス化学労組)など、規則等に縛られないと行動できないようではいけないとの意見が出る一方、「再発防止だけでなく、再発した場合の対応策も組み込むべき」(テイカ労組)との声もあった。加藤被告の出身単組である富士フィルム労組は、同被告の特別中央執行委員を解任したことと、籍の残っていた富士フィルムも4月30日付けで解雇の決定を下したことを報告した。

なお、加藤被告の副会長職を解任し、中医協など4つの公職の辞任手続きを行った連合も20日の中央執行委員会で統制委員会を設置することを確認した。6月1日の中央委員会で発足させ、同被告の処分を正式に決める考えだ。