森越新委員長を選出/日教組の臨時大会

(調査・解析部)

[労使]

日教組(組合員32万6,000人)は18日、都内で臨時大会を開き、3月いっぱいで任期を満了する榊原長一委員長の後任に、岩手県教組委員長で連合岩手会長の森越康雄氏(56)を選出した。大会では、 (1) 「憲法論議対策委員会」の設置 (2) 教育基本法改悪阻止、義務教育費国庫負担制度堅持のための「教育を守り充実させる国民運動」の展開――などを柱とする、当面の取り組み方針を決定。特別決議として、「教育の危機に対応し『教育を守り充実させる国民運動』の推進に関する決議」など2本も採択した。

榊原委員長はあいさつのなかで、イラクへの自衛隊派遣について、「憲法違反の暴挙だ。首相は『学校で自衛隊派兵の意義を教えるべき』との驚くべき発言もしている」と改めて非難。国会の憲法調査会が衆院は今秋、参院は来年1月にも最終報告を予定していることなどについて、「首相がめざす憲法改悪を許し『新たな戦前』に向かわせてしまうのか、踏み止まり現憲法の民主的理念を完全に実現させる『真の戦後』を構築していくのか、大きな岐路に立っている。『教え子を再び戦場に送るな』のスローガンを掲げる日教組は、当然のことながら後者の立場だ」と強調し、護憲運動を組織的に強化するための「憲法論議対策委員会」の設置を提起した。

「憲法論議対策委員会」は、委員長を中心に研究者らを交えて構成。護憲の内容などを具体的に論じて意思統一を図るとともに、連合をはじめとする憲法論議に対し、憲法改悪反対の立場を明確化させる考えだ。

信任投票となった役員選挙では、森越康雄委員長を281票中信任279、不信任0、白票2で、中村譲書記長(53、神奈川県教組出身、二期目)を信任267、不信任1、白票13でそれぞれ選出した。森越氏は、八戸市出身。中学校で美術教諭を務め、80~83年に日教組青年部長、岩手県教組で書記長を経て99年から委員長を務めた。

新任あいさつのなかで森越委員長は、「多くの教育改革は学校現場からの声がないままに乱暴に進められてきたが、教育基本法を変えることが何で子どもたちの幸せになるのか、義務教育費国庫負担制度をはずすことがどうして教職員に勇気を与えるのか、私たちは子どもたちの願い、教職員の思いをよりいっそう大事にしながら、教育を良くするために共に向かおうではないか」などと述べ、満場の拍手を浴びた。

なお、榊原氏は新設する顧問職に就き、6月の連合中央委員会までは引き続き、連合会長代行を務める予定。