協約事項も前進なし/電機各社の労使交渉

(調査・解析部)

[労使]

大手電機メーカーでは、今週から3巡目の労使交渉に入っている。組合側は回答指定日(17日)直前の約1週間を重点的に賃金、一時金交渉にあてる考えで、これまでの交渉では特に労働協約改定項目の要求を受け入れるよう、強く迫っている。経営側は協約改定についても「負担増につながる」と反発している。

1日までに、松下電器、日立製作所、NECなどが2巡目の労使交渉を終えた。組合側の産業別組織である電機連合は、配偶者の出産時休暇の拡大など労働協約の改定項目について、3月5日までに解決の道筋をつけるよう、各企業別組合に指示している。17日に設定されている金属集中回答日の約1週間前を、賃金と一時金の交渉に傾注させたいためだ。松下電器では、2月27日の2回目の交渉で組合側が「(改定を求める労働協約項目の)意義、重要性は労使にとって必要な制度・仕組みだ」(松下労組)と主張し、協約改定を受け入れるよう経営側に強く迫った。

しかし、「労使で専門委員会のなかで踏み込んだ議論をしている」(富士電機グループ労連)労使もあるものの、多くの経営側は協約改定でさえも「負担増につながる」として、組合要求に反発している。また、2003年度第4四半期からの業績減速に対する危機感と、2004年度以降の業績見通しに対する先行き懸念が経営側に広がりつつあり、交渉の足かせになっている。

「第4四半期に入り、一層厳しさが増した。04年度第1四半期の見通しも、円高リスクや原材料の高騰などで厳しく、04年度が正念場」(松下)、「業績はいまだ回復途上にあると言わざるを得ない。04年度にこれまでの経営の真価が問われる」(日立)などとの認識を表明しており、「こうした経営状況を考えれば組合要求には応じられない」(東芝)との姿勢に終始している。

電機連合の古賀委員長は1日に都内・本部で開いた第2回中闘委員会で、これらの経営側の頑なな姿勢を非難。「組合側の極めて良識ある判断に対して、ただ人件費抑制を強調するだけならば、今後の組合員の協力姿勢や働き方が不十分になるだけでなく、マクロ経済も冷え込ませる」と強調した。