電機メーカーの労使交渉もスタート/組合側はベア見送り

(2004年2月27日調査部)

[労使]

電機連合に加盟する大手電機メーカーの労働組合は18~19日にかけ、一斉に要求提出した。賃金では3年連続でベア要求を見送り、現行賃金水準の維持を要求。労働協約の改定項目として、昨年7月に公布された次世代育成支援対策推進法などについて、労使協議の場の設置を要求した。

賃金水準維持の要求では、各組合が自社の業種・業態や労務構成などを勘案し、 (1) 35歳技能職・基幹労働者 (2) 30歳事務技術職・基幹労働者――のいずれかを要求ポイントとして選択する「エントリー制」を、昨年に引き続き採用。今回は、大手17メーカー組合のうち日立製作所、三菱電機など7組合が35歳ポイントを選択し、松下電器、富士通など10組合が30歳ポイントで要求した。なお、三洋電機は昨年の春闘以降、職務給を改定し、それに伴い30歳ポイントの賃金水準を前もって労使確認しているため、事実上、決着済みとなっている。

年間一時金は、10組合が業績に応じて自動的に水準が確定する「業績連動方式」を採用しているため、要求した組合は日立、三菱電機など7組合。安川電機が今年から業績連動方式に移行した。日立は昨年の妥結水準を0.7カ月上回る5.0カ月(149万6,500円)、三菱電機は同1.0カ月上回る5.0カ月(143万7,000円)を要求。大幅に業績が伸びているシャープは同0.64カ月上回る5.64カ月(176万9,230円)を要求し、交渉7組合でもっとも要求額が高くなっている。

今年は2年ごとの労働協約改定年にあたるため、各組合は協約改定項目として、昨年7月に公布された次世代育成支援対策推進法やキャリア・能力開発支援への対応なども経営側に要求した。次世代法関連では、301人以上の企業に義務づけられる「行動計画」の策定に組合も積極的に関与していくため、計画の立案や実施について協議する場の設置を要求。また、父親の育児に対する自覚を促すため、出産時の配偶者(男性)休暇の5日間への延長もあわせて求める。配偶者休暇は現在、2~3日を協定としている組合が多く、すでに5日間をクリアしているのはNECとパイオニアだけとなっている。

一方、キャリア・能力開発支援に関しては、支援策について労使で協議する場の設置を要求した。

※大手メーカー17組合の2004年総合労働条件改善闘争要求