民営化への対応と春闘方針確認/全逓中央委

(調査・解析部)

[労使]

全逓(組合員約14万3,000人)は12、13の両日、東京・水道橋の本部で中央委員会を開き、郵政民営化や04春闘に対する当面の方針を決めた。

石川正幸委員長はあいさつのなかで、小泉首相が議長を務める経済財政諮問会議が、秋には最終報告を出すとしている「郵政民営化」について「重く受け止め、具体的な対応策を組み立てていかねばならない。業績評価もないまま(2007年)民営化ありきの論議は到底容認できないし、懸命な経営努力にも水を差す」と強く非難。「全逓は、公社経営の健全化にいっそう努力するとともに、積極的な政策提言とその実現に取り組んでいく」と述べ、郵貯・簡保資金を従来以上に地域社会に役立てるため、組織内でまとめた「地域金融研究会」報告を内外にアピールするとともに、関係団体などとも連携・協力する方針を明らかにした。

中央委員会では、春闘方針として (1) 賃金水準については、4月から新人事制度にシフトすることを踏まえ、維持を基本に「自主決着」をめざす (2) 社宅制度の大幅見直し(全社宅平均で使用料を4,634円・46.6%引き上げ、無料社宅の06年度からの全額有料化、07年度をメドとする社宅定年制(世帯用で50歳)の導入など)に対し、ソフトランディングするためのとりくみを進める――ことなどを決定した。

4月から適用される新人事制度に関する中央交渉は、一部事項を除いてほぼ合意に至っている。制度は、本務者については人事評価を年1回実施し、基礎昇給、加算昇給それぞれと賞与に格差がつく仕組みで、例えば加算昇給では、評価がグループごとの職員数の上位15%なら4号あるいは2号俸昇給し、賞与(個人別業績部分)については、4段階評価の上下で最大0.6カ月の差がつくことになる。一方、人事評価が一定水準を3年連続で下回った場合には降格する(06年度から実施)。これらにより、成績優秀者と不良者の間には、年収で約1月分の差が出る見込みだ。

質疑・討論では、新人事制度の適用について「評価者に対する不信感が拭えない。くれぐれも中立性を担保してほしい」(東北地本ほか)、「都市部では持ち家は難しく、社宅制度の見直しは絶対、受け入れられない」(東京地本)などの意見が相次いだ。