国鉄闘争の新局面を宣言/国労中央委

(調査・解析部)

[労使]

国労(酒田充委員長、2万人)は1月31日、都内で中央委員会を開催した。昨年12月に最高裁がJR不採用事件で上告棄却の判決を下したため、中央委員会では、国鉄闘争が新たな局面に入ったと宣言。判決を踏まえ、改革法の立法責任のある政府を追及しつつ、政治の場で解決をはかる方向性を確認した。

昨年12月22日の最高裁判決は、JRが国労組合員らを採用しなかったことをめぐる4件の訴訟について、中央労働委員会、国鉄労働組合の上告申立てを棄却し、中労委の救済命令を取り消した東京高裁判決を支持する判決を言い渡した。最高裁(小法廷)は、3対2と評決の判断が分かれたが、多数意見は、改革法23条が採用手続きの各段階における国鉄と設立委員の権限について、これを明確に分離して規定しており、設立委員や承継法人(JR)が「使用者」として不当労働行為の責任を負うものではないと判断。国鉄が採用候補者の選定及び採用候補者名簿の作成にあたり組合差別をした場合には、国鉄、次いで国鉄清算事業団にその責任を負わせるとした。一方、少数意見は、国鉄と設立委員の権限が法に定められているため、その効果も分断されたものと解するのは、あまりに形式論にすぎると、多数意見を批判していた。

酒田委員長は、中央委員会の挨拶で、「今般の最高裁判決による司法の最終判断は、JRに使用者責任がないということのみが確定したのであって、不当労働行為は未解決課題として残っている」などと判決を批判。改革法を立法し施行した政府の責任は、最高裁判決によってより重くなったと訴えた。

中央委員会では、今後、政府の責任を追及しつつ、政治解決を基本に要請行動を展開することを確認。国家賠償請求なども念頭におき、国と旧国鉄の清算事業団を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構を訴える準備に入った。ただし、当面は不採用となった組合員をJRの関連会社などで雇用してもらうなどの政治解決を基本に、関係省庁・自民党を含む全政党に要請行動を展開する見込み。解決が不調に終われば、相手の対応を見極めて、訴訟の時期について判断するとしている。