■□――【メールマガジン労働情報/No.2107】
カスタマーハラスメント対策の義務化、26年10月施行を提示/厚労省審議会 ほか
―2025年11月19日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】カスタマーハラスメント対策の義務化、26年10月施行を提示/厚労省審議会 ほか
【統計】2025年7~9月期のGDP実質成長率、年率1.8%減/1次速報値 ほか
【労使】新総合経済対策に対する要望を公表、中小の稼ぐ力の強化など求める/日商
【動向】「心の病」、10-20代が引き続き最多/日本生産性本部 ほか
【企業】客室乗務員・空港スタッフがスニーカー着用を選べる運用を開始/JALグループ ほか
【海外】米ボーイング防衛部門のスト終結/3カ月超継続
【イベント】企業年金シンポ「~あなたの未来のために企業年金の明日を考える~」/企業年金連合会・日本経済新聞社
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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.295『「job tag」(職業情報提供サイト)のインプットデータ開発に関する研究(2024年度)』
JILPTが初期開発し、その後毎年度情報の拡充・更新を行っている職業情報のデータセットについて、2024年度
は14の職業の情報収集を行いました。
作成したデータは厚生労働省が開発・運営する「job tag」(職業情報提供サイト)に収録され、全国のキャリ
ア教育、キャリア支援の現場で活用されることが期待されます。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2025/295.html
◇調査シリーズNo.257『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)』
◇調査シリーズNo.258『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(労働者調査)』
厚生労働省からの要請を受け、民間企業における人材育成と能力開発についての取り組みの現状と課題の把握を
目的として、企業と労働者の双方を対象にしたアンケート調査を実施しました。同省が実施する『能力開発基本
調査』では調査対象となっていない小規模企業(30人未満)の状況も把握した内容となっています。
▽調査シリーズNo.257『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/257.html
▽調査シリーズNo.258『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(労働者調査)』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/258.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「企業におけるデジタル技術の活用と人材育成」 申込受付スタート!
本フォーラムでは、デジタル人材の確保・能力開発に関する研究成果を提供するとともに、デジタル技術の活用
に取り組む企業の事例を交えながら、企業組織におけるデジタル活用と人材育成の現状や課題について議論し、
未来への羅針盤を探ります。参加無料。
第1部(研究報告・公的機関における支援の取組) 2025年12月24日(水曜)~2026年1月8日(木曜) *オンデマンド配信
第2部 2026年1月8日(木曜)13時50分~16時30分 *ライブ配信
開催方式 オンライン開催(Zoomウェビナー)
<登壇者>
藤澤優 株式会社デンソー 人事企画部 担当係長
澤田知之 埼玉県 産業労働部 産業支援課 創業支援・DX推進担当 主査
石川勤 石川樹脂工業株式会社 専務取締役
上野修吾 株式会社ボナファイド 代表取締役社長
宿谷慶 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 公共職業訓練部 調査役
大嶋寧子 リクルートワークス研究所 研究センター第1研究グループ長・主任研究員
藤本真 労働政策研究・研修機構(JILPT) 副統括研究員
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20260108/index.html
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【行政】
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●カスタマーハラスメント対策の義務化、26年10月施行を提示/厚労省審議会
厚生労働省は17日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会を開催し、職場のカスタマーハラスメント対策を企業
に義務づける改正労働施策総合推進法、および就職活動中の学生などへのセクハラ対策を義務づける改正男女雇
用機会均等法の施行期日を2026年10月1日とする案を示した。それぞれの指針の素案も示し、カスハラについて
は、暴言、土下座の強要等以外に、SNSへの悪評投稿や盗撮・無断撮影なども「精神的な攻撃」の例として挙
げている。求職活動等におけるセクハラ対策では、事案が確認できた場合の行為者に対する必要な懲戒その他措
置を講じること等を指針案に盛り込んだ。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65956.html
●「職業能力開発関係厚生労働大臣表彰」の受賞者を発表/厚労省
厚生労働省は12日、2025年度「職業能力開発関係厚生労働大臣表彰」の受賞者を公表した。同表彰は、認定職業
訓練や技能検定の実施、技能振興の推進に関して、長年にわたって多大な貢献があり、他の模範になる事業所・
団体や、顕著な功績があった功労者を表彰するもの。今年度の受賞者は23事業所、15団体、116人。同時に「職
業能力開発論文コンクール」の入賞者(5論文)も発表された。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65801.html
●個人事業者への安全衛生対策など、「改正労働安全衛生法説明会」を全国13都市で開催/厚労省
労働安全衛生法等の改正により、労働者と同じ場所で働く個人事業者を労働安全衛生法による保護の対象及び義
務の主体として位置づけ、注文者等や個人事業者等自身が講ずべき各種措置が定められたことから、厚生労働省
は全国13都市で「改正労働安全衛生法説明会」を開催する(オンライン併用)。行政職員による、個人事業者等
に係る改正項目を中心に改正労働安全衛生法についての説明のほか、企業の安全衛生に関する課題や成功事例の
共有を行う座談会を開催予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei03_00004.html
●「労使関係セミナー」講義動画を公開中/中労委
中央労働委員会では、判例や労働法制に関する情報を広く発信し、労使紛争の未然防止と早期解決を図り、紛争
解決をサポートする労働委員会への理解促進のため「労使関係セミナー」を各地で開催している。中労委HPで
開催案内と講義動画(「労働事件の重要・最新判例」「労働時間規制」「日本の労働法制を考える」)を配信し
ている。受講料無料。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html
●「中小企業向け 仕事と介護の両立支援セミナー」を配信/経産省
経済産業省は「中小企業向け 仕事と介護の両立支援セミナー」を配信している。第1弾では「人的資本経営に
おける両立支援」「育児・介護休業法改正のポイント」「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライ
ン」等について解説した3本の動画を公開している。
https://www.meti.go.jp/press/2025/11/20251111004/20251111004.html
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【統計】
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●2025年7~9月期のGDP実質成長率、年率1.8%減/1次速報値
内閣府は17日、2025年7~9月期の四半期別GDP(国内総生産)1次速報値を公表した。GDP成長率(季節調整
済前期比)は、実質が0.4%減(年率で1.8%減)6期ぶりのマイナス。
需要項目別では、民間最終消費支出が実質0.1%(4~6月期は0.4%)、うち家計最終消費支出(除く持ち家の
帰属家賃)は実質0.1%(4~6月期は0.4%)だった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2025/qe253/pdf/jikei_1.pdf
●大学生の就職内定率73.4%、前年同期比0.5ポイント上昇/厚労省・文科省調査
厚生労働省と文部科学省は14日、2026年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(25年10月1日現在)を公表した。
大学(学部)の就職内定率は73.4%(前年同期比0.5ポイント上昇)、短期大学は38.4%(同3.9ポイント低下)。
文系・理系別(大学)では、文系は73.4%(同0.6ポイント上昇)、理系は73.6%(同0.5ポイント上昇)。
男女別では、男子は71.5%(前年と同水準)、女子は75.8%(同1.3ポイント上昇)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00057.html
▽公表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001332255.pdf
●9月の生産指数、前月比2.6%上昇/鉱工業指数確報
経済産業省は17日、9月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。生産
指数(季節調整済)は前月比2.6%上昇の103.2で3カ月ぶりの上昇。
業種別で上昇したのは、生産用機械工業、化学工業(除く無機・有機化学工業)、電気・情報通信機械工業など。
出荷は前月比1.1%の上昇、在庫は同0.8%の上昇。在庫率は同2.3%の低下。速報に比べ、生産、出荷、在庫は
上方修正、在庫率は変わらず。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202509kj.pdf
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【労使】
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●新総合経済対策に対する要望を公表、中小の稼ぐ力の強化など求める/日商
日本商工会議所は12日、「新たな総合経済対策に関する要望」を公表した。「中小企業の稼ぐ力の強化」では、
価格転嫁の商習慣の定着に向けた環境整備や、行政による率先した適正な価格転嫁への取組みを挙げた。とりわ
け官公需の発注時の多層下請構造を踏まえた積算等による下層企業の労務費や、材料費の増加分まで反映した適
正な金額設定の実施等を求めている。また、「地方における多様な人材の活躍と働く場の創出」では、地域人材
の確保・育成に向けた「地域プラットフォーム」の構築、専門人材が他地域で活躍できる「マッチング機能」の
充実、などの要望を盛り込んでいる。
https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/1112160000.html
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【動向】
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●「心の病」、10-20代が引き続き最多/日本生産性本部
日本生産性本部は10日、「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を公表した。
「心の病」が最も多い年齢層を10-20代と回答した企業の割合は37.6%で、前回2023年調査(43.9%)に続き最
多、2014年調査(18.4%)の2倍の水準となった。「最近3年間における『心の病』」が「増加傾向」との回答は
39.2%。大幅に増加していた前回調査(2023年)の45.0%は下回ったものの、いまだ高水準としている。
ストレスチェック制度の課題として最多は、「集団分析結果の活かし方」(65.3%)で、制度導入直後の2017年調
査と同様の結果となった。
https://www.jpc-net.jp/research/detail/007800.html
●医療従事者の「職業生活ウェルビーイング」低い傾向/民間調査
パーソル総合研究所が6日発表した、「医療従事者の職業生活に関する定量調査」結果によると、医療従事者の
人生満足度は日本の平均スコアよりやや高いが、職業生活ウェルビーイングは低い傾向にあることなどが明らか
になった。職位でみると、「一般・スタッフ職」のはたらく幸せ実感が低く、不幸せ実感が高い傾向がある。
特に、30代、また男性のはたらく幸せ実感が低く、不幸せ実感が高い。仕事のやりがいについては、半数以上が
誇りを持って職務遂行しているが、自身の職業を家族や友人らにも勧める意向を示したのは2割にとどまった。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/healthcare-worker-well-being/
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【企業】
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●客室乗務員・空港スタッフがスニーカー着用を選べる運用を開始/JALグループ
日本航空(JAL)グループは13日から、同グループ6社の客室乗務員および国内外の空港におけるスタッフ約1
万4,000人が、スニーカー着用を選べる運用を開始した。
客室乗務員や空港スタッフは、航空機内で長時間立ちながら業務にあたることや、広い空港内を長距離歩行する
場面があることから、スニーカー着用も選べる運用に変更することで、社員の身体的負担を軽減し、より快適で
安全な勤務環境を実現する。
https://press.jal.co.jp/ja/release/202511/009134.html
●トヨタ、技能職の人事制度見直し/27年4月以降、業務に応じ給与変動
トヨタ自動車は2027年4月から、工場などで働く技能職の人事制度を見直し、業務での役割に応じて月給が変動
する仕組みを本格導入する方針を固めたことが12日、分かった。電気自動車(EV)や自動運転技術などを巡り、
自動車業界で開発競争が激化する中、年功序列の要素が大きい従来の給与基準を再検討し、従業員の働く意欲向
上につなげる。
トヨタ労使が大筋で合意した。トヨタは26年度から先行して、技能職に業務での役割に応じた「役割等級」を設
定。高度な技能や役割の難易度により等級が上がる仕組みを想定し、27年4月からはこの等級に応じて、月給を
引き上げる方向で調整する。金額や制度の詳細は今後議論する。
今年3月の労使協議会では、技能職などの働き方の広がりを背景に、制度と働き方の不一致について議論が行わ
れた。佐藤恒治社長は、技能職の業務の多様化を踏まえ、昇格や手当の在り方を点検して人事制度を見直す方針
を示していた。(時事通信 2025年11月12日)※リンク先なし
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【海外】
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●米ボーイング防衛部門のスト終結/3カ月超継続
国際機械工労組(IAM)は13日、米航空機大手ボーイングのミズーリ州セントルイス近郊の防衛関連工場で働く
組合員が、同社が示した新たな労働協約案を承認したと発表した。組合員約3,200人が8月から3カ月以上にわ
たり続けてきたストライキは終結する。
16日から職場への復帰を始める。協約案には5年間で賃金を24%引き上げ、協約署名による6,000ドル(約93万
円)の一時金を支払うことなどが盛り込まれた。IAMは声明で「組合員が共に闘ってきたことを誇りに思い、世
界最先端の軍用機の製造に戻る準備ができている」と強調した。
工場では「F15」などの戦闘機や軍需品の製造、保守業務が行われてきたが、米メディアによるとストの影響
で納入に遅れが生じていた。昨秋にはボーイングの商用機部門でも、従業員約3万3,000人がストを行った。
(ニューヨーク時事 2025年11月14日)※リンク先なし
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【イベント】
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●企業年金シンポ「~あなたの未来のために企業年金の明日を考える~」/企業年金連合会・日本経済新聞社
企業年金連合会と日本経済新聞社は12月12日(金)、「企業年金シンポジウム~あなたの未来のために企業年金
の明日を考える~」をハイブリッド開催する(会場・日経ホール/大手町)。積極的な取組みを行う企業や関係
者を招き、講演やパネルディスカッション等を予定。退職給付制度として企業年金を導入した中小企業経営者な
どから、導入の背景やメリットについて話を聞く。参加には事前申込が必要。
会場参加定員:300人、オンライン参加:制限なし、参加無料。
https://seminar.nikkei.co.jp/e/991488