メールマガジン労働情報 No.2106

■□――【メールマガジン労働情報/No.2106】

「総合経済対策」「マクロ経済運営」など議論/経済財政諮問会議 ほか

―2025年11月14日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「総合経済対策」「マクロ経済運営」など議論/経済財政諮問会議 ほか
【統計】10月の街角景況感、6カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査
【労使】労働移動の積極推進、実現に向けた「アクションプラン」を発表/経団連
【動向】24年度の実質労働生産性上昇率、4年連続のプラス/日本生産性本部 ほか
【企業】第一生命、「同意なき転居」廃止/27年度から適用、大手生保初
【判例】アドバンテスト、持ち帰り残業巡り和解 解決金400万円支払い/さいたま地裁
【海外】労災被害者の生活と権利を守る/台湾労働部の『法的権益支援プラン』始動
【イベント】女性活躍推進セミナー「地域の企業における女性活躍の現在~住み続けたい地域をめざして」/国立女性教育会館 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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☆事務職員(中途採用)の募集について(令和7(2025)年度採用)

労働政策研究・研修機構では、情報システムを担当する事務職員を募集します。
詳細は転職・求人サイト「Type」をご覧下さい。
【応募はこちらから】https://type.jp/job-1/1349650_detail/?pathway=5

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【行政】
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●「総合経済対策」「マクロ経済運営」など議論/経済財政諮問会議

政府は12日、経済財政諮問会議を開催した。総合経済対策の策定の首相指示、AI・半導体等17の「戦略分野」と
労働市場改革など8つの「分野横断的課題」からなる重点施策、日本銀行の経済・物価情勢に関する『展望レポート』
などに関する議論をふまえ、高市首相は、政府・日本銀行が一体となり、強い経済成長と安定的な物価上昇の両
立を目指すと述べた。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/1112agenda.html
(首相官邸ウェブサイト)
https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202511/12keizai.html

●住宅分野の建設技能者、持続的確保への課題と検討の方向性とりまとめ/国交省

国土交通省はこのほど、「住宅分野における建設技能者の持続的確保懇談会」のとりまとめを公表した。
住宅建設技能者を取り巻く状況について、(1)不安定・不十分な就労環境、(2)技能継承の難しさと教え手の不足、
(3)女性が働くのが難しい職場環境、(4)学生・学校・保護者からの仕事の見えにくさ、(5)中小工務店による雇用・
教育体制の確保の難しさの課題を提示。今後の検討の視点・方向性として、社員大工化の推進などを通じた
「選ばれる業界・職場への変革」、業界団体と教育機関が連携した「育成環境の整備」、女性や外国人材が適切
に働ける環境整備などによる「担い手の裾野の拡大」などを提示している。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001967347.pdf
▽とりまとめ
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001967577.pdf

●「労使関係セミナー」を高知市で開催/中労委

中央労働委員会は12月22日(月)、「労使関係セミナー」を高知市で開催する。基調講演「「労働者」、「使用
者」の定義~フリーランスの労働者性について~」に続き、紛争事例の検討についてのパネルディスカッション
を予定。参加無料。会場受講の場合は、事前申込みが必要。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R071024-1.pdf

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【統計】
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●10月の街角景況感、6カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査

内閣府は11日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた10月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差2.0ポイント上昇の49.1で、
6カ月連続の上昇。家計、企業、雇用のすべての分野で改善が見られ、雇用関連DIは同0.2ポイント上昇した。
先行き判断DI(同)は、前月差4.6ポイント上昇の53.1。今回の結果について、「景気は持ち直している」と
し、前月の「持ち直しの動きがみられる」から上方修正した。先行きについては、「価格上昇の影響を懸念し
つつも、持ち直しが続くとみられる」とした。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/1111watcher/menu.html

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【労使】
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●労働移動の積極推進、実現に向けた「アクションプラン」を発表/経団連

経団連は10日、「『労働移動の積極的な推進』実現に向けたアクションプラン」と題する提言を発表した。職業
人生の長期化や就労ニーズの多様化等により、同一企業でのキャリアモデルから、複数の企業や職種を経ながら
様々なキャリア形成を志向する方向へ進みつつあると指摘。企業が取り組む事項として、通年採用や経験者採用
などの「採用方法の多様化」、社内公募制・FA制度の導入やキャリアコンサルタント等との面談を活用した
「社員の主体的なキャリア形成支援」、および「多様な人材の活躍」などを優先事項に挙げた。
政府に要望する事項としては、労働移動推進のため、基本手当の給付日数の見直しと再就職手当の給付率の引き
上げ、副業・兼業時の労働時間通算規制の見直しなどを上げた。教育機関との連携事項についても優先度を示し
ながら整理している。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/075.html

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【動向】
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●24年度の実質労働生産性上昇率、4年連続のプラス/日本生産性本部

日本生産性本部は10日、「日本の労働生産性の動向2025」を発表した。2024年度の日本の時間当たり名目労働生
産性(就業1時間当たり付加価値額)は5,543円となり、1994年度以降で最も高い水準となった。物価上昇を織
り込んだ時間当たり実質労働生産性上昇率は前年度比プラス0.2%で、4年連続で上昇率がプラス。1人当たり
名目労働生産性(就業者1人当たり付加価値額)の実質ベースの上昇率も前年度比プラス0.2%で、4年連続で
プラスとなったが、前年度(プラス0.1%)に続き2年連続で0%近傍の上昇幅となっている。
https://www.jpc-net.jp/research/detail/007803.html
(プレスリリース)
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/trend_pressrelease_2025.pdf

●26年卒の採用充足率、過去最低の69.7%/民間調査

マイナビが7日発表した、企業の新卒内定状況調査結果によると、2026年卒の採用充足率は69.7%で、現行スケ
ジュールとなった2017年卒以降で過去最低となった。
27年卒向け採用計画の策定状況を聞いたところ、81.3%が「実施する」と回答、前年よりも増加した。採用予定
数は「今年度並み(74.5%)」が最多。増加率は「増やす」が前年度比で減少し、「今年度並み」および「減ら
す」が増加した。人手不足が続く中で採用意欲は依然として高いものの、採用充足率の低下を受け、採用予定数
を増やさず現状維持または減少させる企業が増え始めているとしている。
https://www.mynavi.jp/news/2025/11/post_50868.html

●企業倒産状況は、10月として最多/民間調査

東京商工リサーチは11日、10月の全国企業倒産状況を公表した。10月の倒産件数は今年最多の965件、10月では
13年ぶりの高水準。「人手不足倒産」は37件、うち人件費倒産22件は前年比で2.2倍、「物価高」倒産85件も
17カ月ぶりの高水準としている。
帝国データバンクも同日、倒産集計10月報を公表。倒産件数965件は今年最多で10月としては2009年以降最多、
人手不足倒産42件、物価高倒産93件などとしている。
▽東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1201992_1610.html
▽帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20251111-bankruptcy202510/

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【企業】
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●第一生命、「同意なき転居」廃止/27年度から適用、大手生保初

第一生命ホールディングスは11日、傘下の第一生命保険の内勤職を対象に、同意のない転居を伴う転勤を廃止
すると明らかにした。大手生保では初めての取り組みという。仕事の役割や成果、専門性と連動した処遇体系
も導入。2027年度に社員約1万5000人を対象に人事制度を改定したい考えで、労使間での協議を経て決定する。
これまでは全国転勤型とエリア限定型などを入社時に選択していたが、こうした区分を廃止。毎年、「本拠地」
に設定するエリアと、転勤可能なエリアをそれぞれ選択できるようにする。その際、転勤しないという意思表
示も選択肢に入れる。転勤者に対しては、配置に納得感が持てるよう月額最大16万円を支給する。
また、生産性の向上を目指し、年次や年齢ではなく、仕事内容や責任の重さ、成果に基づく処遇体系を導入する。
専門性が高い職務を担う人材は給与水準を引き上げるなどし、例えば保険料を算出するアクチュアリー(保険
数理人)では20代の社員で年収が最大約140万円アップする。
(時事通信 2025年11月11日)※リンク先ページなし

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【判例】
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●アドバンテスト、持ち帰り残業巡り和解 解決金400万円支払い/さいたま地裁

東証プライム上場の半導体検査装置メーカー「アドバンテスト」(東京都千代田区)に勤める40代男性が、労働
時間として記録されなかった「持ち帰り残業」の残業代支給を求め、さいたま地裁に起こした訴訟で、同社が解
決金400万円を支払うことで和解が成立したことが10日、分かった。男性が記者会見し明らかにした。和解は10月
10日付。
男性によると、同社は2014年10月、働き方改革の一環として、毎月の残業時間を9時間に制限。一方で業務量は
減らず、退勤の打刻後にパソコンを持ち帰り、自宅で残業することが常態化していたという。男性は、実質的な
残業時間は平均で月100時間以上で、150時間を超えることもあったとし、18年には適応障害と診断されて約10カ
月間休職したと主張した。
和解内容は、男性が残業代支給を求めた期間に月約120時間残業した分に相当する400万円を、同社が解決金とし
て支払う。残業があったかどうかは盛り込まれなかった。男性は記者会見で「金銭的解決は得られたが、失われ
た健康や心の平穏は戻らない。最も重要なのは持ち帰り残業をなくすことだ」と訴えた。
(時事通信 2025年11月10日)※リンク先ページなし

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<台湾>
▽労災被害者の生活と権利を守る/台湾労働部の『法的権益支援プラン』始動

労災事故が発生した場合、補償を免れようとする悪質な雇用主により、多くの労働者が正当な権利を行使できず、
遺族が深刻な経済的打撃を受けるケースが後を絶たない。こうした状況を改善するため、台湾労働部は10月23日、
「労働災害による労働者および家族の法的権益支援プラン」を発表した。同プランは、労災被害者の生活再建と
権利保護を強化するとともに、企業側の安全意識向上を促す政策として期待されている。実施は2026年1月1日
からの予定である。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/11/taiwan_01.html

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【イベント】
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●女性活躍推進セミナー「地域の企業における女性活躍の現在~住み続けたい地域をめざして」/国立女性教育会館

国立女性教育会館は、女性活躍推進セミナー「地域の企業における女性活躍の現在~住み続けたい地域をめざし
て」をオンデマンド配信で開催する。開催(配信)期間は2026年1月19日(月)~2月6日(金)。
女性活躍推進法の改正の概要等についての情報提供に続き、講義「地方企業のジェンダーギャップ解消の現状と
地域のアクターの役割」や事例報告を予定。参加無料。専用フォームから申し込む。定員150人程度、
申込受付期間は11月21日(金)から12月17日(水)16時まで。
https://www.nwec.go.jp/event/training/g_soshiki2025.html

●「ミドル世代の採用・定着セミナー」/千葉県ジョブサポートセンター

千葉県ジョブサポートセンターは11月27日(木)、「ミドル世代の採用・定着セミナー」をオンライン開催する。
内容は、「ミドル人材の力を活かす採用戦略~就職氷河期世代を即戦力に変えるヒント~」。参加費無料。
対象は県内企業の経営者及び人事労務担当者。定員は15名程度(事前予約制)。
https://www.chiba-job.com/event/6595