■□――【メールマガジン労働情報/No.2095】
労働者協同組合の設立、施行後3年で168法人/厚労省 ほか
―2025年10月8日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】労働者協同組合の設立、施行後3年で168法人/厚労省 ほか
【統計】実質賃金は1.4%減で8カ月連続マイナス、現金給与総額等は増加が続く/毎勤統計調査8月速報値 ほか
【労使】報告書「女性労働者の職場における健康課題」を発表/連合総研
【動向】「人手不足」倒産、「後継者難」倒産ともに高水準/民間調査 ほか
【企業】女性のキャリア開発、「クロスメンタリング」で支援/民間8社合同で ほか
【海外】手工業分野における雇用構造の変化と女性マイスターの台頭/ドイツ ほか
【イベント】「介護と仕事の両立推進シンポジウム」/東京都 ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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☆ポータルサイト「賃金・賃上げ等に関する調査研究成果等」を新設しました!
JILPTの最近の調査・研究成果、統計情報等をご覧いただけます。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/chingin/index.html
☆労働政策フォーラム「健康格差社会とミドル・シニアのウェルビーイング」(9月5日開催)の
配付資料と動画(基調講演・研究報告)を公開しました!
(資料)https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250905/resume/index.html
(動画)https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250905/video/index.html
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【行政】
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●労働者協同組合の設立、施行後3年で168法人/厚労省
厚生労働省は2日、労働者協同組合法の施行(2022年10月1日)から3年が経過した時点での労働者協同組合の
設立状況を公表した。設立数は計168法人、前回公表の25年4月1日時点から24法人増加し、新たに和歌山、徳
島でも設立された。
労働者協同組合は、労働者が組合員として出資し、その意見を反映しつつ自ら事業に従事することを基本原理と
する組織。高齢者支援、店舗運営、配送、子ども支援、広告物や映像制作・イベント企画など、多様な事業分野
で就労機会を創出している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63778.html
▽労働者協同組合の設立状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001310843.pdf
●「中高年の活躍支援」特設サイトをオープン/厚労省
厚生労働省は、「就職氷河期世代活躍支援」特設サイトを「中高年の活躍支援」特設サイトとしてリニューアル
した。バブル崩壊後の厳しい雇用環境下で就職活動を行った就職氷河期世代が50代半ばに差し掛かっていること
を踏まえ、支援対象を広げる。広報コンテンツ「あきらめなくて大丈夫。あなたに本気の支援があります」では、
就労支援施策の周知と利用促進を行う。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63838.html
●11月「過労死等防止啓発月間」にシンポジウム、キャンペーンを実施/厚労省
厚生労働省は「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーン
などを行う。47都道府県での「過労死等防止対策推進シンポジウム」のほか、「過重労働解消キャンペーン」
として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、一般からの相談を無料で
受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行う。同月間は「過労死等防止対策推進法」に基づき、
過労死防止の重要性について関心と理解を深めることを目的に、毎年11月に実施している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64204.html
●「労使関係セミナー」を青森市で開催/中労委
中央労働委員会は、「労使関係セミナー」を開催する。同セミナーは、裁判例や労働法制に関する情報を広く発
信し、労使紛争の未然防止及び早期解決を図ることなどを目的として、学識経験者による基調講演や労働委員会
委員等によるパネルディスカッションを行っている。
11月7日(金)には青森県・青森市で基調講演「職場のハラスメント対策について~セクハラ、マタハラ等の防
止への取り組み~」とパネルディスカッションを開催予定。参加無料。会場受講の場合は、事前の申込みが必要。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R070813-1.pdf
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【統計】
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●実質賃金は1.4%減で8カ月連続マイナス、現金給与総額等は増加が続く/毎勤統計調査8月速報値
厚生労働省は8日、8月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。現金給与総額は、
就業形態計で前年同月比1.5%増の30万517円(44カ月連続プラス)、うち一般労働者が同1.9%増の38万5,804円
(53カ月連続プラス)、パートタイム労働者が同1.6%増の11万1,635円(50カ月連続プラス)。
現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比1.4%減となり、8カ月連続のマイナス。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2508p/dl/houdou2508p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2508p/2508p.html
●二人以上世帯の消費支出、前年同月比2.3%増/8月家計調査報告
総務省が7日に発表した「家計調査報告(8月分)」によると、二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は31万
3,977円、前年同月比で実質2.3%増加と、4カ月連続の増加。支出項目別でのプラス寄与は、自動車購入などの
自動車等関係費(1.49%)、国内外のパック旅行費などの教養娯楽サービス(0.91%)、諸雑費(0.51%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり60万8,578円(前年同月比2.8%増)で3カ月ぶりの実質増加となった。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
●8月有効求人倍率1.20倍、前月比0.02ポイント低下/一般職業紹介状況
厚生労働省は3日、2025年8月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.20倍で、前月
に比べて0.02ポイント低下。新規求人倍率(同)は2.15倍で、前月比0.02ポイント低下。新規求人(原数値)は、
前年同月比で6.2%減。産業別にみると、生活関連サービス業,娯楽業(16.1%減)、卸売業,小売業(12.7%減)、
宿泊業,飲食サービス業(10.7%減)、教育,学習支援業(9.4%減)、製造業(6.7%減)などで減少となった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64026.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001571108.pdf
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【労使】
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●報告書「女性労働者の職場における健康課題」を発表/連合総研
連合総研は9月24日、報告書「女性労働者の職場における健康課題―女性が健康に働き続けるための環境整備に
関する調査研究委報告―」を発表した。人生100年時代において女性が(男性も)健康で働き続けるための環境
整備について、医療・安全衛生・労働法など職場における様々な観点から現状と課題について考察した内容と
なっている。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2025/09/240900.html
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【動向】
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●「人手不足」倒産、「後継者難」倒産ともに高水準/民間調査
東京商工リサーチ(TSR)は3日、2025年1月~9月の「人手不足」倒産の調査結果を公表した。「人手不足」
が一因となった倒産は、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)で、要因別では、「求人難」が105件(前年同
期比16.6%増)、「人件費高騰」が92件(同26.0%増)、「従業員退職」が88件(同62.9%増)、いずれも過去
最多。10月以降の地域最低賃金の引き上げによるコストアップで収益確保が難しい中小企業を中心に、「人手不
足」倒産が年間300件を超えることは確実としている。
帝国データバンク(TDB)が6日に公表した4~9月の人手不足倒産は214件(前年同期比51件増加)、3年連続
で過去最多を更新した。業種別では「道路貨物運送業」33件(同14件増)が最多、「老人福祉事業」11件(同3
件増)が続く。
また、東京商工リサーチが6日に公表した「後継者難」倒産の調査結果によると、「後継者難」倒産は、332件
(前年同期比4.5%減)で2年ぶりに前年同期を下回ったが、前年同期の348件に次ぐ過去2番目の高水準。
代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている、としている。
▽「人手不足」倒産
$lt;TSR$gt; https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201866_1527.html
$lt;TDB$gt;https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251006-laborshortage-br25fyh/
▽「後継者難」倒産/TSR
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201872_1527.html
●4人に1人「職場に静かな退職者いる」と回答、不利益だけでなく恩恵も/民間調査
リクルートマネジメントソリューションズは9月24日、「働く人の本音調査2025 第2回」を発表した。従業員規
模50人以上企業に勤める25~59歳の正社員7,105名を対象に、近年注目を集める「静かな退職」について尋ねたもの。
仕事に必要な最低限のことだけを行い、それ以上は行わない「静かな退職」をしている同僚や上司がいると感じ
る人の割合は27.7%だった。
「静かな退職者」がいると回答した人を対象に、その影響について尋ねたところ、「不利益を被った」55.1%、
「恩恵を受けた」15.1%と、恩恵を受けたと感じた人も一定数いることが明らかになった。
https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/5418442413/
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【企業】
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●女性のキャリア開発、「クロスメンタリング」で支援/民間8社合同で
アデコ、イオン、エスエス製薬、シチズン時計、TOPPANホールディングス、パナソニック コネクト、明治ホール
ディングス、ルネサンスの8社は、女性のキャリア支援を目的に、企業横断型の「クロスメンタリング」を合同
で推進している。「クロスメンタリング」とは、メンター(支援・助言する人)とメンティー(支援・助言を受
ける人)を他企業同士で組み合わせ、キャリア形成を支援する取り組み。
本取り組みは、2022年度に経済産業省が実施した「企業横断型メンタリングプログラム」を契機に、2023年には
アデコ、パナソニック コネクト、ルネサンスの3社で開始。24年には5社に拡大し、今年は8社で約7カ月間
のメンタリングプログラムを実施する。
▽アデコプレスリリース
https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2025/0807_01
●千葉興銀、来年4月に新人事制度/専門能力重視、統合後も維持
千葉興業銀行は3日、行員の専門能力に重きを置いた新たな人事制度を来年4月に導入すると明らかにした。
銀行の職務を求める能力で五つに分類し、適性を踏まえて登用する。業務の効率化や多様化が進む中、働き方や
キャリア形成の在り方を見直す。同行は2027年4月をめどに、同じ千葉県が地盤の千葉銀行と経営統合すること
で基本合意したが、人事制度は当面維持する方針だ。
新制度は、入行からおおむね10年目以降の社員が対象。例えば、フットワークが軽く、人間関係の構築が得意な
人材は、営業やコンサルティングを担う「タイプF」、情報分析や企画にたけた人は経営企画部や人事部の一部
を含む「タイプM」などの職務に登用する。
地方銀行は、営業店舗が縮小する一方、個人・法人顧客への助言など業務の多様化が加速。年功序列を前提とし
た制度の見直しが課題だ。千葉興銀はキャリア形成の道筋も見直し、専門性を生かす「プロフェッショナル階層」
や支店長職などを目指す「マネジメント階層」に分岐していく。
職務を限定して採用する「ジョブ型雇用」の導入は地銀でも進むが、行員数約1,200人と比較的小規模な同行では
「業務を細分化し過ぎると人材と能力を生かし切れない」(関係者)と判断。求められる能力と個人の適性に着
目した独自の制度を考案したという。
千葉興銀の梅田仁司頭取は統合合意を発表した先月29日の記者会見で、個人の価値観や行動様式が変化する中、
「われわれ自身も変革しながら成長のスピードを高めなければいけない」との認識を示していた。
(時事通信)(2025年10月3日)リンク先なし
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<ドイツ>
▽手工業分野における雇用構造の変化と女性マイスターの台頭
技能人材確保支援センター(KOFA)の分析によると、深刻な技能人材不足が続く手工業分野では、ゲゼレ(職人)
の減少とマイスター(親方)の増加という雇用構造の変化が生じている。ゲゼレの減少には、少子高齢化の進行
や若年層の大学進学志向の高まりが影響しているとされる。一方、マイスターの増加は、起業時のマイスター資
格を再び必須とした12職種における「マイスター義務の復活(Ruckvermeisterung)」や、企業によるマイスター
取得支援の強化が背景にあると考えられる。中でも特に注目されるのは、女性マイスターの顕著な増加である。
これまで男性が多かった建設業などの分野にも女性の進出が見られ、慢性的な人手不足に直面する職種における
女性の参入が今後の人材確保の鍵となる可能性がある。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/germany_01.html
▽縮まらない東西の賃金格差
東西ドイツ統一から30年以上が経過した現在、かつて物理的に存在した「壁」はすでに取り払われたが、所得に
おける“見えない壁”は、なおも残されている。連邦統計局などがまとめた最新の「社会報告2024(Sozialbericht 2024)」
によれば、東西ドイツ地域間には依然として明確な可処分所得の差が存在し、特に上から10%の最上位の所得層
ではその格差が顕著である。全体の生活水準は着実に向上しているものの、所得構造に根付く東西の不均衡は容
易には解消されず、真の意味での統一にはなお課題が残ることが浮き彫りとなっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/germany_02.html
▽市民手当、完全停止はごくわずか/IAB分析
ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)は9月、失業扶助である「市民手当(Burgergeld)」に関する新たな制裁
規定の導入後の状況について、分析結果を発表した。それによると、紹介された就労や協力義務を拒否し続ける
「完全拒否者(Totalverweigerer)」に対して、市民手当の「基準給付(Regelbedarf)」を最長2か月間停止
できるという新たな制裁規定が、昨年3月に施行されたものの、その適用件数はごくわずかにとどまっていた。
IABは、法案提出時に想定されていた年間1億7,000万ユーロの支出削減の達成は難しく、新規定による政策効
果は極めて限定的であると指摘している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/germany_03.html
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【イベント】
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●「介護と仕事の両立推進シンポジウム」/東京都
東京都は11月6日(木)、「介護と仕事の両立推進シンポジウム」をオンラインで開催する。「介護と仕事の両
立」をテーマに、主に企業の経営者、人事労務担当者に向け、基調講演、企業の取組事例発表やトークショーな
どを予定。参加無料。定員200名、HPの申込フォームから事前に申し込む。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/ryoritsu/kaigo/symposium/
●多様な働き方EXPO「テレワークやABWで広がる、働く場所の選択肢」/東京都
東京都は10月30日(木)、テレワーク普及促進プロジェクト「多様な働き方EXPO~テレワークやABWで広がる、
働く場所の選択肢~」を会場(東京都・新宿)とオンラインでハイブリッド開催する。
テレワークやABW(Activity Based Working)などの、柔軟で多様な働き方を、制度導入するだけでなく文化と
して定着させることを目的に、専門家の知見や企業の実践事例を紹介。基調講演では、「柔軟な働き方」の捉え
方をユーモアを交え深掘りする。参加費無料。要事前申込(定員は会場150名、オンライン500名、いずれも先着順)
https://portal-tokyo-tele.metro.tokyo.lg.jp/storage/item/WorkstyleEXPO_20251030.pdf
●「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局
東京労働局は10月28日(火)、「派遣先事業主・責任者研修会」をオンライン(Zoom)で開催する。
派遣労働者を受け入れている(または受入予定の)事業所の担当者向けの内容で、男女雇用機会均等法等の
派遣労働者への適用、派遣労働者と労働基準法等の適用、外国人在留支援センターの紹介など、労働者派遣に
関わる様々なルールを説明する。参加無料。要事前申込。次回は11月17日(月)に同形式で開催予定。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_20251028_hasaki_00001.html