■□――【メールマガジン労働情報/No.2094】
医療・介護・保育分野の職種別平均手数料と離職率を公表/厚労省 ほか
―2025年10月3日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】医療・介護・保育分野の職種別平均手数料と離職率を公表/厚労省 ほか
【統計】8月の完全失業率2.6%、前月比0.3ポイント上昇/労働力調査 ほか
【労使】起業外国人のスタートアップビザ、「経営・管理ビザ」の見直しに意見/経団連 ほか
【動向】健保組合、半数近く赤字 賃上げで保険料収入増/24年度決算
【企業】三菱ケミカル、希望退職募集/300億円規模の損失計上へ
【海外】ライドシェアのギグ・ワーカーによる「労組」結成が可能に/カリフォルニア州
【イベント】特定課題講座「実例から学ぶカスハラ対策~ハラスメントと労働組合の役割について~」/神奈川県かながわ労働センター川崎支所
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【JILPTからのお知らせ】
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☆ポータルサイト「賃金・賃上げ等に関する調査研究成果等」を新設しました!
JILPTの最近の調査・研究成果、統計情報等をご覧いただけます。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/chingin/index.html
☆労働政策フォーラム「健康格差社会とミドル・シニアのウェルビーイング」(9月5日開催)の
配付資料と動画(基調講演・研究報告)を公開しました!
(資料)https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250905/resume/index.html
(動画)https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250905/video/index.html
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【行政】
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●医療・介護・保育分野の職種別平均手数料と離職率を公表/厚労省
厚生労働省は9月30日、医療・介護・保育分野における全国と地域ブロック別の職種別平均手数料(2023年度実
績)と離職率(2022年度実績)を公表した。離職率(全国)は、介護15.3%、保育12.2%、看護10.5%、医師3.0%。
介護の離職率は10の地域ブロック中6ブロックで最も高く、残りは保育が3ブロック(北海道、北関東・甲信、
東海)、看護が1ブロック(四国)で最高だった。職業紹介手数料(全国)は、介護が最も低い55.1万円で、低い
順では看護63.9万円、保育64.6万円、医師82.4万円となっている。厚労省は、これらについて、職業紹介事業
者を選択する際の参考などに活用してもらいたいとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/36163_00001.html
●教員の働き方改革に向け指針通知、月の残業45時間以下を100%に/文科省
学校の働き方改革や教員の処遇改善等を盛り込んだ「給特法等改正法」の成立を受け、文部科学省は9月26日、
教員の業務量管理や健康確保措置等に関する指針を全国の教育委員会に通知した。指針では、1カ月の時間外勤
務が45時間以下の教職員の割合を100%にすること、1年間の時間外勤務の平均が月30時間程度となることなど
を目標としている(指針のポイント5~6頁)。また、教師が教師でなければできない業務に専念できるように
との観点から、「学校と教師の業務の3分類」を示し、「保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等の学校では
対応が困難な事案への対応」を「学校以外が担うべき業務」とするなど、業務を不断に見直すことが必要として
いる。
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/mext_00026.html
▽指針のポイント
https://www.mext.go.jp/content/20250926-mxt_syoto01-000045031_05.pdf
▽学校と教師の業務の3分類
https://www.mext.go.jp/content/20250926-mxt_syoto01-000045031_06.pdf
●実演家と芸能事務所等の取引に関する指針を公表/内閣官房・公取委
内閣官房と公正取引委員会は9月30日、「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適
正化に関する指針」を公表した。実演家への適切な収益還元やコンテンツ産業関係者の健全な活動等を促進する
取引関係等の推進の観点及び独占禁止法等に照らして具体的な考え方を示したもの。専属義務の期間、競業避止
義務等、移籍・独立に係る妨害行為、実演家の権利や待遇に関する行為等について、芸能事務所が採るべき行動
等を盛り込んでいる。「クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査」(2024年12月)をもとに策定。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/sep/250930_geinoushishin.html
▽実態調査概要
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/dec/241226_pressrelease_geinou3.pdf
●テレビ制作会社に勧告 フリーランス法違反、条件示さず/公取委
テレビ番組の制作に携わるカメラマンに取引条件を明示しなかったなどとして、公正取引委員会は9月26日、
フリーランス法違反で、制作会社「九州東通」(福岡市)に再発防止などを求める勧告を出した。
公取委によると、同社は昨年11月~今年3月、番組の撮影や収録に当たるフリーランスのカメラマンや音声
スタッフら44人に対し、業務委託の報酬額や支払期日・方法などの取引条件を示さなかった上、期日までに報酬
を支払わなかった。一部は口頭で伝えていたが、書面では交付していなかった。社員が少なく、フリーランス法
に対応する体制ができていなかったことが原因とみられる。
フリーランス法では、報酬の支払期日を定めなかった場合、業務終了日までに支払うことになっている。しかし、
同社は業務終了後、最長で65日間の未払いを続けていた。同社の担当者は、社内研修を実施するなどして「全社
一丸となって法令順守を徹底する」とコメントした。
(時事通信2025年9月26日)※リンク先なし
●石綿対策に係る全国一斉パトロールを実施/厚労省ほか
厚生労働省は9月30日、国土交通省、環境省と合同で、石綿対策に係る全国一斉パトロールを2025年10月頃~11
月頃まで実施すると公表した。
石綿含有建材を使用する建築物等の解体工事等の増加が想定される中、23年10月1日から、建築物および船舶
(鋼製の船舶に限る)の石綿含有の事前調査は、厚労大臣が定める資格者が行うことが義務付けられた。また、
工作物の解体等の事前調査についても、26年1月1日以降着工の工事から有資格者による実施が義務付けられ、
これまで以上に現場における法令の遵守徹底が重要となる。このため各省と連携し、現場指導や監視の徹底を図る。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63935.html
●10月は「年次有給休暇取得促進期間」/厚労省
厚生労働省は、年次有給休暇を取得しやすい環境整備推進のため、10月を「年次有給休暇取得促進期間」として
いる。年休は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(2024年8月2日閣議決定)により、2028年まで
に取得率を70%とすることが目標に掲げられており、23年は65.3%と過去最高となったものの、目標には届いて
いない状況にある。
ワーク・ライフ・バランスの実現には、企業が自社の状況や課題を踏まえ、年休を取得しやすい環境づくりを継
続して行っていくことが重要であるとして、計画的な業務運営や年休の計画的付与制度の導入、様々な事情に
応じた柔軟な働き方・休み方に資する時間単位年休の活用などといった取組を推進する。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63864.html
●10月は「個別労働紛争処理制度」周知月間、手づくりYouTubeでPR/労働委員会
中央労働委員会と都道府県労働委員会は、毎年10月を「個別労働紛争処理制度」周知月間とし、集中的な周知・
広報活動を全国的に展開している。
本年度は、中央労働委員会として、初めて手づくりYouTubeを作成し、労働委員会における職場のトラブル解決
について幅広くPRする。都道府県労働委員会では、「労働相談会の開催」「出前講座やパネル展などのイベント
開催」「街頭宣伝活動の実施」などの取組を展開する。
▽報道発表資料【10月は「個別労働紛争処理制度」周知月間です】
https://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/kobetsu/r070929-1.html
▽YouTube動画【どうすればいいの・・・?職場のトラブル110番】
職場のトラブル解決法(パワハラ・退職・残業代未払い)
https://www.youtube.com/watch?v=Mi6jtduLVZU
▽YouTube動画【R7年10月労働相談会を開催します!】
https://www.youtube.com/shorts/krr_aMdHhEQ
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【統計】
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●8月の完全失業率2.6%、前月比0.3ポイント上昇/労働力調査
総務省は3日、2025年8月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季節調整値)は2.6%で、
前月比 0.3ポイント上昇。完全失業者数は182万人(前年同月比7万人増)で、13カ月ぶりの増加となった。
就業者数は 6,835万人(同20万人増)で、37カ月連続の増加。雇用者数は6,174万人(同34万人増)で、42カ月
連続の増加。うち、正規従業員数は3,711万人(同52万人増)で、22カ月連続の増加。非正規従業員数は2,111
万人(同16万人減)で、8カ月ぶりの減少。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
●業況判断DI、大企業・製造業は1ポイント上昇/日銀短観
日本銀行は1日、9月の「全国企業短期経済観測調査」(短観)結果を公表した。業況判断DI(「良い」-「悪い」)
は、大企業製造業でプラス14(前回6月調査比1ポイント上昇)。非製造業でプラス34(前回6月調査と同ポイ
ント)。全産業・規模計でプラス15(前回6月調査と同ポイント)。雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、
全産業・規模計でマイナス36(前回6月調査比1ポイント低下)。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan09a.htm
▽要旨
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk2509.htm
●7月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況
内閣府は9月29日、7月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」
は前月差1.8ポイント低下の114.1(速報値113.3)。基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止ま
りを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202507rsummary.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
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【労使】
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●起業外国人のスタートアップビザ、「経営・管理ビザ」の見直しに意見/経団連
経団連は9月24日、外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)および在留資格「経営・管理」の上陸許可
基準等に係る見直しに関する意見を公表した。日本経済・社会の発展に資する優秀な人材は積極的に受け入れつ
つ、悪質な事例取り締まりに向け早急な実態把握とエビデンスに基づく議論が必要と指摘。在留資格「投資・経
営」の資本金等の要件引き上げの検討には異論はないとし、スタートアップビザは従来どおりの要件を適用すべ
きと強調した。また、在留資格「経営・管理」の見直しでは、外国人起業家がスタートアップビザ等を通じて取
得する場合は、従来の要件を適用する特例措置を講じるべきであるとしている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/062.html
●女性役員比率18.4%に上昇 東証プライム企業/経団連調査
経団連は2日、東証プライム市場に上場している企業の女性役員比率が、今年7月1日時点で18.4%だったとの
調査結果を発表した。前年から2.3ポイント上昇したが、政府が目指す「2025年に19%」の中間目標には届かなかった。
特に経営の執行を担う社内役員が2.2%と極めて少なく、キャリアパス構築に課題が残ることが浮き彫りになった。
政府はプライム上場企業の役員に占める女性の割合を「30年に30%」へ引き上げる目標を掲げている。経団連の
会員企業に限れば2.2ポイント上昇の19.0%と、中間目標に届いた。
調査を実施した時点のプライム企業1,625社(うち経団連会員は712社)について、取締役や監査役、執行役に占
める女性割合を集計した。政府目標では一部が対象に含まれている執行役員は対象外とした。
女性役員は経営の監督や助言を担う社外取締役といった社外役員が大部分を占め、バランスを欠くのが実情。
経団連の正木義久ソーシャル・コミュニケーション本部長は「社内の女性役員候補に経営マインドを高めてもら
うよう、既存役員が指導する『メンター制度』を導入し成果を挙げている例もある。今後、積極的に紹介したい」
と話している。(時事通信 2025年10月2日)※リンク先なし
▽経団連ウェブサイト
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/064.html
●全国社会保険労務士会連合会と意見交換/連合
連合は9月18日、全国社会保険労務士会連合会との意見交換会を開催した。連合からは、集団的労使関係の強化
に向けた取り組みについて報告があり、社労士会からは「ビジネスと人権」の担い手としての「BHR推進社労士」
の養成などの活動が紹介された。
続く意見交換では、6月に成立した社会保険労務士法改正や、学校教育における「働くこと」や労働法の知識啓
発の重要性についても議論が交わされた。最後に、働く者と企業の幸せの実現に向け、両団体の連携強化が重
要であることを改めて確認し、意見交換会を終了した。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2278
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【動向】
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●健保組合、半数近く赤字 賃上げで保険料収入増/24年度決算
健康保険組合連合会(健保連)は9月25日、大企業の社員とその家族が入る1,378の健康保険組合の2024年度決算
見込みを発表した。賃上げで保険料収入が増加し、145億円の黒字となった。黒字は2年ぶり。ただ、赤字組合
は660と全体の半数近くを占めた。全体の収入のうち保険料収入は賃上げの影響で前年度比4.9%増の9兆1,444億
円となった。
支出は保険給付費が1.3%増の4兆7,925億円。新型コロナウイルス関連の医療費の減少などで、低い伸びに抑えら
れた。高齢者医療への拠出金は5.7%増の3兆8,591億円となり、過去最高となった。赤字組合の数は66減って660
組合となったが、全体の47.9%を占めた。赤字総額は2,066億円。平均保険料率は0.04ポイント増の9.31%で、過
去最高だった。少子化対策の財源として、26年度から保険料に上乗せして納める支援金については、健保全体で
年2,000億円超の負担となる見通しだ。健保連は「仮に収支が黒字となっても、支援金拠出に充てられてしまう」
と指摘し、今後も健保財政は厳しいとの見方を示した。
(時事通信2025年9月25日)※リンク先なし
▽2024年度健保組合決算見込と今後の財政見通しについて/健保連サイト
https://www.kenporen.com/include/press/2025/2025092501.pdf
https://www.kenporen.com/include/press/2025/2025092502.pdf
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【企業】
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●希望退職の募集実施、300億円を計上/三菱ケミカル
三菱ケミカルグループは9月29日、連結子会社の三菱ケミカルの社員を対象に「ネクストステージ支援プログラ
ム」を実施し、希望退職者を募集すると発表した。同社は、事業ポートフォリオ改革と収益改善に向けた各種施
策の推進を加速し、今般、組織・業務・人材の一層の最適化を図るため、固定費削減と要員構成の見直しを行う。
対象は50歳以上かつ勤続3年以上の管理職、一般社員、再雇用社員。製造従事者は原則対象外とする。
募集人数は特に定めていない。本プログラムの実施に伴い、300億円を26年3月期連結決算に非経常損失として
計上する予定。
https://www.mcgc.com/ir/pdf/02441/02691.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>
▽ライドシェアのギグ・ワーカーによる「労組」結成が可能に/カリフォルニア州
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は8月29日、ライドシェアの運転業務に従事するギグ・ワーカー
に労働組合(ドライバー組織)の結成と「団体交渉」を認める州法「TNCドライバー労使関係法(AB-1340法)」
の制定について、プラットフォーム企業側と労働者側の当事者双方が合意に達したと述べ、その成立を支持する
と発表した。同法案にはプラットフォーム企業側(ウーバーテクノロジーズ社及びリフト社)が反対していたが、
自動車事故保険料の企業負担軽減を条件に賛成に転じた。労働者側もこの条件を受け入れたことから、同法案が
成立する見通しとなった。ドライバーは雇用労働者ではなく個人請負労働者として扱われるが、報酬や福利厚生
などについて、企業側と「団体交渉」を行えるようになる。こうした州法の制定は、マサチューセッツ州に次ぎ
全米で2例目となる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/09/usa_02.html
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【イベント】
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●特定課題講座「実例から学ぶカスハラ対策~ハラスメントと労働組合の役割について~」/神奈川県かながわ労働センター川崎支所
神奈川県かながわ労働センター川崎支所は12月4日(木) 、特定課題講座「実例から学ぶカスハラ対策~ハラス
メントと労働組合の役割について~」を川崎市で開催する。
労働組合として従業員を守るため、社内のルールづくりなど企業に対してどのように働きかけていけばよいのか、
カスハラ事件訴訟に携わった弁護士が解説する。受講無料。申込先着順、定員30名。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jg5/cnt/f7615/index.html#tokuteikadai