メールマガジン労働情報 No.2096

■□――【メールマガジン労働情報/No.2096】

最低賃金引き上げなどの取組・成果を総括/第37回新しい資本主義実現会議 ほか

―2025年10月10日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】最低賃金引き上げなどの取組・成果を総括/第37回新しい資本主義実現会議
【統計】9月の街角景況感、5カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】大学等との産学連携に関するアンケート結果を公表/経団連 ほか
【動向】東証プライム企業、冬のボーナス87万円超で過去最高を更新/民間調査 ほか
【企業】全日空、定年65歳に引き上げへ/27年度から、最大で年収の9割維持
【海外】60歳以上の高齢自営業者増加/韓国銀行レポート ほか
【イベント】「職場のポジティブメンタルヘルスシンポジウム」および「オンライン相談会」/東京都 ほか

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【行政】
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●最低賃金引き上げなどの取組・成果を総括/第37回新しい資本主義実現会議

政府は3日、第37回新しい資本主義実現会議を開催し、これまでの取組と成果などについて総括した。議論を踏
まえ首相は、最低賃金が全ての都道府県で1,000円を上回る結果となったことなどに触れ、「2020年代に1,500円」
の目標達成に向け、中小企業に対し引き続き政策を総動員し、生産性の向上、競争力の強化を全力で応援するな
ど、たゆまぬ努力を継続していかなければならず、人手不足に直面する我が国では諸外国のように失業率の上昇
を心配することなく、生産性の向上に最大限注力することが可能などと述べた。
(第37回新しい資本主義実現会議)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai37/gijisidai.html
▽首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202510/03shihon.html

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【統計】
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●9月の街角景況感、5カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査

内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた9月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差0.4ポイント上昇の47.1で、5カ
月連続の上昇。企業動向関連DIは0.5ポイント低下したが、雇用関連DIは2.6ポイント、家計動向関連DIは0.3ポ
イント、いずれも上昇したことによる。2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、同1.0ポイント上昇の
48.5となった。今回の結果について、「景気は持ち直しの動きがみられる。先行きについては、価格上昇や米
国の通商政策の影響を懸念しつつも持ち直しの動きが続くとみられる」とした。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/1008watcher/menu.html

●8月基調判断「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数速報

内閣府は7日、2025年8月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は113.4で、
前月と比較して0.7ポイント下降し、2カ月連続の下降。マイナスに寄与したのは「輸出数量指数」「生産指数
(鉱工業)」「商業販売額(小売業)」など。一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」として据え置い
た。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202508psummary.pdf

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【労使】
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●大学等との産学連携に関するアンケート結果を公表/経団連

経団連は6日、大学等との産学連携に関するアンケート結果(速報版)を発表した。人材交流では、企業から大
学への派遣実績がある企業は約8割で、業務委託契約(67.3%)が最多、次いで出向(52.7%)、兼業(38.6%)。
主な目的は、「社内にない知見・ネットワークの活用」(87.0%)、人材育成(68.5%)、技術移転・実用化
(55.4%)など。93.4%の企業が成果・効果ありとしている。(速報版6頁)
リスキリング・リカレント教育で大学を活用する企業割合は4割前後だが、大学への期待では、DX人材が学部、
修士、博士のいずれでも80%超と高く、バイオ人材・ヘルスケア人材は博士課程レベルの需要が高い。ビジネス・
専門職系の経営人材では、修士・博士レベルでの活用期待が80%超と最多。(同17頁)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/068_kekka.pdf

●新しい資本主義実現会議で意見表明/日商、連合

日本商工会議所会頭と連合会長は、3日に開催された新しい資本主義実現会議で、最低賃金引き上げや、来春の
賃上げ等について、意見を表明した。
日本商工会議所の小林会頭は、中小企業・小規模事業者の持続的な成長と賃上げの挑戦を後押しする「賃金向上
推進5か年計画」に基づく施策パッケージの迅速かつ実効性の高い執行を期待するとする一方、「2020年代中に
全国加重平均1,500円」の政府目標については、「中小企業の実態を踏まえた目標とは言い難い」、「最低賃金
が地方経済や中小企業に与える影響を注視する必要がある」などとする意見書を提出した。
連合の芳野会長は、「新しい資本主義実行計画」の「物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルムと
して我が国に定着させること」を次期政権に引き継ぐこと、来年の賃上げ実現に向けた課題意識の共有と社会的
機運醸成のため、年内の政労使の意見交換の開催、地方版政労使会議の複数回の開催を要望するとした。
▽日本商工会議所会頭意見書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai37/shiryou4.pdf
▽連合会長意見表明
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2284

●「2025連合全国セイフティネットワーク集会」を開催/連合

連合は2日、「2025連合全国セイフティネットワーク集会」を開催し、構成組織・地方連合会から、対面・オン
ラインを合わせて126人が参加した。同集会は、労働安全衛生に関する最新情報の提供や労組の取組の共有、意
見交換を目的に1993年より継続的に開催されているもの。今回は、最近の労働安全衛生法令の改正内容を踏まえ、
「高年齢労働者の労災防止対策」および「熱中症対策」について議論した。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2282

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【動向】
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●東証プライム企業、冬のボーナス87万円超で過去最高を更新/民間調査

労務行政研究所は1日、東証プライム上場企業の2025年「年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」結果
を発表した。25年年末一時金の支給水準は、全産業ベース(175社、単純平均)で87万4,214円、前年同期比4.4%
(3万7,180円)増で、1970年の調査開始以来、過去最高額を更新した。
妥結額の推移を見ると、コロナ禍の影響で2021年に71万5,553円まで減少したが、2022年にはマイナスの影響が薄
らぎ78万6,945円と大幅増加し、4年連続で対前年同期比プラスとなっている。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000089763.pdf

●地方自治体職員の能力・資質、「IT活用力」の重要性が大幅アップ /民間調査

日本能率協会は1日、全国の地方自治体の人事部門を対象に実施した「第2回 政策形成力・人材育成に関する
調査」結果を発表した。職員に求められる能力・資質の不足度では「IT活用力」が前回18位から2位へ大幅アップ
したほか、重要度でも前回16位から1位へ大幅アップとなり、多様化する行政ニーズ対応と人材不足からDXやAI
活用の必要性が高まっているとしている。
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2025/10/20251001_human-resource-development_release.pdf

●教員の仕事時間、日本が最長 小中学校、平均を10時間上回る/OECD調査

経済協力開発機構(OECD)は7日、学校や教員に関する各国の状況を比較した2024年国際教員指導環境調査の結
果を発表した。日本の常勤教員の仕事時間は1週間当たり小学校で52.1時間、中学校で55.1時間となり、各国と比
較すると、18年の前回調査に続いて最長だった。日本は小中学校とも前回から4時間減少したものの、各国平均
を10時間以上も上回っており、長時間労働の深刻さが依然として際立っている。
調査には、OECD加盟国など55カ国・地域が参加。データの比較が可能であるとして、小学校は12カ国、中学校は
27カ国を対象に平均値を集計した。
教員の仕事時間の各国平均は、小学校で40.4時間、中学校で41.0時間。日本はそれぞれ11.7時間、14.1時間も
上回った。日本は、小中学校とも授業時間の長さは各国平均を下回ったが、学校運営や事務に関する業務に割く
時間が長い。
教員の不足を感じる校長の割合は、小学校の各国平均が28.7%、中学校が23.1%であるのに対し、日本は小学校
40.7%、中学校35.6%に上る。日本で不足を感じるとの回答は、小中学校とも前回調査から伸びた。人工知能
(AI)の活用状況を見ると、調査時点から過去12月以内に授業などで使用した割合は、小学校の各国平均が
36.9%、中学校が36.3%だった。一方、日本の小学校は16.0%、中学校は17.4%にとどまる。
このほか、AIが児童生徒の「偏った見方を増大させる」と教員が考える割合は、日本の小学校で48.4%、中学校
で51.0%。各国平均を8~8.5ポイント上回り、日本の教員がAIに関するリスクを強く認識していることが確認された。
(時事通信2025年10月7日)※リンク先なし
▽OECD国際教員指導環境調査(TALIS)/国立教育政策研究所
https://www.nier.go.jp/kokusai/talis/index.html

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【企業】
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●全日空、定年65歳に引き上げへ/27年度から、最大で年収の9割維持

全日本空輸は1日までに、2027年4月から定年を65歳に引き上げる方針を労働組合に提案した。今後労使間で
協議を進め、妥結すれば新制度を導入する。専門性の高いシニア社員が安心感を持って働ける環境を整え、
若手への技術伝承を促す狙い。客室乗務員やパイロットなど全社員が対象となる。
現在、60歳以降は1年ごとに再雇用契約を結び、65歳まで嘱託社員として勤務できるが、年収は59歳時点の
6~8割程度に下がる。新たな制度では、役割や業務が限られる正社員としての雇用となるため、パイロット
や整備士など、国家資格を持ち専門性の高い社員であれば、約9割の年収を維持できる。
27年度の対象者は約1,500人で、人件費は年間で数十億円増えると見込んでいる。
(時事通信 2025年10月1日)※リンク先はありません

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<韓国>
▽60歳以上の高齢自営業者増加/韓国銀行レポート

韓国銀行は2025年5月15日、政策課題レポート「増える高齢自営業者、その理由と対応策」を発表した。自営業
者における60歳以上の割合は高く、今後も増加が予測されている。高齢自営業者は主に継続就労のために賃金雇
用ではなく自営業を選択していると考えられるが、多くは脆弱な状態に置かれている。本レポートはこうした高
齢層のためには継続雇用の保障が必要であると述べている。以下で主な内容を紹介する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/korea_01.html

▽労組法を改正/使用者の定義を拡大、労働者への損害賠償請求を制限

2025年8月24日、「労働組合及び労働関係調整法」の一部改正案が国会本会議で可決され、2026年3月から施行
される。改正の主なポイントは、(1)使用者の範囲の拡大、(2)労働者以外の組合加入制限の削除、
(3)労働者に対する損害賠償請求の制限、の3点である。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/10/korea_02.html

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【イベント】
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●「職場のポジティブメンタルヘルスシンポジウム」および「オンライン相談会」/東京都

東京都は10月23日(木)に「職場のポジティブメンタルヘルスシンポジウム~持続可能な企業を目指して:いきい
きとした職場づくりが経営を変える~」をライブ配信で開催する。11月1日(土)~30日(日)にオンデマンド配信
も実施。講師らによる基調講演・トークセッションと都内企業2社の事例発表、登壇者を交えたパネルディス
カッションを行う。視聴無料、要事前申込。
また、11月13日(木)、14日(金)に、メンタルヘルス対策の進め方などに関するオンライン相談会も実施する。
相談は無料、要事前予約(定員18社)。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/mental/suishin/r7/

●講演会「職場におけるハラスメント対策の実務」/神奈川県かながわ労働センター

神奈川県かながわ労働センターは12月1日(月)、職場のハラスメント対策講演会「職場におけるハラスメント対
策の実務~カスタマーハラスメント対策措置義務化に向けて~」を横浜市で開催する。
カスハラ対策が定められた労働施策総合推進法の施行に向け、労働問題の専門弁護士が、取り組むべきカスハラ
対策について解説する。対象は、経営者、管理監督者、人事労務担当者、関心のある方。
参加無料、要事前申込。定員100名、先着順。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/k5n/evt/e5346178.html