■□――【メールマガジン労働情報/No.2089】
最賃引上げに向けた中小企業支援策を公表/中小企業庁 ほか
―2025年9月12日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】最賃引上げに向けた中小企業支援策を公表/中小企業庁 ほか
【統計】8月の企業物価指数、前年比2.7%上昇/日銀 ほか
【労使】賃上げ獲得組合の平均賃上げ獲得額は1万円超で2014年以降最高水準に/金属労協の定期大会 ほか
【動向】面接官経験者の悩み「能力・適性の見極めに難しさ」/民間調査 ほか
【企業】三菱電機、希望退職を募集/業績好調も、人員構成適正化狙い ほか
【海外】最低賃金の引き上げ状況/2025年9月時点・中国
【イベント】「産業保健フォーラム IN TOKYO 2025」/東京労働局その他 ほか
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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)結果
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250908.pdf
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【JILPTからのお知らせ】
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☆任期付研究員(テニュアトラック)の募集について(2026年度採用)
労働政策研究・研修機構では、労使関係・人事労務管理分野で任期付研究員(テニュアトラック)を募集します。
応募書類提出期限:2025年9月30日(火)必着。
【募集要項】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2025/05.html
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【行政】
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●最賃引上げに向けた中小企業支援策を公表/中小企業庁
中小企業庁は9日、最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表した。今年の地域別
最低賃金の全国加重平均が1,121円(引き上げ率6.3%)と過去にない高水準となったことから、賃上げ原資確
保に向けて、価格転嫁対策の強化や補助金等による支援を行うほか、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力
化投資補助金(一般型)について要件緩和や審査における優遇措置を新たに実施する。
https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html
●日・オーストリア社会保障協定が本年12月1日に発効/厚労省
厚生労働省は10日、「社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定(日・オーストリア社会
保障協定)」が2025年12月1日に発効すると公表した。
日・オーストリア両国の企業からそれぞれ相手国に一時的に派遣される企業駐在員等には、日・オーストリア
両国で年金制度への加入が義務付けられており、保険料の二重払いが生じているものを解消する。これにより、
派遣期間が5年以内の見込みの場合は、原則、派遣元国の年金制度のみ加入すればよいこととなる。本協定は、
我が国にとって24番目の社会保障協定となる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/pressrelease_nenkink20250910_00001.html
●米国移民労働力の減少が労働参加率、失業率に与える影響を考察/内閣府「今週の指標」
内閣府では、経済指標の解説や注目トピックスを紹介する「今週の指標」を定期的に公表している。5日付の
「米国の移民労働力の減少が労働参加率、失業率に与える影響」では、出生地別の生産年齢人口、労働力人口、
失業者数の季節調整系列を試算し、移民政策が労働市場に与える影響を定量的に分析している。
米国外生まれの生産年齢人口、労働力人口は2025年2月以降、減少傾向にあり、その背景には同年1月に
発足した第二次トランプ政権による厳格な移民政策があるとした。一方、減少による米国全体の労働参加率や
失業率への効果は、足下ではみられないと考察した。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/index.html
▽「米国の移民労働力の減少が労働参加率、失業率に与える影響」PDF
https://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2025/0905/1384.pdf
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【統計】
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●8月の企業物価指数、前年比2.7%上昇/日銀
日本銀行は11日、企業物価指数(2025年8月速報)を公表した。国内企業物価指数は126.5で、前年同月比で2.7
%上昇、前月比0.2%の低下。前年同月比での上昇を製品別でみると「農林水産物」が40.1%で最高、「非鉄金属」
6.2%などが続く。輸入物価指数は、ドルなどの契約通貨ベースでは、前年比4.6%低下、前月比は横ばい(0.0%)。
円ベースでは前年比3.9%低下、前月比0.5%上昇。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2508.pdf
●大企業の従業員判断指数、57期連続の「不足気味」超、景況判断は2期ぶりの「上昇」超/法人企業景気予測
内閣府と財務省は11日、「法人企業景気予測調査」(2025年7~9月期調査)結果を公表した。雇用に関する
「従業員数判断」BSIは、大企業は26.8%ポイントで2011年9月末以降、57期連続の「不足気味」超。中堅企業、
中小企業はいずれも「不足気味」超。
「貴社の景況判断」BSIは、大企業はプラス4.7%ポイントとなり、4~6月のマイナス1.9から改善、1~3月期
以来2期ぶりの「上昇」超。中堅企業は「上昇」超、中小企業は「下降」超となった。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/1c202502.pdf
▽統計表等
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/data.htm
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【労使】
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●賃上げ獲得組合の平均賃上げ獲得額は1万円超で2014年以降最高水準に/金属労協の定期大会
自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5産別でつくる金属労協(JCM、議長:金子晃浩自動車総連会
長)は2日、都内で定期大会を開催し、今春闘の総括となる「2025年闘争の評価と課題」を確認した。賃上げ獲
得組合の平均賃上げ獲得額は1万169円で、昨年を上回り2014年以降で最高水準となったことから、「評価と課題」
では春闘全体の機運醸成などにつながり「JC共闘の社会的な役割を果たすことができた」と総括。金子議長は2026
年闘争に向けて、「この3年間で定着してきた賃上げの流れを今後も持続可能なものにしていかなければならない」
と強調し、消費マインドを喚起するための十分な賃上げの必要性などを訴えた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250912a.html
●26春闘も物価上昇を超える賃上げを/JAMの定期大会
金属、機械関連の中小の労働組合を多く抱えるJAM(安河内賢弘会長、36万7,000人)は8月28日から2日間、
岐阜市で第27回定期大会を開き、2025年春季生活闘争総括を確認するとともに、「2026・2027年度運動方針」を
決定した。今春闘の賃金改善分の単純平均額は9,370円、平均賃上げ妥結額は1万2,888円で、ともに過去最高を
記録。闘争総括は、2023年から続く賃上げの流れを「今後も継続していかなければならない」と強調している。
安河内会長はあいさつで2026年春闘について、トランプ関税の影響も「それほど悲観的になる必要もない」など
と述べ、物価上昇を超える賃上げを目指していく姿勢を明らかにした。新運動方針では、組織拡大に力を入れて
取り組むとしている。役員改選では安河内会長(本部)が再選された。中井寛哉書記長は退任し、新書記長には
岩崎和人氏(JAM山陽)が就任した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250912b.html
●AP25での賃金の「格差改善」は大手追従・準拠の転換への大きな一歩と評価/基幹労連の定期大会
鉄鋼、造船重機、非鉄などの業界の労働組合でつくる基幹労連(津村正男委員長、27万1,000人)は4、5の両日、
静岡県浜松市で定期大会を開催した。今春闘の最終総括である「AP(アクティブ・プラン)25春季取り組みの評
価と課題」を確認するとともに、向こう2年間の新運動方針を決定した。AP25春季取り組みの評価と課題では、
AP方針のなかで初めて具体的な改善額を示して取り組んだ賃金の「格差改善」の取り組みについて、40組合で前
進回答を獲得したことなどから、「これまでの大手追従・大手準拠の構造の転換に向けた大きな一歩である」と
評価した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250912c.html
●新書『第二次トランプ政権の環境エネルギー政策と労働者層支持の動向』/21世紀政策研究所
21世紀政策研究所は4日、新書『第二次トランプ政権の環境エネルギー政策と労働者層支持の動向』を発刊した。
2025年1月に開催したシンポジウムの内容をまとめたもので、「トランプ政権と労働者層をめぐる動向」「トラ
ンプ政権の環境エネルギー政策」について専門家が報告した内容となっている。
ディスカッションでは、一見関係ないように見える2つのテーマが、「EV化の促進と自動車関係労働組合の関係」
「共和党が労働者の支持を伸ばした現状」等、色々な形で結びついているとして、今後の展望等について議論した。
http://www.21ppi.org/theme/2025/09/04000002.html
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【動向】
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●面接官経験者の悩み「能力・適性の見極めに難しさ」/民間調査
エン・ジャパンはこのほど、面接官経験がある人事担当者を対象にした実態調査結果を発表した。面接官として
の経験年数は「10年以上」が37%で最多、1年間に担当する面接回数は「1~5回」が34%で最多、次いで「21回
以上」28%となった。面接官としてのトレーニングや研修の受講経験が「ある」と回答した人は36%にとどまり、
6割以上が研修未経験であることが明らかとなった。「面接官として悩みを感じるか」には、81%が「ある」と回
答、「候補者の能力や適性を正確に見極めるのが難しい」「候補者の本音や意欲を引き出す質問が難しい」などが
挙がった。
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42895.html
●シニア世代の「スポットワーク」利用状況など調査/民間調査
スポットワークを提供するタイミーは8日、同社サービスを利用するシニア世代(60歳以上)と、マッチングした
事業所を対象に実施したアンケート調査結果を発表した。同社に登録している60歳以上の働き手は今年4月時点で
約30.8万人で前年同月比約1.9倍。このうち65歳以上は11.0万人、同2.0倍となっている。
シニアがスポットワークをする理由は「自宅から通いやすい場所で働ける」「空き時間を有効活用」「柔軟な働き
方ができる」が上位に並んだ。一方、「マッチングしたシニアを長期採用したい」とする事業者は29.8%だった。
https://corp.timee.co.jp/news/detail-5137/
●倒産件数、8月としては高水準/民間2調査
帝国データバンクは8日、倒産集計8月報を公表した。倒産件数は751件(前年同月比、0.7%増)で、3カ月
連続で前年を上回り、増加ペースで推移。8月としては過去10年で最多。「人手不足倒産」は34件判明し、
過去最多ペースで推移、「物価高倒産」は76件、1~8月累計は615件などとしている。
東京商工リサーチも同日、8月の全国企業倒産状況を公表。倒産件数805件(前年同月比、11.3%増)で、
3カ月連続で前年同月を上回り、8月の800件台は12年ぶり。「人手不足」関連倒産23件(人件費高騰12件、
従業員退職4件、求人難7件)、「物価高」倒産55件などとなっている。
▽帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20250908-bankruptcy202508/
▽東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1201800_1610.html
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【企業】
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●三菱電機、希望退職を募集/業績好調も、人員構成適正化狙い
三菱電機は8日、53歳以上で勤続3年以上の正社員と定年後再雇用者を対象に、希望退職を募集すると発表した。
人数は定めない。応募者には通常の退職金に加え、特別加算金を支給する。業績は好調だが、高い年齢層に偏る
人員構成を適正化し、事業の持続性を高めるのが狙い。
同社によると、単体の従業員約4万2,000人のうち、条件に該当する正社員は約8,000人で、再雇用者は約2,000人。
募集期間は2025年12月15日~26年1月9日。退職日は26年3月15日。希望する正社員には再就職支援サービスも
提供する。(時事通信 2025年9月8日)
▽ネクストステージ支援制度特別措置の実施について/三菱電機・ウェブサイト(2025年9月8日)
https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/pr/2025/pdf/0908.pdf
●希望退職に1,483名が応募/ジャパンディスプレイ
ジャパンディスプレイは5日、国内の希望退職者の募集に1,483名が応募したと発表した。赤字が続くディスプ
レイ事業のコスト削減の一環として、正規雇用従業員および契約社員を対象に1,500名程度の希望退職の募集を
2025年5月から実施した結果によるもの。退職希望者には既定の退職金に加え加算金を支給、希望に応じて
再就職支援を行う。事業構造改革の進展に伴い、国内従業員数は最終的に1,000名程度になると見込んでいる。
https://www.j-display.com/news/news_file/file/250905.pdf
▽希望退職者の募集による人員削減のお知らせ/ジャパンディスプレイ・ウェブサイト(2025年5月15日)
https://www.j-display.com/news/news_file/file/250515_7.pdf
●スガキコシステムズ、総合職初任給を5万円引き上げ
ラーメンチェーン「スガキヤ」などを展開するスガキコシステムズ(名古屋市)は4日、来年4月入社の総合職の
初任給を5万円引き上げると発表した。また、全社員を対象に年間休日も108日から116日に増やす。事業拡大に
向け、優秀な人材を獲得するのが狙い。学歴別に21万~23万円となっている総合職の初任給を5万円引き上げ、
26万~28万円とする。学歴別に20万~22万円となっているエリア限定職の初任給も2万円引き上げ、22万~24万円
とする。既存の社員は今年10月に給与を引き上げる。賞与水準も維持するという。(時事通信 2025年9月5日)
▽スガキコシステムズ・ウェブサイト(2025年9月4日)
https://www.sugakico.co.jp/news/250904/saiyo
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<中国>
▽最低賃金の引き上げ状況/2025年9月時点
中国各地域の人的資源・社会保障当局は、最新の最低賃金額を相次いで公表した。2025年9月時点で、13の省・
直轄市・自治区が最低賃金を引き上げており、対象地域には、北京市や上海市、広東省・深セン市といった大都
市圏に加え、山西省、福建省、湖南省、広西チワン族自治区、貴州省、新疆ウイグル自治区などの内陸部・西部
地域が含まれる。今年の改定の特徴は、大都市圏では安定的かつ小幅な上昇にとどまる一方で、内陸部・西部地
域では二桁の引き上げが相次ぎ、地域間格差の是正を図る政策的意図がうかがえる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/09/china_01.html
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【イベント】
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●「産業保健フォーラム IN TOKYO 2025」/東京労働局その他
東京労働局、東京労働基準協会連合会、東京産業保健総合支援センターは共催で10月8日(水)に「産業保健
フォーラム IN TOKYO 2025」を江東区で開催する。
「高年齢労働者の健康確保~いくつになっても働ける職場づくり~」をスローガンに、基調講演「高年齢労働者
のウェルビーイングと産業保健に求められる役割」や高年齢労働者の健康確保に関する事例発表を予定。
参加無料。東基連の下記HPから申し込む。
https://www.toukiren.or.jp/shf2025.html
●中小企業労務管理セミナー「改正育児介護休業法~両立支援の拡充強化の実務対応~」/かながわ労働センター川崎支所
神奈川県かながわ労働センター川崎支所は10月29日(水)に、中小企業労務管理セミナー「改正育児介護休業法~
両立支援の拡充強化の実務対応~」を川崎市で開催する。改正育児・介護休業法について、企業が取るべき対応
を専門家が解説する。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jg5/cnt/f7615/index.html#roumukanri
(チラシ)
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/11050/01roumukanri_chirashi.pdf