メールマガジン労働情報 No.2088

■□――【メールマガジン労働情報/No.2088】

「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)結果を記者発表 ほか

―2025年9月10日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】地域最低賃金は1,121円、引上額66円は過去最高、発効月は多様化し越年も6県/厚労省 ほか
【統計】現金給与総額、前年同月比4.1%増、実質賃金は0.5%増/毎勤統計調査7月速報値 ほか
【動向】ミドルシニアの約3割、定年前・定年時・雇用延長後のいずれかで「転職希望」/産業雇用安定センター「セカンドキャリア意識調査」 ほか
【企業】大同メタル、定年65歳に/26年度から、シニア人材活用
【海外】労働時間制度の緩やかな転換:固定制から選択制へ/ドイツ
【イベント】Webセミナー「AIビジネスにおける知財法務最前線~契約・知財・法律面から~」/東京都知的財産総合センター ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)結果

JILPTは8日、「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するア
ンケート調査」(労働者Web調査)結果を記者発表しました。
2024年10月より社会保険適用拡大の対象となる短時間労働者がいる企業に対し、調整の方針を尋ねたところ、
「できるだけ、適用する」と回答した企業が60.0%でした。
また、適用拡大対象企業に勤務する短時間労働者で厚生年金・健康保険に加入した割合は、所定労働時間を短縮
し適用を回避した割合を上回り、その理由としては「将来の年金額を増やしたいから」が最多でした。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250908.pdf

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【JILPTからのお知らせ】
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☆任期付研究員(テニュアトラック)の募集について(2026年度採用)

労働政策研究・研修機構では、労使関係・人事労務管理分野で任期付研究員(テニュアトラック)を募集します。
応募書類提出期限:2025年9月30日(火)必着。
【募集要項】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2025/05.html

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【行政】
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●地域最低賃金は1,121円、引上額66円は過去最高、発効月は多様化し越年も6県/厚労省

厚生労働省は5日、地方最低賃金審議会が答申した2025年度の地域別最低賃金の改定額を公表した。改定額は
1,121円(昨年度1,055円、加重平均)。最高額は東京の1,226円、最低額は1,023円(高知、宮崎、沖縄)。
39道県で中央最低賃金審議会の目安額(63円と64円)を上回り、最高は熊本の82円で、大分(81円)、秋田
(80円)が続く。70円台も15県にのぼり、加重平均の引上額66円は過去最高。発効月は、例年10月が大半
だったのに対し、10月が20県、11~12月が21件、1~3月6県と別れた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html
▽2025年度 地域別最低賃金 答申状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001557056.pdf

●中小企業の最賃引上げ支援策、「業務改善助成金」を拡充/厚労省

厚生労働省は9月5日より、中小企業・小規模事業者による事業場内最低賃金の引き上げを支援する「業務改善
助成金」を拡充すると公表した。これまで、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業所が対
象だったが「事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金額未満までの事業所」まで拡大する。
また、2025年9月5日から、2025年度の当該地域の最低賃金改定日の前日までに賃金引上げを実施している場合に
は、従来必要だった「賃金引上げ計画」の事前提出が不要となる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63127.html
▽リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001557790.pdf

●高齢労働者の労災防止措置が努力義務化へ、指針策定に向け検討開始/厚労省検討会

厚生労働省は8日、第1回「高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会」を開催した。2025年改正の労働
安全衛生法により、高年齢者の労働災害防止に必要な措置の実施が全ての事業者の努力義務とされ、国が当該措
置に関する指針を公表することとされた。検討会では、2020年に策定した法的根拠のない現行の「エイジフレン
ドリーガイドライン」を廃止し、法律に基づく指針に格上げとする方針案にもとづき、2026年4月1日施行に向
け、今後の高年齢労働者の労働災害防止対策のあり方を検討する。なお現行の「エイジフレンドリー補助金」申
請受付は2025年10月末まで。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62852.html
▽エイジフレンドリー補助金
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html

●国家公務員の留学の実施等に関する状況を公表/人事院

人事院は3日、国家公務員の留学の実施等に関する状況を公表した。2024年度に新たに留学を開始した件数は、
450件(うち在外273件、国内177件)で、新型コロナウイルス感染症発生直後の2020年度の382件(うち在外225
件、国内157件)から回復傾向にある。2025度に実施した新規採用職員に対するアンケートでは、回答者の8割
以上が留学などの国際的な経験を希望しており、職員にとって留学が魅力的なキャリア形成や成長機会の一つで
あるとしている。国家公務員が留学中又はその終了後5年以内に離職した場合、法律に基づき、留学費用相当額
の全部または一部を償還しなければならない。2024年度に償還義務が発生した件数は96件で、うち82件は2025年
5月1日までに償還を終えている。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2509/syoukanR6.html

●ワーナーブラザースジャパン不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委

事業承継前の会社と組合が締結した事前協議協定の効力承継について、(1)会社が団体交渉で否定する発言を
したこと(2)組合員の解雇撤回等に関する団交での会社代理人の発言等の会社の対応が不当労働行為であると
して救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会は8月21日、会社は協定が引き継がれたこ
とを直接示す客観的証拠がないことを踏まえて見解を表明したもので不合理とまではいえないこと、会社代理人
の発言は、組合の求心力を失わせるとともに、組合員の組合に対する信頼を損ない加入している意義を疑わせる
もので支配介入に該当するとして、(2)について不当労働行為に当たるとした初審命令を維持し、会社及び組
合の再審査申立を棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070822-1.pdf

●「官民人事交流に関する説明会」を開催/内閣府・人事院・内閣官房

内閣府官民人材交流センター、人事院、内閣官房内閣人事局は10月21日(火)、企業・団体等の人事担当者を対
象とした「官民人事交流に関する説明会」を東京・大手町での実地開催およびオンライン方式で実施する。国と
民間企業との人事交流制度の概要や交流事例の説明、体験談、各府省の交流に関する意向の紹介、意見交換会な
どを予定。説明会の様子は、11月25日(火)から12月24日(水)までの期間、オンデマンド方式で録画配信され
る。参加には事前申込が必要、申込期限は実地開催:9月26日(金)、オンライン開催:11月7日(金)。
https://www8.cao.go.jp/jinzai/kouryu.html
▽開催概要
https://www8.cao.go.jp/jinzai/pdf/r7setsumeikaigaiyou.pdf

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【統計】
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●現金給与総額、前年同月比4.1%増、実質賃金は0.5%増/毎勤統計調査7月速報値

厚生労働省は5日、7月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。現金給与総額
は、就業形態計で前年同月比4.1%増の41万9,668円、うち一般労働者が同4.6%増の55万5,326円、パートタイム
労働者が同2.7%増の11万8,204円。現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比0.5%増
となり、7カ月ぶりのプラスとなった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2507p/dl/pdf2507p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2507p/2507p.html

●8月の街角景況感、4カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査

内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた8月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差1.5ポイント上昇の46.7となり、
4カ月連続の上昇。雇用関連DIは0.3ポイント低下したが、家計動向関連、企業動向関連DIがいずれも上昇した
ことによる。今回の結果について、「景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、価格上昇や米国
の通商政策の影響を懸念しつつも、持ち直しの動きが続くとみられる」との見解を示しした。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/0908watcher/menu.html
▽調査結果(抜粋)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/0908watcher/bassui.html

●2025年4~6月期のGDP実質成長率、年率2.2%/2次速報値

内閣府は8日、2025年4~6月期の四半期別GDP(国内総生産)2次速報値を公表した。GDP成長率(季節調整済
前期比)は、実質が0.5%増、年率換算で2.2%増となった。1次速報値(前期比0.3%、年率1.0%)から上方修
正し、5四半期連続のプラス成長となった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2025/qe252_2/gdemenuja.html

●7月基調判断「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数速報

内閣府は5日、2025年7月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は113.3で、
前月と比較して2.6ポイント下降し、2カ月ぶりの下降。要因として「投資財出荷指数(除く輸送機械)」や
「耐久消費財出荷指数」等がマイナスに寄与したことが挙げられる。一致指数の基調判断は「下げ止まりを示
している」として据え置いた。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202507psummary.pdf

●2人以上世帯の消費支出、前年同月比1.4%増/7月家計調査報告

総務省は5日、7月の「家計調査報告」を公表した。2人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は30万5,694円、
実質で前年同月比1.4%の増加と、3カ月連続の増加。前月比(季調値)は1.7%の増加。
支出項目別でのプラス寄与は、自動車等関係費(2.21%)、保健医療サービス(0.56%)、電気代(0.37%)、
など。マイナス寄与は、交際費(マイナス0.47%)、設備修繕・維持(同0.45%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり70万1,283円(実質2.5%の減少)で2カ月連続の減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

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【動向】
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●ミドルシニアの約3割、定年前・定年時・雇用延長後のいずれかで「転職希望」/産業雇用安定センター「セカンドキャリア意識調査」

産業雇用安定センターは2日、60歳定年・65歳までの継続雇用制度がある大企業に勤務する45~59歳を対象に実
施した「セカンドキャリアに関する意識調査」結果を発表した。今後の働き方に対するイメージについては、
「まだ決めていない」31.3%が最多。それを除いた回答全体では、「定年後は同じ会社で雇用延長し、そこで働
くのをやめたい」34.5%と「定年をもって働くのをやめたい」32.7%と並んで、「定年前に転職または独立した
い」「定年を機に、転職または独立したい」「定年後は同じ会社で雇用延長しそこから転職または独立したい」
を合わせた転職希望者(計 32.9%)がほぼ同率となった。年齢別にみると、50代後半層では、「定年をもって
働くのをやめたい」(22.9%)が他の年齢層に比べ10ポイント以上少ない一方、「定年前・定年時または雇用
延長したあと転職(または独立)したい」の割合は 39.3%と他の年齢層に比べ10ポイント近く多かった。
https://www.sangyokoyo.or.jp/topics/2025/mid-senior_secondcareer_20250902.html

●ミドルの75%、仕事関連資格を取得/民間調査

エン・ジャパンは8月29日、同社の転職サイトユーザー(35歳以上のミドル世代)を対象にした「仕事・転職に
活かせた資格」に関する調査結果を発表した。仕事に関連した資格を取得したことがあるミドルは75%。
現在資格取得に取り組んでいるのは38%で、年代別では30代が46%と最も高く、若い世代ほど積極的に取り組
む傾向が見られた。活かせた資格の上位には、実務への貢献度が高い「TOEFL・TOEIC」「日商簿記検定」が挙がった。
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42878.html

●都内1万5,000社超が倒産リスクに直面/民間調査

帝国データバンクが3日発表したレポートによると、都内に倒産リスクの高い企業が1万5,421社あることがわ
かった。業種別にみると「製造業」「建設業」は2年前と比較して、高リスク企業が増加する一方、「小売業」
「運輸・通信業」は大幅に減少している。倒産リスク軽減には、コスト構造の見直しや価格転嫁、IT活用による
生産性向上、人材投資などの取り組みが求められるとしている。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250903-highrisk-tokyo/

●「スポットワーク」きっかけに長期就業・長期採用/民間調査

スポットワークを提供するタイミーは1日、同社のサービスを利用する働き手と事業者を対象に実施したアンケート
調査結果を発表した。スポットワークを通じて良い職場と出会えたら、そのまま長期就業したいと考える働き手
は72.0%で、2023年に実施した前回調査結果(72.4%)と同水準だった。マッチングした勤務先で長期就業の打
診をされた人は40.8%、実際に長期就業をした人は14.6%だった。
良い人材と出会えたら長期採用したいと考える事業者は前回調査(91.8%)から4.6ポイント増の96.4%、実際
に打診した事業者は前回調査(42.6%)から23.5ポイント増の66.1%だった。
https://corp.timee.co.jp/news/detail-5092/

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【企業】
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●大同メタル、定年65歳に/26年度から、シニア人材活用

自動車や船舶の軸受け大手の大同メタル工業は3日、定年年齢を現在の60歳から65歳に延長すると発表した。
労働組合とも協議を進め、2026年4月から導入する。人口減少などで働き手の確保が課題となる中、シニア人材
の就業意欲向上を図る狙い。対象は国内の正社員約1500人。現在、60歳以上の社員は本人が希望すれば再雇用の
形態で65歳まで雇っている。ただ、賃金や処遇の変化による就業意欲の低下が課題だった。制度見直しにより、
65歳まで正社員と同水準の報酬や福利厚生を受けられる。退職金は60歳で受けとることもでき、積み増しは行わ
ない。65~70歳までの再雇用制度も導入する一方、役職定年は60歳とする。同社の墓越繁昌取締役は「柔軟で
変化に強い組織を目指し、社員が年齢にとらわれず能力を発揮できる環境を整えたい」と述べた。
(時事通信) 2025年9月3日 ※リンク先なし
▽大同メタル工業・公式サイト
 https://www.daidometal.com/jp/20250904/

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【海外】
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●フォーカス/JILPT
<ドイツ>
ドイツ労働時間制度の緩やかな転換:固定制から選択制へ

ドイツの労働時間政策において、現在、緩やかなパラダイムシフトが進行している。長らく産業界では、固定さ
れた「標準労働時間制」が支配的だったが、個別の労働者が柔軟に労働時間を決定できる方式へと、徐々にシフ
トしつつある。様々な形態の「選択労働時間制」がますます重視されている。共通しているのは、労働者に選択
権を与えるという原則である。
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/09/germany.html

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【イベント】
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●Webセミナー「AIビジネスにおける知財法務最前線~契約・知財・法律面から~」/東京都知的財産総合センター

東京都知的財産総合センターは10月29日(水)、Webセミナー「AIビジネスにおける知財法務最前線~契約・知財・
法律面から~」を開催する。「個人情報や秘密情報を入力してよいか?」「自社内のルール・ガイドラインはど
のような内容にすべきか?」といった生成AIを利用する際の法律上・契約上のリスクについて、弁護士が分かり
やすく解説する。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2025/251029chizai.html

●2025年度第2回地域交流会「雇用における障害特性の理解」/千代田区障害者就労支援センター

千代田区障害者就労支援センターは9月24日(水) 、2025年度第2回地域交流会「雇用における障害特性の理解」
を千代田区役所で開催する。企業の雇用担当が、一社員として雇用するための支援のあり方、障害者が職場で力
を発揮できる環境づくりについて解説する。参加無料。要事前申込、9月19日締切。要約筆記有り。手話通訳応相談。
https://chiyoda.syuroushien.jp/info/#post-827

●労働セミナー「新入社員・若手社員必見!働く人のセルフケア講座」/東京都労働相談情報センター

東京都労働相談情報センターは、10月8日(水)、16日(木)、労働セミナー「新入社員・若手社員必見!働く人の
セルフケア講座」を開催する。心の健康を整えながら前向きに仕事に取り組むための上司とのコミュニケーション術
やセルフケア手法を紹介する。受講無料、要事前申込(先着順、定員80名)
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001601