メールマガジン労働情報 No.2090

■□――【メールマガジン労働情報/No.2090】

記者発表「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査(企業調査・労働者調査)」 ほか

―2025年9月17日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「AI基本計画」策定に向け議論/第1回「人工知能戦略本部」 ほか
【統計】就業者に占める「65歳以上人口」13.7%は過去最高、「医療・福祉」が増加/総務省レポート ほか
【労使】中小企業のインボイス制度対応状況など調査/日商・東商
【動向】「社員の人生と企業の成長」つなぐアプローチなど紹介/民間報告書 ほか
【企業】全社員のAIワーカー化を目指し推進戦略/クレディセゾン
【判例】パワハラ消防職員、逆転敗訴/糸島市の懲戒免職は「適法」・最高裁
【海外】Make America Skilled Again/トランプ政権の人材育成戦略、「見習い制度」重視・アメリカ
【イベント】フォーラム「今こそ問いたい働き方改革 生活者の視点から問う働き方」/東京都

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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査(企業調査・労働者調査)」

JILPTは16日、「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査
(企業調査・労働者調査)」を記者発表しました。
新たなテクノロジーが職場に導入された場合の課題について、企業調査では、約6割の企業が「従業員が新技術
を使いこなせるか」、「どのような教育訓練が必要か分からない」等の課題を感じていることがわかりました。
また、正社員調査では、社員の約3割が「仕事内容が変わることに不安」、「新たなテクノロジーの導入により、
職場で取り残されることが心配」と回答しました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250916.pdf

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【JILPTからのお知らせ】
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☆任期付研究員(テニュアトラック)の募集について(2026年度採用)

労働政策研究・研修機構では、労使関係・人事労務管理分野で任期付研究員(テニュアトラック)を募集します。
応募書類提出期限:2025年9月30日(火)必着。
【募集要項】
https://www.jil.go.jp/information/koubo/kenkyuin/2025/05.html

☆「メールマガジン労働情報」は9月24日(水)の配信をお休みします。

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【行政】
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●「AI基本計画」策定に向け議論/第1回「人工知能戦略本部」

政府は12日、第1回「人工知能戦略本部」を開催し、今後の運営方針やAI法に基づく基本計画・指針等について議論
した。「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指す上での施策の柱として、「AIを使う」「AIを創る」「AIの
信頼性を高める」「AIと協働する」の4本を示し、各施策をまとめた基本計画を年内に閣議決定する。議論をふまえ、
首相は、AIは雇用や産業等、国の在り方を大きく変えるとし、人が幸せになる社会を築くために必要な制度や社会の
仕組み、産業や雇用の在り方についても基本計画に盛り込むよう指示した。
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_hq/1kai/1kai.html
▽首相官邸ウェブサイト
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202509/12jinkoutchinou.html

●2025度「高年齢者活躍企業コンテスト」入賞企業を公表/厚労省

厚生労働省は12日、2025年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業を公表した。高年齢者がその能力、
経験を十分に活かし、いきいきと働くことができるような創意工夫がなされている企業の事例を表彰するもの。
審査の結果、厚生労働大臣表彰最優秀賞1社、同優秀賞2社など、優秀な取組をしている27社を選定した。
入賞企業の表彰式は、10月3日(金)に東京で開催。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62545.html

●夏季一時金の平均妥結額は94万円、過去最高/厚労省集計

厚生労働省は12日、2025年民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表した。平均妥結額は94万6,469円で、前年比
4万7,715円(5.31%)の増加。過去最高の額となった。平均要求額は99万7,430円で、同5万9,508円(6.34
%)増。集計対象は、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある342社。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62643.html

●育児期の柔軟な働き方の実現のための措置等の義務化、10月施行の改正育児・介護休業法/厚労省

4月から段階的に施行されている改正育児・介護休業法のうち、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置と
仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が10月1日から義務化される。柔軟な働き方を実現するための
措置では、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、始業時刻等の変更、テレワーク等(10日以上/
月)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)、短時間勤務制度の5つの措置の中か
ら2つ以上を講じ、労働者が1つを利用できるようにすることなどが事業主の義務となる。仕事と育児の両立に
関する意向聴取等では、妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の適切な時期に、勤務時間帯、勤務地、両立
支援制度の利用期間、業務量、労働条件の見直し等の就業の条件について、労働者の意向を聴取し、配慮しなく
てはならない。
▽育児・介護休業法 改正ポイント(10月1日施行は4頁以降)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

●「労使関係セミナー」開催案内、講義動画を公開中/中労委

中央労働委員会では、判例や労働法制に関する情報を広く発信し、労使紛争の未然防止と早期解決を図り、紛争
解決をサポートする労働委員会への理解促進のため「労使関係セミナー」を各地で開催している。HPで開催案
内と講義動画を配信している。
現在、HPでは、北海道(10月6日(月)・札幌市)、関東地区第2回(10月10日(金)・東京都港区)、
中国(10月20日(月)・広島市)、九州・沖縄(10月29日(水)・佐賀市)、近畿地区第1回(10月30日(木)・奈良
市)、東北(11月7日(金)・青森市)、近畿地区第2回(11月12日(水)・大阪市)、などの開催について掲載し
ている。いずれも受講無料、要事前申込。
▽労使関係セミナーのご案内/中央労働委員会HP
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html

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【統計】
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●就業者に占める「65歳以上人口」13.7%は過去最高、「医療・福祉」が増加/総務省レポート

総務省は14日、「敬老の日」(9月15日)に因み、レポート「統計からみた我が国の高齢者」を公表した。65歳
以上人口(2025年9月15日時点)は3,619万人と前年に比べ5万人の減少。総人口に占める割合は29.4%と過去最
高となった。65歳以上の就業者は、21年連続で増加し930万人と過去最多。就業者総数に占める割合は13.7%と
過去最高、就業者のおよそ7人に1人が65歳以上となっている。産業別にみると、「医療・福祉」の65歳以上就
業者は10年前の約2.3倍に増加した。
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1460.html
▽高齢者の人口(人口推計、World Population Prospects)
https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topi146_01.pdf
▽高齢者の就業
https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topi146_02.pdf

●出生率、過去最低の1.15、出生数も過去最低/2024年人口動態統計(確定数)

厚生労働省は16日、2024年人口動態統計(確定数)を公表した。6月に公表した人口動態統計月報年計(概数)に
修正を加えたもの。合計特殊出生率は、1.15で過去最低(前年比0.05ポイント低下、9年連続低下)。出生数は、
68万6,173人で過去最少(同4万1,115人減少、9年連続減少)、死亡数160万5,378人で過去最多(同2万9,362
人増、4年連続増加)、自然増減はマイナス91万9,205人(同7万477人減少、18年連続減少)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html
▽報道資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/dl/14_houdouR06.pdf

●7月の生産指数、前月比1.2%低下/鉱工業指数確報

経済産業省は12日、7月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。生産指
数(季節調整済)は前月比1.2%低下の102.1で2カ月ぶりの低下。業種別にみると、「自動車工業」「生産用機
械工業」「汎用・業務用機械工業」等が低下した。出荷は前月比2.1%の低下、在庫は同0.9%の上昇。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202507kj.pdf

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【労使】
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●中小企業のインボイス制度対応状況など調査/日商・東商

日本商工会議所ならびに東京商工会議所は9日、「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」の結
果を発表した。2023年10月に開始の消費税インボイス制度について、中小企業の対応状況や負担感、バックオフィス
業務等について調査したもの。これによると、免税事業者の78.6%がインボイス登録したと回答。「登録を契機
に価格交渉した」は23.2%、うち76.9%が値上げを実現した。「価格交渉しなかった」は76.8%で、その理由と
しては「受注先・販売先からの価格交渉の提案等がなかった」が最多だった。今後、「取引価格や仕入先の見直
しを行う」は42.3%。「価格維持したまま取引継続する」は21.5%で、その理由としては「代替となる取引先が
ない」「地域貢献等の観点から小規模事業者を応援したい」などが挙がった。制度導入により45.8%が「コスト
増」、73.4%が「事務負担増」を感じている
バックオフィス業務では、売上高1,000万円以下の事業者の約8割で「1人で経理事務を行っている」ほか、売上
規模が小さいほど、対応にツールを活用する割合が低く、業務のペーパーレス化が進んでいない。
https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0909140000.html

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【動向】
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●「社員の人生と企業の成長」つなぐアプローチなど紹介/民間報告書

リクルートワークス研究所は8月22日、報告書『社員の人生と企業の成長をつなぐ経営―育児・介護中もその周
囲も 社員が輝ける職場づくり―』を発表した。
育児、介護といったライフイベントをきっかけに、本人だけでなく周囲の意欲も低下しやすい状況が生じている
と指摘。課題を解消し、社員の人生と企業の成長をつなぐアプローチとして、「ビジネスプロセス変革型」「育
成環境充実型」「働き方拡張型」「社外役割尊重型」の4つを示し、企業の実践的な取り組みとともに紹介して
いる。報告書についてのコラムを6回にわたり掲載している。
https://www.works-i.com/research/report/work-life.html
 ▽コラム第1回 社員のライフイベント後、本人と周囲の仕事意識はどう変化するのか
 https://www.works-i.com/research/project/family/after-lifeevent/detail001.html
 ▽同第2回 なぜ社員のライフイベント後に、本人と周囲の仕事意識が変化しやすいのか
 https://www.works-i.com/research/project/family/after-lifeevent/detail002.html
 ▽同第3回 データに見る、ライフイベント後に本人・周囲の意欲を維持する鍵
 https://www.works-i.com/research/project/family/after-lifeevent/detail003.html
 ▽同第4回 企業の実践に見る、社員の人生と企業の成長のつなぎ方(前編)
 https://www.works-i.com/research/project/family/after-lifeevent/detail004.html
 ▽同第5回 企業の実践に見る、社員の人生と企業の成長のつなぎ方(後編)
 https://www.works-i.com/research/project/family/after-lifeevent/detail005.html
 ▽同第6回 データに見る実践のヒント ―他の社員の仕事を引き受けた場合の手当をどう考えるか
 https://www.works-i.com/research/project/family/after-lifeevent/detail006.html

●「仕事にモチベーションある」は3割、Z世代は「やりたいこと」と「給与」で二極化/民間調査

メンタルマネジメントに関する事業を展開する、MENTAGRAPHはこのほど、20~65歳のビジネスパーソンを対象に
実施した、仕事に対するモチベーション等についての調査結果を発表した。現在の仕事にモチベーションがある
人は33.8%にとどまった(「モチベーションがない」36.0%、「どちらでもない」30.2%)。モチベーション向
上要因の最多は「給与」54.2%で、すべての世代で重要視される結果となった。モチベーションがある人とない
人で違いを見ると、前者は「仕事のやりがい」といった内的価値を源泉とする一方、後者は「給与」を挙げる割
合が高い。
仕事選びのスタンスを世代別にみると、Z世代(20~25歳)は「やりたい仕事内容でないとやりたくない」30.0%、
「やりたい仕事でなくても、給与さえもらえればよい」26.0%と、理想追求型と割り切り型に二極化するが、
26歳以降では「やりがいを感じられればよい」がどの世代でも最多となり、現実志向が強まる結果となった。
https://www.mentagraph.com/report/report-00001

●Z世代の7割超、オンライン形式での会社説明会を支持/民間調査

視聴者が操作・選択可能な「インタラクティブ」動画等を提供するMILは8月27日、就職活動を経験したZ世代
(22~25歳)を対象に実施した「会社説明会に関する意識調査」結果を発表した。説明会の開催形式として72.0
%が「オンライン」が望ましいと回答、実際に入社した企業の説明会でも「オンライン」57.6%が対面を上回った。
一方、オンライン形式では解決できない「新たなギャップ」として、入社後をイメージできるリアルな情報への
ニーズや、限られた時間で効率的に情報を得たい「タイパ」志向に十分応えられていないことなどを挙げた。
https://company.mil.movie/news/research
▽「調査結果のハイライト」に関するプレスリリース/PR TIMESにて
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000035466.html

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【企業】
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●全社員のAIワーカー化を目指し推進戦略/クレディセゾン

クレディセゾンは1日、全社員のAI活用などを柱とする推進戦略を発表した。全社員を対象にAIの利活用を
前提に業務を再設計し、業務を効率化することで2027年度末までに累計300万時間の業務削減を目指すほか、
コールセンターにもAIによる応答や処理を段階的に拡大、オペレーターは複雑な対応や顧客体験の向上に専念
できる体制を構築する。
https://corporate.saisoncard.co.jp/wr_html/news_data/t0odga00000008xz-att/20250901_Release.pdf

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【判例】
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●パワハラ消防職員、逆転敗訴/糸島市の懲戒免職は「適法」・最高裁

部下に対するパワハラ行為などを理由に福岡県糸島市から懲戒免職処分を受けた元消防職員の男性が、処分が重
過ぎるとして取り消しを求めた訴訟の上告審判決が2日、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)であった。同小
法廷は取り消しを認めた二審福岡高裁判決を破棄し、男性の請求を棄却。逆転敗訴が確定した。
判決によると、元職員は2011年10月~12年3月、採用から1年に満たない部下に対し、訓練としてロープで縛った
状態で懸垂をさせたほか、鉄棒から手を離すと宙づりにするなどの不適切な行為に及んだ。対象となった部下は
少なくとも10人に上った。
同小法廷はこうした行為について「職場環境を害し、消防組織の秩序や規律を著しく乱すものだ」と指摘。懲戒
免職処分は適法で、裁量権の乱用を認めて処分を取り消した一、二審判決は是認できないとした。同様の行為に
関与し、停職6カ月の懲戒処分を受けた別の男性職員の取り消し請求についても、同小法廷は2日の上告審判決
で、訴えを認めた二審判決を破棄し、請求を棄却した。 (時事通信)2025年9月2日

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>Make America Skilled Again/トランプ政権の人材育成戦略、「見習い制度」重視

連邦労働省、商務省、教育省の3省は8月12日、「米国の人材戦略―黄金時代に向けた米国労働力の育成」と題
する報告書を合同で発表した。
トランプ政権が提唱する「米国を再び熟練労働者の国に(Make America Skilled Again 、MASA)」の実現に向け、
(1)登録見習い制度の強化、(2)需要のある仕事への労働移動支援、(3)既存制度を合理化し、州の権限を拡大、
(4)高実績のプログラムに資金を重点的に配分、(5)AI主導経済に対応できるよう労働者を支援、という5つの人材
戦略を柱に据えている。とりわけ「見習い制度」への予算配分を重視する意向だが、人材育成予算全体の削減、
プログラムの統合により、弱者への支援が行き届かなくなることを懸念する声も出ている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/09/usa_01.html

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【イベント】
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●フォーラム「今こそ問いたい働き方改革 生活者の視点から問う働き方」/東京都

東京都は10月15日(水)、第18回うつ病休職者の職場復帰支援を考えるフォーラム「今こそ問いたい働き方改革
生活者の視点から問う働き方」を会場(東京・高円寺)、オンラインのハイブリッド形式で開催する。講演1
「働き方改革でなぜ休職者は減らないのか」、講演2「働き方改革が私たちにもたらしたもの」、講演3「会社
人から社会人へ」に続きパネルディスカッションを予定。
対象は、職場のメンタルヘルス部門(健康・人事・総務)担当者・産業医・産業保健師・心理職等の専門職。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/08/2025082611
▽チラシ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20250826_11_01