メールマガジン労働情報 No.2074

■□――【メールマガジン労働情報/No.2074】

2025年の地域別最低賃金に関する検討を開始/厚労省  ほか

―2025年7月16日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】2025年の地域別最低賃金に関する検討を開始/厚労省 ほか
【統計】景気判断、全地域で据え置き/7月・日銀地域経済報告 ほか
【労使】2026年の賃上げ、61%が「実施予定」と回答/経済同友会 ほか
【動向】初任給「引き上げた」企業は72%、7割が「人材確保のため」/民間調査 ほか
【企業】人財定着と離職防止の各種取組みを推進、入社祝・転居支援金など支給/東急バス
【海外】ワシントンD.C.などが7月に最賃改定/加州では医療施設従事者対象の引き上げも/アメリカ ほか
【イベント】講座「改正育児介護休業法実務対応」「社会保険入門講座」ほか/神奈川県労働福祉協会 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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★2025年度・第73回「東京労働大学講座専門講座」(9月開講・会場開催)受講者募集中!

労働諸理論についての対面講義(グループ討論を含む)とレポート作成を通して、理論・実務両面での課題対応力の強化を目指します。
多くの方々のご受講をお待ちしています。

<人事管理・労働経済コース>
 9月1日(月)~11月28日(金)(15講義日)
<労働法コース>
 9月3日(水)~11月26日(水)(15講義日)

会場    :TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(市ヶ谷駅)/東京都新宿区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
(主催)労働政策研究・研修機構・(共催)東京都
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

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【行政】
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●2025年の地域別最低賃金に関する検討を開始/厚労省

厚生労働省は11日、中央最低賃金審議会と同審議会目安に関する小委員会を開催し、2025年の地域別最低賃金に
関する検討を開始した。中央最低賃金審議会に示された諮問文には「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行
計画2025年改訂版(2025年6月13日閣議決定)及び経済財政運営と改革の基本方針2025(同日閣議決定)に配意
した調査審議を求める」とあり、2020年代に全国平均1,500円という政府方針に沿った審議を求めている。目安
に関する小委員会は、7月22日、24日、29日の開催を予定。昨年は、7月24日の小委員会報告とりまとめを受け
て、翌25日の中央最低賃金審議会が地域別最低賃金の目安を答申している。
▽中央最低賃金審議会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59482.html
▽目安に関する小委員会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59484.html

●年収の壁対策のための新たな助成金を創設/厚生労働省

厚生労働省は、年収の壁対策の取り組みを行う事業主を対象とした新たな助成金「短時間労働者労働時間延長支
援コース」を創設した。「年収106万円の壁」に対応する「社会保険適用時処遇改善コース」(2025年度末までの
時限措置)の労働時間延長メニューを見直し助成額も引き上げる。週の所定労働時間を5時間以上延長するか、
2時間以上5時間未満の労働時間の延長と一定割合以上の賃金増額を組み合わせる措置を行った事業主に対して、
労働者1人当たり2年間で最大75万円を助成する。社会保険の被扶養者から外れる「年収130万円超」の近傍で
働く労働者の社会保険への加入促進も想定される。
▽リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001510960.pdf
▽パンフレット「キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長支援コース」
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001512828.pdf
▽短時間労働者労働時間延長支援コース 事業主の方向けQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001510986.pdf

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【統計】
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●景気判断、全地域で据え置き/7月・日銀地域経済報告

日本銀行は10日、7月の「地域経済報告―さくらレポート―」を公表した。一部に弱めの動きもみられるが、す
べての地域で、景気は「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」とし、総括判断を前回(4月)から
据え置いた。「雇用・所得」については、東北と九州・沖縄は「改善」、その他の7地域はいずれも「緩やかに
改善」。 支店長会議総括では、賃金設定面で多くの地域から、幅広い業種・規模の地域企業で、人材係留・
確保のため、今年度の賃上げも高水準であったと報告された。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer250710.htm
▽支店長会議総括
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rera250710.htm
▽全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer250710.pdf

●6月の企業物価指数、前年比2.9%上昇/日銀

日本銀行は10日、企業物価指数(2025年6月速報)を公表した。国内企業物価指数は126.2で、前年同月比で2.9
%の上昇、前月比0.2%の下落。前年同月比での上昇を製品別でみると「農林水産物」が43.9%で最高、「飲食
料品」「窯業・土石製品」いずれも4.5%などが続く。輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)は、前年比6.1%、
前月比1.6%、いずれも低下。円ベースでは同12.3%、同1.7%低下した。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2506.pdf

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【労使】
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●2026年の賃上げ、61%が「実施予定」と回答/経済同友会

経済同友会が11日発表した2025年6月「景気定点観測アンケート調査結果」のトピックスによると、2026年に賃上
げを「実施予定」と回答したのは61.0%(前年同期67.6%)、「実施予定はない」は8.9%(同5.0%)だった。
実施予定企業の賃上げ率は「4~5%未満」29.5%が最も多く、「3~4%未満」21.8%、「2~3%未満」20.5
%の順。賃上げ率の2025年比は「ほぼ同程度」68.8%、「下回る」20.8%、「上回る」9.1%の順。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/20250711a.pdf

●「国の中小企業対策に関する重点要望」を決議/東商

東京商工会議所は10日、常議員会を開催し、中小企業委員会が取りまとめた「国の中小企業対策に関する重点要望」
を決議した。深刻な人手不足を背景に、中小企業が業績改善を伴わない防衛的な賃上げを余儀なくされているとし
て、「成長投資の拡大による地域経済の発展」「事業再生・再チャレンジに向けた早期支援」「取引適正化の定着」
を重点項目に掲げ、中小企業対策に反映されるよう求めた。
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1206396

●第14回アジア・ビジネス・サミット共同声明を発表/経団連

経団連は4日、フィリピン・マニラで開催された「第14回アジア・ビジネス・サミット」に参加した。持続的成長
の実現に向け、アジア各国・地域が協力して取り組むとの認識で一致した。
具体的な課題として、(1)ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化、(2)多様な道筋による
グリーン・トランスフォーメーションの推進、(3)AIとスタートアップによるイノベーションの創出、(4)人
材育成を通じたアジアの地域力の強化――を挙げ、12経済団体による共同声明を発表した。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/046.html

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【動向】
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●初任給「引き上げた」企業は72%、7割が「人材確保のため」/民間調査

産労総合研究所は7日、「2025年度決定初任給調査」を発表した。2025年4月入社者の初任給を「引き上げた」
企業は、前回(2024年度)調査比3.6ポイント減の72.0%で、調査開始以降で2番目に高い水準。引き上げた理由
(複数回答)は「人材を確保するため」が71.1%で最多。2025年4月時点で確定した初任給は、大学卒23万9,280
円(前年度比5.0%増)、高校卒19万8,173円(同5.37%増)となり、いずれも前年を大きく上回った。
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shoninkyu/pr2507.html

●トランプ関税、中長期的マイナス見込む企業が4割超/民間調査

帝国データバンクは3日、トランプ関税に対する企業の意識調査を発表した。トランプ関税が自社の事業活動に
与える短期的影響(今後1年以内)について尋ねたところ、「マイナス影響がある」40.7%、「影響はない」33.2
%と、3社に1社が短期的には影響がないとみている。一方、中長期的影響(同5年程度)については「マイナス
影響がある」44.0%と、先行きの不透明感からより具体的に「マイナス影響」の見方に転じる企業が増加した。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250703-trump-tariffs202506/

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【企業】
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●人財定着と離職防止の各種取組みを推進、入社祝・転居支援金など支給/東急バス

東急バスは10日、人財定着と離職防止に向けた各種取組みについて発表した。2025年7月より、全職種(乗務員・
事務員・整備士)の初任給を1~2万円引き上げ、大卒(総合職・事務員)は26万円に、短大・専門卒(事務職)、
専門卒・高卒(整備士)等は21万8,500円とする。在籍従業員には、定昇含め平均1万7,800円(昇給率+6.0%相
当)の賃上げを実施。路線バス運賃改定による増収分を賃上げに充当するとしている。更に、奨学金返還支援制
度(月額2万5,000円上限・最長15年間)や入社祝金(一律10万円)、転居支援金(家族転居は30万円、単身20
万円)の導入や、単身者借上寮(3~5万円)、社宅(月4万6,000円)などを用意し、従業員が安心して長く
働くことができる環境整備を進めていくとしている。
https://www.tokyubus.co.jp/news/b26fb11b5ebc2e38b37365c31c0bcc685ff226cd.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽ワシントンD.C.などが7月に最賃改定/加州では医療施設従事者対象の引き上げも

ワシントンD.C.(コロンビア特別区)やカリフォルニア州のロサンゼルス市、サンフランシスコ市などは2025年
7月1日、最低賃金を改定した。これらの地域は毎年7月に、物価に連動するなどの形で最賃を引き上げている。
カリフォルニア州では医療施設の従事者らを対象にした最低賃金を2024年10月16日に導入し、今回その水準を引
き上げた。このほかアラスカ州やオレゴン州などでも最賃を改定している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/usa_02.html

<中国>
▽障害者雇用促進計画(2025~27年)と就職の現状

国務院弁公庁は6月30日、「障害者雇用促進三か年行動計画(2025~2027年)」を発表した。同計画は、政府機
関や企業による障害者の雇用・起業支援に加え、障害のある大学生や、農村部の障害者、視覚障害者など特定の
対象者への雇用支援の強化を掲げている。さらに、補助金・奨励制度の活用を通じて、障害者の雇用促進を図る
ことを目的としている。主要な措置は以下の通りである。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/china_01.html

▽休息・休暇をめぐる争議の増加と働き方改革、残された課題

近年、労働者の休息・休暇権をめぐる争議が複雑化し、件数も増加している。北京市の人民法院(裁判所)では、
労働争議関連訴訟の4割超がこの問題に関連しており、有給休暇の未取得や残業代の未払い、仕事の持ち帰りや
オンラインの利用による「隠れ残業」、過重労働の深刻化が指摘されている。中国政府は悪性競争による過酷な
残業の改善を掲げ、大手企業も対応を進めているが、根本的な解決には至っておらず、“働き方改革”には依然
として課題が残る。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/07/china_02.html

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【イベント】
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●講座「改正育児介護休業法実務対応」「社会保険入門講座」ほか/神奈川県労働福祉協会

(公財)神奈川県労働福祉協会は9月に、次の講座をZoom等で開催する。

 ○9月9日(火)「改正育児介護休業法実務対応」Zoom&オンデマンド。
  2025年改正育児介護休業法の10月施行対応講座。4月施行法のフォローと10月施行法の実務対応を詳しく
    解説。受講料8,250円、要事前申込。
  https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/fmla_10.html

 ○9/11(木)「社会保険入門講座」会場&Zoom、オンデマンド。
  新任担当者等を対象とした入門講座。社会保険の基本の特に重要な部分を抽出整理、分かり易く解説、全体
    像を学ぶ。受講料13,200円、会場定員18名
  https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/hoken-beginner.html

 ○9/17(水)「給与計算入門講座」会場&Zoom、オンデマンド。
  新任担当者等を対象とした入門講座。給与計算に必須の知識や実務を基礎から実務まで解説。
  受講料:13,200円、会場:定員18名
  https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/payroll-beginner.html

 ○9/18(木)「簿記・経理業務レベルアップ講座」Zoom&オンデマンド。
  月次決算、事業計画書の作成、部門別損益計算、KPI、KPT、PDCAサイクルの応用方法、損益分岐点や採算性
    を学び、業績改善に活かす手法など、実践的な「会計センス」を身につける。
  参加費:16,500円 (団体割引有)
  https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/keiri-levelup.html

●女子中高生向け女子大学生との座談会を開催/東京ウィメンズプラザ

東京ウィメンズプラザは8月16日(土)、都内在住又は在学の女子中学生、女子高校生を対象にした女子大学生
との座談会を東京都・渋谷区で開催する。モデル・俳優の香音さんトークショー、女子大学生によるパネルディス
カッションも予定、「わたしらしい進路」について考える。保護者向け座談会も同時開催する。
https://twp-zadankai.metro.tokyo.lg.jp/
▽チラシ
https://twp-zadankai.metro.tokyo.lg.jp/wp/wp-content/themes/twp-zadankai/src/pdf/25_jyoshi_zadankai_flyer.pdf