■□――【メールマガジン労働情報/No.2042】
2025年春季賃金交渉の大手集中回答を踏まえて政労使が意見交換/政府 ほか
―2025年3月14日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】2025年春季賃金交渉の大手集中回答を踏まえて政労使が意見交換/政府 ほか
【統計】大企業の従業員判断指数、55期連続「不足気味」超/1~3月法人企業景気予測 ほか
【労使】2025年春季労使交渉の集中回答についてのコメント/経団連・日商、連合 ほか
【企業】介護と仕事の両立支援制度を拡充/名鉄
【海外】重点産業の技能人材育成を強化 ―上海市/中国 ほか
【イベント】「企業の成長に繋げるシニア活用セミナー」/東京都
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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表
「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(企業調査、労働者調査)結果
JILPTは13日、標記調査結果を記者発表しました。人材育成・能力開発の現状と課題を把握するため調査を実施
したところ、8割超の企業が教育投資が生産性向上に効果的と認識していました。また、従業員で自己啓発を
実施した人は15%足らず。実施しない理由(複数回答)は「仕事が忙しく時間が取れない」が3割超、「自己
啓発しても会社で評価されない」が約4分の1、などがわかりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20250313.pdf
◇ディスカッションペーパー25-02『タスク需要と若年者の地域間移動―男女別・学歴別の分析』
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-02.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集開始!
本講座は今回で74回目を数え、歴史と伝統を誇る講座です。
「人事管理・労働経済」「労働法」の2部門で、現代の労働問題を学習するのに最適なトピックス31課目を精選。
当該分野の第一人者の講師陣が、労働市場の現状や課題、労働問題などについて講義を行います。
<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門 7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html
◇「最近の統計調査結果から」(2025年2月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2025/202502.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2025/documents/202502.pdf
☆アンケートのお願い
3月12日に、「メールマガジン労働情報」についてのアンケートのお願いのメールを再度、お送りしています。
ご協力よろしくお願いいたします。すでにご回答いただいた皆様にはお礼申し上げます。
☆『労働関係法規集2025年版』 現在予約受付中!
3月17日(月曜)より順次発送予定です。
主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。2025年版では、
「子ども・子育て支援法」「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び
業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」
などを新たに収録するとともに、「次世代育成支援対策推進法」「雇用保険法」などの改正法令も収録しています。
【B6判変型1,332頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月14日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html
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【行政】
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●2025年春季賃金交渉の大手集中回答を踏まえて政労使が意見交換/政府
政府は12日、2025年春季労使交渉の集中回答日にあたり「政労使の意見交換」を開催した。首相は、多くの
企業で高水準の回答が見られたとの経団連会長の報告について、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」実現
の機運の高まりが実を結んできているとの考えを示した。中小企業団体からの、労務費の価格転嫁や生産性
向上への支援強化の要望については、「今後の中小・小規模企業の賃上げに向け、政策を総動員する」とし、
下請代金法と下請振興法の改正法案の早期成立を目指すとした。また、「中小・小規模企業の生産性向上の
ため、省力化投資・デジタル投資等を促進し、事業承継やM&A等を更に後押しする」と述べ、最低賃金に
ついて、引上げのための施策を5月をめどに取りまとめるよう指示。「物価上昇に負けない賃上げを起点とし、
所得と経済全体の生産性の向上」を図るため、中小企業を含む労使の協力を求めた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202503/12seiroushi.html
▽政労使の意見交換(資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/seiroushi/dai6/gijisidai.html
●下請法改正案が閣議決定/経産省・公取委
経済産業省・公正取引委員会は11日、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する
法律案」が閣議決定されたと公表した。近年の労務費、原材料費等の急激な上昇を受け、サプライチェーン
全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」実現を図るため、協議を適切に行わない代金額決定
の禁止、引き渡しに必要な運送の委託を対象取引に追加、「下請」等の用語を見直し「中小受託事業者」等
に改めるなどの改正内容で、本国会に提出予定。
https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250311002/20250311002.html
●「特定技能制度及び育成就労制度の運用に関する基本方針(案)」等を了承/政府会議
政府は11日、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議を開催し、「特定技能の在留資格に係る制度の
運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針(案)」等を
了承、政府方針として閣議決定した。首相は「人手不足が深刻化し、外国人材獲得の国際的な競争が激化
する中、この基本方針は、魅力ある労働環境提供のための重要な指針」とし、この基本方針に基づき、
2027年の運用開始に向けた準備を進めるよう指示した。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202503/11gaikoku.html
▽外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議・資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai21/gijisidai.html
▽出入国管理庁:閣議決定等・特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri01_00132.html
●「労働基準関係法令違反に関する公表事案」を公表/厚労省
厚生労働省は2月28日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表した。
2024年2月1日から2025年1月31日の間に、都道府県労働局が労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、
労働安全衛生規則等の労働基準関係法令違反の疑いで送検し公表した内容を都道府県別に集約したもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/001150620.pdf
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【統計】
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●大企業の従業員判断指数、55期連続「不足気味」超/1~3月法人企業景気予測
内閣府と財務省は12日、「法人企業景気予測調査」(2025年1~3月期調査)結果を公表した。
雇用に関する「従業員数判断」BSIは、大企業は28.3%ポイントで2011年9月末以降、55期連続の
「不足気味」超。中堅企業、中小企業いずれも「不足気味」超。
「貴社の景況判断」BSIは、大企業は2.0%ポイントで、2024年4~6月期以降、4期連続の「上昇」超。
中堅企業は「上昇」超、中小企業は「下降」超となった。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/1c202404.pdf
▽統計表等
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/data.htm
●2月の企業物価指数、前年比4%上昇/日銀
日本銀行は12日、企業物価指数(2025年2月速報)を公表した。
国内企業物価指数は125.3で、前月比は0.0%、前年比は4.0%上昇した。製品別にみると、前年比で
上昇したのは「農林水産物」(39.4%)、「非鉄金属」(13.6%)、「電力・都市ガス・水道」(5.7%)など、
低下したのは「スクラップ類」(10.6%)、「木材・木製品」(2.4%)など。
輸入物価指数は、ドルなどの契約通貨ベースで、前年比1.6%低下、前月比は0.5%の上昇。
円ベースでは順に同0.7%、同1.7%のいずれも低下だった。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2502.pdf
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【労使】
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●2025年春季労使交渉の集中回答についてコメント/経団連・日商
経団連と日本商工会議所は、2025年春季労使交渉集中回答日の12日、コメントを発表した。
経団連は、5%超の賃金引上げ回答が示されたことなどについて、「賃金引上げの力強いモメンタム「定着」
への着実な一歩」とし、中小企業等への波及のためには、「適正な価格転嫁と販売価格アップ」の社会的規範化も重要とした。
日本商工会議所は、賃上げが中小企業・小規模事業者へ広がることを期待するとしたうえで、賃上げ原資の確保
には「付加価値拡大とともに、労務費を含む価格転嫁をサプライチェーン全体で商習慣化していくことが不可欠」などとした。
▽集中回答日における経団連会長コメント
https://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2025/0312.html
▽集中回答日における日商会頭コメント
https://www.jcci.or.jp/news/news/2025/0312193000.html
●2025年春季労使交渉のヤマ場の回答引き出し状況についてコメント/連合
連合は13日、先行組合の回答引き出しのヤマ場とする11日から13日の回答状況を踏まえ芳野会長のコメントを
発表した。労働組合が要求に沿った回答を引き出したことについて、「賃金・経済・物価を安定した巡航軌道に
乗せる正念場であるとの共通認識のもと、企業の持続的成長、日本全体の生産性向上につながる「人への投資」
の重要性について、中長期的視点を持って粘り強く真摯に交渉した結果」とし、「賃上げがあたりまえの社会」
に向けて、先行組合の回答内容を中小組合や組合のない職場へと波及させていかなくてはならないなどとした。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/houshin/data/tosokakunin_appeal.pdf
▽回答速報(3月13日)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/
●公益通報者保護制度に関するシンポジウムを開催/連合
連合は4月23日(水)、「消費者政策シンポジウム―公益通報者保護制度の概要と今後の課題―」を会場
(都内千代田区)とオンライン併用で開催する。内部通報制度の機能不全や、公益通報者の探索と報復などの
事案が明らかとなり、社会的関心が高まっている現状を踏まえ、公益通報者保護制度の概要と改正法案に
ついて学び、今後の課題や労働組合に求められる取り組みを考える。参加無料。4月14日(月)までに申し込む。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/event/20250423.html
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【企業】
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●介護と仕事の両立支援制度を拡充/名鉄
名古屋鉄道は7日、2025年4月に介護と仕事の両立支援制度を拡充すると発表した。育児・介護休業法の
改正にあわせ、新たに介護支援におけるKPI(重要業績評価指標)「介護離職ゼロ」を設定し、法定基準を
超える独自の支援制度に拡充する。介護休業を5年間とし、1年間は月給の2分の1相当の支援金を支給、
介護休暇を被介護者1人の場合、年12日、2人以上は24日とする、など。24年度2月末時点の介護事由離職者数
は5人だが、数に現れない介護をする退職もあると推測し、「介護離職ゼロ」を目指すとしている。
https://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2024/__icsFiles/afieldfile/2025/03/07/25-03-07kaigo.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<中国>
▽重点産業の技能人材育成を強化 ―上海市
上海市の人的資源・社会保障局などは2024年11月13日、「上海市重点産業分野における技能人材育成の
試行強化に関する通知」を発表した。集積回路(IC)、バイオ医薬、人工知能(AI)の3つの「先導型産業」
と、人材不足の状態にある高齢者介護や家事サービスなどを重点分野とし、新たな技能人材育成のため、
補助金支給などの政策を打ち出している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/03/china_02.html
<OECD>
▽生成AIが労働市場に与える影響を分析、地域間格差拡大の可能性も ―OECD「雇用創出と地域経済発展2024」
経済協力開発機構(OECD)は2024年11月、「雇用創出と地域経済発展2024:(Job Creation and Local Economic Development 2024)」を公表した。OECD諸国の雇用状況は好調だが、地域や年齢別の就業率の格差は
依然として大きい。また、生成AI(人工知能)などの新しいAI技術が「デジタル分断」を深め、地域格差を
拡大させる危険性があると指摘した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/03/oecd_01.html
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【イベント】
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●「企業の成長に繋げるシニア活用セミナー」/東京都
東京都立職業能力開発センターは3月21日(金)、「企業の成長に繋げるシニア活用セミナー」を会場
(文京区)とオンラインで開催する。人財不足の解消や業績向上に繋げるためのシニア人財の採用
ポイントや活用術について解説。人材活用の参考になる幅広い内容で、主に経営者や人事担当者向け。
参加無料、要事前申込。定員:会場30名、オンライン50名。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/vsdc/chuo/siniasemina0321.pdf