■□――【メールマガジン労働情報/No.2041】
春季労使交渉について、大幅な賃上げへの協力を労使に要請/経済財政諮問会議 ほか
―2025年3月12日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】春季労使交渉について、大幅な賃上げへの協力を労使に要請/経済財政諮問会議 ほか
【統計】2024年10~12月期のGDP実質成長率、年率2.2%/2次速報値 ほか
【労使】公立・公的病院で働く医療従事者の77%が離職を検討/自治労調査 ほか
【動向】2月の景気指数、2カ月連続の悪化/民間調査
【企業】「ジョブ型人材マネジメント」に基づく採用方針を発表/富士通
【海外】社会保険の「戸籍制限」撤廃へ ―労働の流動化、多様化を背景に/中国
【イベント】「給与計算の基礎実務講座」/神奈川県労働福祉協会
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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー25-02『タスク需要と若年者の地域間移動―男女別・学歴別の分析』
職業別のタスクスコアに基づき、都道府県における労働需要の質的な差異を測定し、様々なタスクに対する
需要の地域差とその変化が若年者の地域間移動に与える影響を検証しました。1980年代後半から2010年代後半
にかけて、地域別のタスク需要と20代の若年者の地域間移動の関係を分析したところ、地域間のタスク需要の
格差は若年者の地域間移動の意思決定に影響している、などがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-02.html
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【JILPTからのお知らせ】
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☆アンケートのお願い
本日、メールマガジン「労働情報」についてのアンケートのお願いを別メールにてお送りする予定です。
ご協力よろしくお願いいたします。(既にご回答済みの方に届く場合がございますが、ご了承ください。)
☆『労働関係法規集2025年版』 現在予約受付中!
3月17日(月曜)より順次発送予定です。
主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。2025年版では、
「子ども・子育て支援法」「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び
業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」
などを新たに収録するとともに、「次世代育成支援対策推進法」「雇用保険法」などの改正法令も収録しています。
【B6判変型1,332頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月14日刊行予定】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html
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【行政】
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●春季労使交渉について、大幅な賃上げへの協力を労使に要請/経済財政諮問会議
政府は10日、経済財政諮問会議を開催し、マクロ経済運営と賃金向上について議論した。消費者のインフレ予想
の上昇や人手不足を背景にした賃上げなどにより物価と賃金の好循環が動き始めている、これを定着させるため
今年の春季労使交渉が重要、最低賃金の引上げについて予見可能性を高めることは賃上げ全体の後押しとなる
などの意見を踏まえて、首相は、本年の春季労使交渉について、「ベースアップを念頭に、33年ぶりの高水準
となった昨年の勢いで、大幅な賃上げへの協力」を労使に求めるとともに、最低賃金については「政府として、
引上げに向けた対応策を取りまとめる」と述べた。また、生産性向上、労働市場改革等も今年の骨太方針に
向け議論を深めるとした。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202503/10keizai.html
●「男女間賃金差異分析ツール」を公開/厚労省
厚生労働省は3日、主に中小企業向けに男女間賃金差異の要因を分析できる「男女間賃金差異分析ツール」を
公表した。自社の男女間賃金差異をはじめとする労務管理の基本データを同業種・同従業員規模の企業平均
データと比較し、自社の女性活躍に関する強みや課題を明らかにすることができ、また、賃金差異が生じる
要因・課題に応じた雇用管理の見直しに関するアドバイスが得られる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53416.html
▽女性活躍推進法特集ページ:「お役立ちツール」分析ツール、活用パンフレット等
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
●「国際女性の日」、首相のビデオメッセージ/政府
政府は8日、「国際女性の日」にあたってのビデオメッセージを発表した。首相は「女性活躍・男女共同参画は、
全ての人が生きがいを感じられ、多様性が尊重される社会の実現、我が国の経済社会の持続的発展において、
不可欠な要素」、「アンコンシャス・バイアス、無意識の思い込みの解消を図るとともに、男女間の賃金格差
の是正にも取り組む」「女性の雇用における「L字カーブ」の解消、男性の育児休業の推進にも積極的に
取り組み、社会の構造・意識の変化につなげていく」と述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/discourse/20250308message.html
●「健康経営優良法人2025」の認定法人を公表/経産省
経済産業省は10日、「健康経営優良法人2025」の認定法人を公表した。健康経営優良法人認定制度とは、
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取り組みを実践し健康経営を行う
法人を、基準に基づき認定する制度。2025年は、「大規模法人部門」に3,400法人、「中小規模法人部門」に
1万9,796法人が認定された。認定の基となる健康経営度調査の回答法人に対する各施策の偏差値等を記載
した評価結果(フィードバックシート)のうち、同意を得たものを公開する。
https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250310005/20250310005.html
▽健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト
https://kenko-keiei.jp/
・認定企業一覧:https://kenko-keiei.jp/houjin_list/
・フィードバックシート(開示):https://kenko-keiei.jp/houjin_list/feedback/
※現在、評価結果データのみ閲覧可、各社ごとのフィードバックシートは準備中
●組合脱退を勧奨し、就労させなかったことは不当労働行為と判断/中労委
組合員に組合脱退を勧奨し、脱退に応じない1名を就労させていないことなどが不当労働行為であるとして
救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会は2月6日、組合員への脱退勧奨に加え、
組合を脱退した9名は就労させながら脱退しない1名を就労させていないことは組合員であるが故の不利益
取扱いであるとともに組合の弱体化を図る支配介入で不当労働行為に当たるとして、初審の大阪府労委命令を
一部変更し就労依頼の再開を命じた。労働組合に対する労働者供給依頼停止は不当労働行為には当たらない
とする初審命令は維持した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070207-2.pdf
●未払残業代の支払いで組合員と組合員以外とに違いがあること等は不当労働行為ではないと判断/中労委
会社が、未払残業代を組合員A及び組合員Bのみ1年間分しか支払わなかったことや組合員Aに対し注意書に
よる注意をしたこと、組合員Bに対し減給処分や出勤停止処分を行ったことなどが不当労働行為であるとして
救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会は2月6日、会社の処分行為には合理的な
理由がありいずれも不当労働行為には当たらないとして初審命令を維持した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070207-1.pdf
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【統計】
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●2024年10~12月期のGDP実質成長率、年率2.2%/2次速報値
内閣府は11日、2024年10~12月期の四半期別GDP(国内総生産)2次速報値を公表した。
GDP成長率(季節調整済前期比)は、実質が0.6%、年率換算は2.2%で、第1次速報値の年率2.8%から
下方修正も、3期連続のプラス。需要項目別では、民間最終消費支出が実質0.0%(前期は0.7%)、うち
家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)は実質0.0%(同0.9%)。雇用者報酬の伸び率は、実質1.4%、
名目1.6%。2024年(暦年値、実質)の成長率は前年比プラス0.1%、民間最終消費支出は0.0%、うち
家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)はマイナス0.1%。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe244_2/gdemenuja.html
●1月の実質賃金1.8%減、3カ月ぶりのマイナス/毎勤統計調査1月速報
厚生労働省は10日、1月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比1.8%減で3カ月ぶりのマイナス。
なお、規模30人以上では同0.7%減で、5カ月ぶりのマイナス。
現金給与総額は、就業形態計で前年同月比 2.8%増の29万5,505円、うち一般労働者が同2.7%増の37万9,253円、
パートタイム労働者が同4.5%増の10万9,252円で、時間当たり給与は同4.5%増の1,397円だった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2501p/dl/pdf2501p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2501p/2501p.html
●1月の勤労者世帯の実収入、前年同月比1.1%減/家計調査報告
総務省は11日、1月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は
30万5,521円、実質で前年同月比0.8%増加で、増加は2カ月連続。前月比(季調値)は4.5%の減少。
支出項目別でのプラス寄与は、住居(1.80%)、教育(0.35%)、光熱・水道(0.17%)など。
マイナス寄与は、食料(マイナス0.69%)、家具・家事用品(同0.44%)、被服及び履物(同0.28%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり51万4,877円・前年同月比実質1.1%の減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
●2月の街角景況感、2カ月連続で低下、判断を下方修正/景気ウォッチャー調査
内閣府は10日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差3.0ポイント低下の45.6で、
2カ月連続の低下。雇用関連DIは2.0ポイント上昇したが、家計動向関連DIは4.1ポイント、企業動向関連
DIは1.5ポイント、いずれも低下したことによる。先行き判断DI(同)は、前月差1.4ポイント低下の46.6。
今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる。」と
前月判断を下方修正し、「先行きについては、緩やかな回復が続くとみているものの、引き続き価格上昇の
影響等に対する懸念がみられる」とした。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2025/0310watcher/menu.html
●1月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数速報
内閣府は10日、1月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は116.2で、
前月と比較して0.1ポイント上昇し、2カ月連続の上昇。プラスに寄与したのは「耐久消費財出荷指数」、
「商業販売額(卸売業)」、「有効求人倍率(除学卒)」など10系列中6系列。マイナス寄与は「輸出数量指数」、
「投資財出荷指数(輸送機械を除く)」など4系列。一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202501psummary.pdf
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【労使】
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●公立・公的病院で働く医療従事者の77%が離職を検討/自治労調査
公立・公的病院で働く医療従事者のうち、8割近くが現在の職場を「辞めたいと思っている」――。
自治労(石上千博委員長、70万6,000人)の専門組織として、病院や保健所などで働く組合員で構成されて
いる衛生医療評議会がこのほど発表した「公立・公的医療機関で働く医療従事者の意識・影響調査結果」で、
こんな実態がわかった。調査結果からは、7割弱の医療従事者が収入に不満を持っていることや、4人に1人
がカスタマーハラスメント(カスハラ)を経験しているなど、医療現場の深刻な状況も明らかになっている。
自治労は、「このままでは地域医療が維持できず、医療提供体制の崩壊につながる」などと指摘して、
地域医療を守るための財源確保と医療従事者への賃上げの必要性を強調している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250312.html
●中小組合の要求が30年ぶりに6%超え/連合・要求集計結果
連合は6日、3日時点の2025春季生活闘争の要求集計を公表した。
平均賃金方式で賃金引き上げを要求した2,939組合の平均(規模計)は 1万9,244 円・6.09%(加重平均)
で、昨年を上回った(昨年同期比1,638円・0.24ポイント増)。300人未満の中小組合(1,891組合)では
1万7,667円・6.57%(同)で、昨年(同2,208円・0.60 ポイント増)を上回るとともに、規模計の
上げ幅をも上回った。要求が6%を上回ったのは、規模計で32年ぶり、中小組合では30年ぶり。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/yokyu/press.pdf
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【動向】
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●2月の景気指数、2カ月連続の悪化/民間調査
帝国データバンクは5日、「TDB景気動向調査(全国)2025年2月調査」を発表した。2月の景気DIは
前月比0.1ポイント減の43.5となり、小幅ながら2カ月連続の悪化。国内景気は、物価上昇や寒波の影響により
個人消費が低迷し、建設、製造の悪化が目立った。業界別では、10業界中「サービス」「製造」「運輸・倉庫」
など6業界で悪化。地域別では、10地域中悪化は東海、中国など、改善は北陸など、それぞれ4地域に二分
された。今後の景気は、「訪日客消費などが下支えとなる一方、コスト増加や海外リスクが重荷となり、
横ばい傾向が続く」とみている。
https://www.tdb.co.jp/resource/files/assets/d4b8e8ee91d1489c9a2abd23a4bb5219/9727bd6594374b0e8407efc9809f6181/20250305_ets202502.pdf
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【企業】
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●「ジョブ型人材マネジメント」に基づく必要人材の通年採用方針を発表/富士通
富士通は7日、2026年度以降の新卒入社者について、従来の毎年計画数を定めて一斉のタイミングや一律の
レベルで採用する考え方を改め、2020年より段階的に導入してきた「ジョブ型人材マネジメント」に基づき、
あらかじめ計画数を定めずに必要な職務を担う人材を通年でフレキシブルに採用していく、と発表した。
変化の激しい環境下で求められるソリューションやテクノロジーに即応しながら、適所適材を実現するため、としている。
同社は24年に、学歴別の一律初任給をジョブレベルに応じた処遇へ切り替えることを発表している。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2025/03/7.html
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<中国>
▽社会保険の「戸籍制限」撤廃へ ―労働の流動化、多様化を背景に
国家発展改革委員会は2025年1月7日、地域間の労働移動の高まりを踏まえ、「労働市場の統一」に向けた
指針を発表した。この中で「戸籍制限」の全面撤廃や、社会保険の移転・接続に関する政策の改善などを
提起した。また、同日には、国家医療保障局が「労働者の医療保障権益保護強化に関する通知」を出し、
勤務地の戸籍を持たないフレキシブルワーカー(フードデリバリーなど「柔軟な働き方」に従事する者)や
農民工(農村からの出稼ぎ労働者)らが、勤務地で医療保険に加入しやすくした。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/03/china_01.html
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【イベント】
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●「給与計算の基礎実務講座」/神奈川県労働福祉協会
(公財)神奈川県労働福祉協会は4月15日(火)、「1日で学ぶ 給与計算の基礎実務講座!」をZoomライブで
開催する。給与計算の新任者、実務や基礎知識を再確認したい人を主な対象とした講座。2025年度に
予定される税制改正関連事項についても、開催日時点での最新情報と動向を解説する。講義日翌々日から
オンデマンド配信もあり(2カ月間視聴可能)。要事前申込、受講料16,500円。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/payroll.html