メールマガジン労働情報 No.2039

■□――【メールマガジン労働情報/No.2039】

労働基準関係法制に関する検討を開始 /厚労省 ほか

―2025年3月5日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】労働基準関係法制に関する検討を開始 /厚労省 ほか
【統計】1月の完全失業率2.5%、前月と同率/労働力調査 ほか
【労使】金属労協全体の賃上げ要求額の平均は1万4,149円で、2014年以降の最高水準に/金属労協の2025闘争要求状況 ほか
【動向】50歳以上のITエンジニアの転職が5年で4.3倍に/民間調査
【企業】定年後の人事制度を改定/バルカー ほか
【イベント】「健康経営フェスタ2025」/東京都社労士会 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー25-01
『日本の労働市場におけるタスクの分布の変化と要因―教育・産業構造の変化とICT導入の影響―』
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2025/25-01.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆『労働関係法規集2025年版』 現在予約受付中!
 3月17日(月曜)より順次発送予定です。

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。2025年版では、
「子ども・子育て支援法」「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び
業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」
などを新たに収録するとともに、「次世代育成支援対策推進法」「雇用保険法」などの改正法令も収録しています。
【B6判変型1,332頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月14日刊行予定】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

★データ・アーカイブのご利用について

JILPTでは、労働政策についての総合的な調査及び研究を行う中で実施した、
アンケート調査の個票データに秘匿処理を行い、データ・アーカイブとして公開・提供しています。
今般、『教員の指導を受けている大学学部生』の方にも、ご利用いただけるようになりました。
学術研究・統計分析等に、是非ご活用ください。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/archive/index.html

★労働政策フォーラム「労働市場の変化と人材育成―日独比較の考察―」 申込受付中!

本フォーラムでは、職務や職業に基づく労働市場が最も発達した国の一つであるドイツと、労働市場改革の
早期実行を掲げている日本との比較考察を通じ、労働市場と人材育成を取り巻く課題と展望について議論します。
労働・職業資格研究所の設立者であり、欧州委員会や連邦省庁の顧問を務めるゲアハルト・ボッシュ教授による
特別講演、国内の学識者による研究報告、およびパネルディスカッションを予定。参加無料。

日時  :2025年3月13日(木) 13時50分~17時15分 *途中休憩あり
開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
<登壇者>
 ゲアハルト・ボッシュ(Gerhard BOSCH)
      デュースブルグ=エッセン大学 社会学部教授/労働・職業資格研究所(IAQ)上級教授
 佐藤 厚  法政大学キャリアデザイン学部教授/日本労使関係研究協会会長
 中村天江 連合総合生活開発研究所主幹研究員
 山内麻理 国際教養大学客員教授
 藤村博之 労働政策研究・研修機構(JILPT)理事長
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250313/index.html

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【行政】
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●労働基準関係法制に関する検討を開始/厚労省

厚生労働省は2月28日、労働政策審議会労働条件分科会を開催し、今後の議論の進め方(案)を提示した。
労働基準関係法制研究会の報告書(1月8日公表)の柱である、(1)労働基準関係法制に共通する
総論的課題として、労働基準法における「労働者」、「事業」、「労使コミュニケーションの在り方」、
(2)労働時間法制の具体的課題(各労働時間制度)を大括りのテーマとして、報告書の内容やその他の
必要な内容について議論し、今夏を目途に中間整理を行い、その後の進め方を確認。年内に議論の
取りまとめを目指すとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53211.html
▽資料No.1 労働条件分科会における今後の議論の進め方(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001426230.pdf

●「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に向けた論点等を検討/政府会議

政府は2月27日、「新しい資本主義実現会議」を開催し、国内投資と輸出の促進について議論した。議論を
踏まえて首相は、賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行できるかの分岐点にあり、製造業が勝ち筋を追求
するとともに、サービス業等の生産性向上を実現するといった課題の克服が必要としたうえで、国内投資に
ついて、規制制度・支援一体で推し進めるなどとし、「中堅企業の創出・成長加速」、「産業用地と産業人材
の不足への対応」について、産業人材教育のためのプランやAI・デジタル技術の変革等による新たな
産業構造への対応策の具体化を指示した。また、地域での成長投資と賃上げの環境整備を図るため、中小・
小規模企業の生産性向上、価格転嫁、人材政策、スタートアップ支援などについて議論を深め、6月に新しい
資本主義実行計画の改訂を行うと述べ、本年の春季労使交渉での賃上げへの協力を要請した。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202502/27shihon.html
▽論点
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai31/shiryou2.pdf

●今後3年間に雇用者を増やす見通しの企業は75%以上/内閣府調査

内閣府は2月28日、2024年度「企業行動に関するアンケート調査」結果を公表した。今後3年間
(2025~27年度平均)に雇用者を増やす見通しの企業割合(全産業)は75.2%(前年度調査75.8%)、
製造業では71.0%(同73.8%)、非製造業では78.3%(同77.4%)。減らす見通しの企業割合(全産業)
は11.5%(同9.9%)。業種別では、製造業では「非鉄金属」(93.3%)、「化学」(81.1%)など、
非製造業は「サービス業」(90.1%)、「不動産業」(90.0%)などが高い。
景気・需要見通しでは、次年度(2025年度)の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は1.2%
(前年度調査1.3%)などとしている。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/ank/menu_ank.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/ank/r6ank/r6ank_houdou.pdf

●2025年3月高校卒業予定者の就職内定率、91.3%/文科省

文部科学省は2月28日、「2025年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(2024年12月末現在)」調査を
公表した。就職内定率は91.3%で、前年同月比0.2ポイント増。男女別では男子92.0%(同0.2ポイント増)、
女子90.2%(同0.4ポイント増)。学科別では、内定率の高い順に、工業96.8%、商業95.0%、看護93.2%、
「農業」92.6%など。普通科は84.9%。
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kousotsu/kekka/k_detail/mext_00038.html
▽調査結果
https://www.mext.go.jp/content/20250226-mxt_jidou01-000040562_001.pdf

●第4回「職場における学び・学び直し促進シンポジウム」/厚生労働省

厚生労働省は3月17日(月)、第4回「職場における学び・学び直し促進シンポジウム:実例解説
学び・学び直しで実現する経営改革 ~地域協働での取組の進め方とは~」をハイブリッド
(岡山市の会場とオンライン)で開催する。
自社だけでは進めることが難しい職場での学び・学び直しの取組について、地域の支援機関と連携して
取り組む企業の事例紹介や、地域の支援機関や有識者による講演、パネルディスカッションを行う。
参加無料。申込は3月14日(金)18時まで。
https://manabi-naoshi.mhlw.go.jp/symposium/

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【統計】
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●1月の完全失業率2.5%、前月と同率/労働力調査

総務省は4日、2025年1月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季調値)は2.5%で、
前月と同率。完全失業者数は163万人で前年同月と同数。就業者数は6,779万人(同65万人増)で30カ月連続
の増加。雇用者数は6,163万人(同87万人増)で、35カ月連続の増加。うち、正規従業員数は3,630万人
(同27万人増)で15カ月連続の増加、非正規従業員数は2,192万人(同46万人増)で、3カ月ぶりの増加。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
▽概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

●1月の有効求人倍率1.26倍、前月比0.01ポイント上昇/一般職業紹介状況

厚生労働省は4日、2025年1月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.26倍で、
前月比0.01ポイント上昇。新規求人倍率(同)は2.32倍で、同0.05ポイント上昇した。新規求人(原数値)
は、前年同月比で0.4%減。産業別にみると、増加したのは、サービス業(他に分類されないもの)
(5.0%増)、学術研究・専門・技術サービス業(3.2%増)、情報通信業(1.6%増)など。減少したのは、
教育・学習支援業(5.3%減)、生活関連サービス業・娯楽業(5.0%減)、運輸業・郵便業(3.5%減)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_52677.html

●経常利益、2四半期ぶりに前年同期を上回る/10~12月期法人企業統計

財務省は4日、2024年10~12月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。
全産業(金融業、保険業を除く)の売上高は前年同期比2.5%増、金額398兆38億円は1954年以降で最高。
経常利益は13.5%増、設備投資は0.2%減。経常利益の増加は2期ぶりで、製造業の情報通信機械
(163.7%増)、電機機械(88.5%増)等の増益による。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r6.10-12.pdf

●1月の鉱工業生産1.1%低下、基調判断は「一進一退」で据え置き/鉱工業指数速報

経済産業省は2月28日、1月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は
前月比1.1%低下の100.5で3カ月連続の低下。業種別では、低下は生産用機械工業、電子部品・デバイス
工業、電気・情報通信機械工業等、上昇は自動車工業、鉄鋼・非鉄金属工業、化学工業(無機・有機
化学工業・医薬品を除く)等。出荷は前月比1.5%低下の98.5で2カ月ぶりの低下、在庫は同0.9%上昇の
101.5で4カ月ぶりの上昇、在庫率は同0.3%上昇の106.7で2カ月ぶりの上昇。
基調判断は、「生産は一進一退で推移している」で、前月から据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202501sj.pdf

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【労使】
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●金属労協全体の賃上げ要求額の平均は1万4,149円で、2014年以降の最高水準に/金属労協の2025闘争要求状況

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの産業別労組でつくる金属労協(JCM、金子晃浩議長)
は2月27日、2025闘争の要求状況を公表した。ベースアップ等の賃上げ(賃金改善分)を要求する組合における
要求額の平均は、金属労協全体で1万4,149円、集中回答日に回答を引き出す大手の集計対象組合に絞ると
1万5,556円にのぼり、それぞれベア・賃金改善が復活した2014年闘争以降の最高水準となった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250305a.html

●2交替夜勤を実施する介護施設の8割超が16時間以上の長時間勤務を実施/日本医労連調査

日本医労連(佐々木悦子委員長、約14万2,000人)は2月17日、「2024年介護施設夜勤実態調査」の結果を
公表した。2交代夜勤を導入する施設は88.4%。そのうち、勤務時間が16時間を超える割合が8割強を占める。
また、2交替制職場の3分の2で1人体制の夜勤を行っているなど、調査結果からは介護施設で夜勤に
従事する職員の過酷な労働実態が浮き彫りになった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20250305b.html
▽日本医労連:2024年介護施設夜勤実態調査結果
http://irouren.or.jp/research/2055bd853aa1429180703f3a0ff06549c1ef1ec2.pdf

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【動向】
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●50歳以上のITエンジニアの転職が5年で4.3倍に/民間調査

リクルートは2月28日に、転職支援サービス『リクルートエージェント』のデータをもとに、50歳以上の
ITエンジニアの転職動向について、発表した。50歳以上のITエンジニア職の転職者数は、2019年を1とすると
2024年は4.3倍に増加。背景の一つとして挙げられるのは「2025年の崖」と呼ばれる、日本企業の老朽化した
基幹システム(レガシーシステム)やDXが進まないことによる経済損失等の諸問題。レガシーシステム刷新の
ため、それらのシステムで使用されている、日本では60年代に使われ始めたCOBOLなどのプログラミング言語の
スキルを持つ50歳以上のエンジニアはニーズに合う可能性が高く、また、トラブルシューティングや若手育成
などの経験も期待されている、としている。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2025/0228_15520.html

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【企業】
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●定年後の人事制度を改定/バルカー

産業用シール材等製造販売のバルカーは2月28日、60歳定年を迎えた社員に適用する「シニア再雇用制度」を
改定し、2025年4月より「セカンドキャリアステージ制度」を開始すると発表した。従来は、60歳定年後には
役職任用や新たな登用を行わず、一律に待遇を下げる仕組みだったが、定年後も役職任用や新規登用を可能
とし、業績、意欲、職責に応じた待遇を実現する。社員一人ひとりに応じた柔軟な働き方を可能にして
「第二のキャリア」を充実させることを目指す、としている。
https://www.valqua.co.jp/wp-content/uploads/pdf/press/pr20250228.pdf

●第一生命HD、希望退職に1,830人応募 290億円損失計上へ

第一生命ホールディングス(HD)は2月14日、先月行った希望退職の募集に対し、1,830人から
応募があったと発表した。応募者は原則、3月末で退職する。2025年3月期連結決算に、特別支援金や
再就職支援の費用など約290億円を特別損失として計上する。
同社は昨年11月、傘下の第一生命保険と雇用契約を結んでいる50歳以上で勤続15年以上の社員を対象に、
希望退職者を約1,000人募集すると発表。今年1月20~31日の間募集し、該当する約4,000人のうち約半数が応募した。
(時事通信)2025年2月14日 ※リンク先なし

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【イベント】
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●「健康経営フェスタ2025」/東京都社労士会

東京都社会保険労務士会は3月19日(水)、「健康経営フェスタ2025」を千代田区で開催する。
従業員等の健康管理を経営的な視点で考える「健康経営」について、事業の健全な発達と労働者等の
福祉向上に資する取組みとして、基調講演やパネルディスカッションを行う。参加無料。要事前申込、定員300名。
https://www.tokyosr.jp/topics/2024-topics/59541/

●2024年度「冲永賞」の授賞図書・論文を発表/労働問題リサーチセンター

労働問題の図書・論文を対象とする2024年度の「第39回冲永賞」((公財)労働問題リサーチセンター主催)の
授賞図書に、森永雄太氏(上智大学経済学部教授)の『ジョブ・クラフティングのマネジメント』と、
高島正憲氏(関西学院大学経済学部准教授)の『賃金の日本史-仕事と暮らしの一五〇〇年』と、永瀬伸子氏
(お茶の水女子大学基幹研究院教授)の『日本の女性のキャリア形成と家族 雇用慣行・賃金格差・
出産子育て』が、また授賞論文には、日原雪恵氏(山形大学人文社会科学部専任講師)の『労働における
ハラスメントの法的規律』選ばれた。
https://www.rodorc.or.jp/recognize