メールマガジン労働情報 No.2030

■□――【メールマガジン労働情報/No.2030】

労働施策総合推進法等の改正法律案要綱について答申/労政審 ほか

―2025年1月29日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】労働施策総合推進法等の改正法律案要綱について答申/労政審 ほか
【統計】11月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況
【労使】スポットワークに関する調査2025/連合 ほか
【判例】限定外職種への配転で賠償命令 元技術職員が逆転勝訴―大阪高裁
【企業】育児との両立支援への取り組みを強化/三井不動産リアルティ
【海外】SEIUがAFL-CIOに再加盟/アメリカ ほか
【イベント】キャリア支援シンポジウム/北海道大学 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』2025年特別号を刊行しました!
 2024年労働政策研究会議報告

本号は、日本労使関係研究協会が2024年9月に開催した「2024年労働政策研究会議」での報告論文などを
掲載した特別号です。総括テーマは、「フリーランスの就業と法―自由かつ安心して働ける就業機会の実現に向けて」です。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/special/index.html

★労働政策フォーラム「労働市場の変化と人材育成―日独比較の考察―」 申込受付中!

日時:2025年3月13日(木) 13時50分~17時15分 *途中休憩あり
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250313/index.html

★労働政策フォーラム「仕事と育児の両立支援─改正育児・介護休業法の施行に向けて―」申込受付中!

日時:第1部(オンデマンド配信)2025年2月7日(金)~13日(木)
  :第2部(ライブ配信)   2025年2月13日(木)13時30分~16時00分
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250213/index.html

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【行政】
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●労働施策総合推進法等の改正法律案要綱について答申/労政審

労働政策審議会は27日、労働政策総合推進法等の改正案要綱について妥当と答申した。労推法では
治療と就業の両立支援のための体制整備を努力義務として指針で具体化するほか、カスタマ―ハラスメント
については、顧客、取引先等(「顧客等」)の言動で「社会通念上許容される範囲を超えたもの」により
「労働者の就業環境が害されること」とし、事業主が雇用管理上必要な措置を講ずることを義務づけ、
指針を定める。均等法では、求職者へのセクハラ防止措置を事業主の義務として指針を定める。
女性活躍推進法では、男女間賃金差異・女性管理職比率の公表を従業員101人以上の企業の義務とするほか、
同法を2036年まで延長する。厚労省は、答申を踏まえ改正法律案を今通常国会に提出する予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00023.html
▽改正法律案要綱
https://www.mhlw.go.jp/content/001385903.pdf

●「安衛法及び作業環境測定法の改正案要綱」諮問及び答申/労政審

厚生労働省は27日、労働政策審議会に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の改正案要綱」を諮問し、
労政審は厚労省案は妥当と答申した。要綱は、個人事業者等の安全衛生対策では、個人事業者を含む
混在作業での注文事業主の災害防止対策を定め、メンタルヘルス対策では、ストレスチェックの50人未満の
事業所での義務化、高年齢労働者の労災防止では必要な措置を事業主の努力義務として指針で示すこと、
などとしている。厚労省は、答申を受け、改正法律案を今通常国会に提出する予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00021.html

●「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」(仮称)の新設/厚労省

厚生労働省は21日の労政審労働条件分科会で、「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を新設する
とした。「事業性融資の推進等に関する法律」(2026年施行予定)によりスタートアップ企業等が融資を
受けやすくする制度が創設されることを踏まえ、「事業譲渡又は合併を行うにあたって会社等が留意すべき
事項に関する指針」(平成28年厚生労働省告示318号)の見直しや、合併・事業譲渡等の企業組織再編に伴う
労働契約の承継等の労働者保護の諸問題について検討するとしている。3月下旬に第1回の開催を予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49356.html
▽「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」(仮称)の概要について
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001378512.pdf
▽現行指針の概要
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/roushi/dl/01e.pdf

●賃金と物価の好循環が引き続き強まる/日銀・展望レポート(25年1月)

日本銀行は24日、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」(2025年1月)を発表した。「基本的見解」では、
消費者物価は2024年度に2%台後半、25年度に2%台半ばとなった後、26年度は概ね2%程度となると予想。
賃金と物価の好循環が引き続き強まり、「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとしている。
中長期的には、「企業の賃金・価格設定行動には、従来よりも積極的な動きがみられ」、「賃金の上昇が続く
もとで、人件費や物流費等の上昇を販売価格に反映する動きも広がってきている」、「物価上昇を反映した
賃上げが実現するとともに、賃金上昇が販売価格に反映されていくことを通じて、賃金と物価の好循環は
引き続き強まっていく」としている。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501a.pdf
▽全文
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2501b.pdf

●大学生の就職内定率84.3%、前年同期比1.7ポイント低下/厚労省・文科省調査

厚生労働省と文部科学省は24日、2025年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(24年12月1日現在)を公表した。
大学(学部)の就職内定率は84.3%(前年同期比1.7ポイント低下)、短期大学は65.2%(同1.5ポイント低下)。
文系・理系別(大学)では、文系は84.2%(同2.0ポイント低下)、理系は85.0%(同0.4ポイント低下)。
男女別では、男子は83.3%(同1.7ポイント低下)、女子は85.5%(同1.7ポイント低下)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00052.html
▽公表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001378436.pdf

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【統計】
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●11月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況

内閣府は27日、11月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は前月差1.4ポイント下降の115.4(速報値115.3)で、3カ月ぶりの下降。
基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202411rsummary.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html

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【労使】
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●スポットワークに関する調査2025/連合

連合は23日、「スポットワークに関する調査2025」を発表した。短時間・単発で雇用されるスポットワークで
働く(働いたことがある)15歳以上・1,000名へのインターネット調査。仕事上のトラブルを経験した人は
約半数近い46.8%で、その内容(複数回答)は「仕事内容が求人情報と違った」(19.2%)、「業務に関し
十分な指示や教育がなかった」(17.7%)など。応募する際、雇用、業務委託など契約形態を確認「する
(した)」は60.6%、「しない(しなかった)」は39.4%。就業先からの説明について、業務内容の説明を
どこでも「受けたことがない」は24.5%、労働条件に関する説明をどこでも「受けたことがない」は26.5%。
現行の法制度の規定で労働者を守れるか検証し、ルールを整備していくことや、企業や労働者への
ワークルールの普及・充実が必要、としている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20250123.pdf

●カスタマーハラスメント対策を「実施」の企業は24.3%/経団連調査

経団連は21日、会員企業を対象とした「ハラスメント防止対策に関するアンケート調査結果」を発表した。
カスタマーハラスメントについて、対策を「取りまとめて実施」する企業は24.3%、「取りまとめを検討中」
は18.9%で、4割超の企業が積極的に対策を推進しているとしている。実施している取組み(複数回答)は
「従業員対象の相談窓口の設置」(73.3%)が最多で、「社内向けの対応マニュアルの策定」(61.7%)、
「顧問弁護士・警察等との連携」(60.0%)、「カスハラ発生時の社内体制の構築」(58.3%)が続く。
就活等ハラスメントについて、対策を「取りまとめて実施」する企業は48.2%、「取りまとめを検討中」は
11.7%、「対策が必要と認識するが、対応していない」は20.7%。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/005.pdf

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【判例】
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●限定外職種への配転で賠償命令 元技術職員が逆転勝訴―大阪高裁

滋賀県社会福祉協議会(草津市)が運営する施設で勤務していた男性が、技術職限定との合意があったのに
他の職種への配置転換を命じられたのは違法だとして、同協議会に110万円の損害賠償を求めた訴訟の
差し戻し控訴審判決が23日、大阪高裁であった。中垣内健治裁判長は命令の違法性を認めた上で「男性は
相当程度の精神的苦痛を受けた」として、同協議会に88万円の支払いを命じた。
一、二審は男性の請求を退けたが、最高裁が昨年4月、職種限定合意がある場合は同意のない配転を命じる
権限はないとの初判断を示し、審理を差し戻していた。
中垣内裁判長は、書面での職種限定合意はなかったものの、黙示の合意があったと認定。その上で、
協議会側は職種変更についての説明や同意に向けた働き掛けなど、信義則上尽くすべき手続きを
取っていなかったと結論付けた。
判決などによると、男性は2001年から福祉用具の展示や製作、改造などの業務に携わっていたが、
同協議会は19年に同業務を廃止。男性は総務課への配転命令を受けて撤回を求めたが受け入れられず、その後退職した。
(時事通信)2025年1月23日 ※リンク先なし

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【企業】
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●育児との両立支援への取り組みを強化/三井不動産リアルティ

不動産仲介業等の三井不動産リアルティは23日、仕事と育児の両立支援策の拡充として、2024年度から
小学6年生以下の子がいる社員に対する、日・祝日の出勤日にかかる保育料支援制度を導入し、2023年から
平日が定休日の個人向け不動産仲介の一部店舗で、主に育児・介護中の社員を対象に、日曜に休日取得できる
環境を整備した、と発表した。制度の導入により、ライフイベントに関わらず長く働き続けることができる
環境を整備し、女性活躍を推進するうえでの組織の意識改革を一層進める、としている。
https://www.mf-realty.jp/news/2024/20250123_01.html

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【海外】
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●国別トピック

<アメリカ>
▽SEIUがAFL-CIOに再加盟

SEIUService Employees International Union、国際サービス従業員労働組合、組合員数約200万人)は
2025年1月8日、米国最大の労働組織であるAFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議、組合員数約1,300万人)
に再加盟すると発表した。SEIUは2005年に、労働者の組織化方針の違いなどからAFL-CIOを脱退していた。
SEIUにはサービス業や介護分野の労働者らが加盟している。AFL-CIOではSEIUの再加盟により、団結力や
組織力、交渉力の向上を期待している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/01/usa_03.html

<OECD>
▽5人に1人は低スキル、北欧や日本は高度な能力を保持 ―OECD成人スキル調査

経済協力機構(OECD)は12月10日、「OECD成人スキル調査 2023:(Survey of Adult Skills 2023)」を発表
した。それによると、調査対象にしたOECD加盟国・地域の成人の約5人に1人(18%)が、「読み書き」
「計算」「適応問題解決」という3つの能力すべてで低いスコアにとどまっている。こうした中、北欧諸国や
日本では、これら3つの能力すべての結果が優れていた。また、スキルや教育と労働市場との関係についても
分析している。労働者の約3分の1は、資格、スキル、専攻分野のいずれかと、就いている仕事との間に
ミスマッチが生じており、「仕事に対して過剰な資格やスキルを持ことは、経済的・社会的なコストになる」
と指摘している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/01/oecd_01.html

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【イベント】
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●キャリア支援シンポジウム/北海道大学

北海道大学は3月14日(金)、「キャリア支援シンポジウム~学部から博士まで多様なキャリアパスを
目指して~」を札幌市で開催する。オンライン参加も可能。行政、企業、大学、就職エージェントが
それぞれの立場から、学生のキャリア形成における課題と未来のあり方について議論する。参加無料。
事前申込制で、参加申込締切は3月2日(日)。定員は、会場250名、オンライン参加は定員無し。
https://career-navi.synfoster.hokudai.ac.jp/career-symposium.html

●働く女性のメンタルヘルス講演会/東京ウィメンズプラザ

東京ウィメンズプラザは3月2日(日)、「働く女性のメンタルヘルス講演会」をライブ配信で開催する。
テーマは「“私のストレス”と上手に付き合うセルフケア」。毎日を健やかに過ごすため「自分のストレス」
を理解し、自分にあったケア方法を見つけていく。マインドフルネスの体験もできる。対象は、働く女性、
テーマに関心のある方など。参加無料。要事前申込、申込締切2月25日(火)。
https://www.twp.metro.tokyo.lg.jp/seminar/tabid/529/Default.aspx

●第84回勤労者専門セミナー/経営民主ネットワーク

経営民主ネットワークは2月20日(木)14時から、「第84回勤労者専門セミナー」を東京都千代田区の
連合会館で開催する。講演は「日本における人権デューディリジェンスに関する法制度の在り方―努力義務
でよいのか?」をテーマに、専修大学法学部教授・浜田太郎氏。参加無料、要事前申込(リンク先なし)。
申込先:経営民主ネットワーク jwdnetwork[at]mbr.nifty.com ※[at]を@にご修正ください