■□――【メールマガジン労働情報/No.1993】
ジョブ型人事推進会議を開催、導入企業と意見交換/政府 ほか
―2024年9月11日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】ジョブ型人事推進会議を開催、導入企業と意見交換/政府 ほか
【統計】2024年4~6月期のGDP実質成長率、年率2.9%/2次速報値 ほか
【労使】人事院勧告を踏まえた給与の引き上げや会計年度任用職員の処遇改善など当面の闘争方針を提示
/自治労の定期大会 ほか
【動向】介護ロボット等のテクノロジー活用と介護の質向上に関する調査研究報告を公表/連合総研
【企業】自律的なキャリア形成後押し、「全社員参画型人事制度」を導入/SOMPOひまわり生保 ほか
【海外】雇用労働部が「第7次男女雇用平等及び仕事・家庭両立基本計画」を発表/韓国
【イベント】大会「支援者としての成長を考える~社会的要請に応えるには~」/日本キャリア・カウンセリング学会 ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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★研究員の募集について(2025年度採用)
労働政策研究・研修機構では、【労働法】【労使関係・人事労務管理】【労働経済】の3分野で
研究員を募集します。応募書類の提出期限は2024年10月10日(木)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/index.html
◇「最近の統計調査結果から」(2024年8月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202408.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202408.pdf
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【行政】
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●ジョブ型人事推進会議を開催、導入企業と意見交換/政府
政府は5日、ジョブ型人事推進会議を開催し、ジョブ型人事の推進について導入企業との意見交換を行った。
首相は、「従来の日本の雇用制度の下では、新卒一括採用中心、異動は会社主導で、従業員の意思による
自律的なキャリア形成が行われにくいシステムだった」とし、その結果、「日本企業の競争力維持への
危機感が生まれている」と指摘。このため、「個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、自ら、
職務やリ・スキリングの内容を選択していくジョブ型人事を導入していく必要がある」などと述べた。
政府は8月28日、多様な導入企業の多くの事例を具体的に掲載した『ジョブ型人事指針』を公表した。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202409/05jobgatajinji.html
▽「ジョブ型人事指針」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/jobgatajinji.pdf
●派遣労働者の同一労働同一賃金、労使協定方式での比較対象賃金(25年度適用)を公表/厚労省
厚生労働省は、派遣労働者の賃金について、労使協定方式による場合に比較対象とする同種業務の
一般労働者の平均的賃金額を公表している。派遣労働者の賃金は、賃金構造基本統計調査の職種別
平均賃金、職業安定業務統計の求人賃金に基づく基本給・賞与・手当等(いずれも時給換算額)と
同等以上とする必要がある。比較対象の賃金額は、職種別の基準値(勤続0年)に勤続年数の指数
(1年116.0~20年179.3、全体版p.5)と地域指数(東京112.7~青森84.9)を乗じて求める。例えば、
賃金構造基本統計調査の「介護職員(医療・福祉施設等)」による場合は、勤続0年の1,141円に基づく
勤続1年~20年の額(1,324円~ 2,046円)に、地域指数を乗じた額以上とする必要がある。適用期間は、
2025年4月から2026年3月まで。
▽全体版
https://www.mhlw.go.jp/content/001294217.pdf
▽賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金
https://www.mhlw.go.jp/content/001294218.pdf
▽職業安定業務統計による基本給・賞与等の額
https://www.mhlw.go.jp/content/001294221.pdf
▽地域指数
https://www.mhlw.go.jp/content/001294292.pdf
●経済的虐待が80%超で最多、「使用者による障害者虐待の状況等」結果/厚労省
厚生労働省は4日、「2023年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表した。
障害者虐待防止法に基づき、労働局と都道府県等が把握した状況を取りまとめたもの。
労働基準監督署長の許可を受けずに最低賃金を下回る賃金での支払い、時間外労働への賃金不払いなどの
「経済的虐待」が80.6%に上り、心理的虐待(8.7%)、放置等による虐待(5.1%)等を大きく上回った。
通報等があった事案のうち虐待が認められたのは447事業所(前年度比4.0%増)・761人(同16.0%増)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001298293.pdf
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【統計】
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●2024年4~6月期のGDP実質成長率、年率2.9%/2次速報値
内閣府は9日、2024年4~6月期の四半期別GDP(国内総生産)2次速報値を公表した。
GDP成長率(季節調整済前期比)は、実質が0.7%、年率換算は2.9%で、第1次速報値の年率3.1%から
下方修正。需要項目別では、民間最終消費支出が実質0.9%(前期はマイナス0.6%)、うち家計最終消費
支出(除く持ち家の帰属家賃)は実質1.1%(同マイナス0.7%)で、どちらも5期ぶりのプラス。
雇用者報酬の伸び率は、実質0.8%、名目1.4%。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe242_2/gdemenuja.html
●8月の街角景況感、3カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査
内閣府は9日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2024年8月の
「景気ウォッチャー調査」結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、
前月差1.5ポイント上昇の49.0で、3カ月連続の上昇。企業動向関連DIは低下したが、雇用関連DIが
2.6ポイント、家計動向関連DIが1.8ポイント上昇したことによる。先行き判断DI(同)は、
前月差2.0ポイント上昇の50.3。今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。
先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」と上方修正した。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0909watcher/menu.html
●7月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数速報
内閣府は6日、2024年7月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は117.1
で、前月と比較して3.0ポイント上昇し、2カ月ぶりの上昇。プラスに寄与したのは 「投資財出荷指数」
「商業販売額(卸売業)」「生産指数(鉱工業)」など。マイナス寄与は「 商業販売額(小売業)」など。
一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202407psummary.pdf
●生活保護の保護申請件数、前年同月比7.3%減/被保護者調査(6月分)
厚生労働省は4日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2024年6月分概数)結果を公表した。
保護の申請件数は2万100件で、前年同月比1,581件(7.3%)減。保護開始世帯数は1万7,612世帯で、
同786世帯(4.3%)減。被保護世帯は165万645世帯で、同1,345世帯(0.1%)増。被保護実人員は
201万232人で、同10,331人(0.5%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/06.html
▽報道資料(2024年6月分概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/dl/06-01.pdf
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【労使】
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●人事院勧告を踏まえた給与の引き上げや会計年度任用職員の処遇改善など当面の闘争方針を提示/自治労の定期大会
地方自治体の職員などを主に組織する自治労(石上千博委員長、71万7,000人)は8月29~30日まで、
千葉県千葉市で定期大会を開催した。当面の闘争方針では、秋季・自治体確定闘争の取り組みとして、
人事院勧告を踏まえた給与の引き上げや中堅層の改善、中途採用者の賃金改善、会計年度任用職員の
処遇改善などを提示。組織力向上については、石上委員長が新規採用者や会計年度任用職員なども含めた
組織化の強化を進める考えを強調した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240911a.html
●被災地自治体職員の8割超が地震以降に業務量・労働時間が増えたと実感
/自治労石川県本部の被災自治体メンタルヘルス実態調査
能登地震発生以降、被災自治体で業務量や労働時間が増えたと感じる割合が8割超に――
自治労(石上千博委員長、71万7,000人)の石川県本部が実施した「2024年能登半島地震による
被災自治体におけるメンタルヘルス等に関する実態調査」では、被災自治体職員の過酷な労働実態が
明らかとなった。調査結果によると、退職を考えた人が約6割、精神的不調を訴える人も45.9%に
及んでいる。カスタマーハラスメントについては、7割以上が被害を受けた・見聞きしたと回答。
うち9割以上が復旧・復興の妨げになると感じており、自治労石川県本部は、人手不足の解消と
法的対応も含めた対応の強化を訴えた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240911b.html
●賃金改善額、平均賃上げ額ともに過去最高に/JAMの定期大会
金属、機械関連の中小の労働組合を多く抱える産業別労組、JAM(安河内賢弘会長、36万7,000人)は
8月29日から2日間、東京都内で第26回定期大会を開催した。2024年春季生活闘争総括を確認するとともに、
2023年の定期大会で決定した「2024・2025年度運動方針」にもとづく2025年度活動方針を決定した。
今春闘の賃金改善分の単組平均額は8,030円で、平均賃上げ妥結額は1万1,576円となり、ともに過去最高を
記録した。活動方針では、企業組織の再編などにより、労使関係や組合員の雇用・労働条件に影響が
でている組織が散見されることから、労使対等性など建設的な労使関係の構築を取り組むことなどを補強した。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240911c.html
●賃上げは定昇分込みの加重平均で1万5,878円、5.23%に/フード連合大会
食品関連産業で働く労働者を組織するフード連合(伊藤敏行会長、11万4,000人)は9月2日、
都内で第23回定期大会を開き、今春の賃上げ交渉のまとめを確認した。賃上げ結果は、総額(加重平均)で
1万5,878円、5.23%と、フード連合結成(2002年)以来、最も高い水準。
まとめは、「高い賃上げの流れを多くの組合に広げることができた」などと評価する一方で、
「食品関連産業で働く労働者の相対的地位の向上」に引き続き取り組む姿勢を示している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240911d.html
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【動向】
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●介護ロボット等のテクノロジー活用と介護の質向上に関する調査研究報告を公表/連合総研
連合総研は今般、「介護分野におけるテクノロジーの活用と介護の質向上に向けた調査研究報告書」を公表した。
介護ロボットの実用化は世界でも日本が最先端にあるとされているものの、関連研究はほとんど行われていない
と指摘。報告書は、介護労働を取り巻く状況をデータから確認し、介護ロボットの導入要因や、導入による
介護職員数・労働時間に与える影響などの効果について分析している。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2024/08/210900.html
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【企業】
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●自律的なキャリア形成後押し、「全社員参画型人事制度」を導入/SOMPOひまわり生保
SOMPOひまわり生命保険は6日、2025年4月より、自律的なキャリア形成を後押しする「全社員参画型人事制度」を
導入すると発表した。これまでの会社主導のジョブローテーションに加え、全社員が「目指す自分」を明確に描き、
その実現に向けて主体的に成長し、組織に貢献できる環境を整える。社員は、「他部署チャレンジコース」
「スカウトコース」「マネジメントチャレンジコース」「自部署チャレンジコース」「一般コース」の5コースのうち
いずれかを選択する。
https://www.himawari-life.co.jp/-/media/himawari/files/company/news/2024/a-01-2024-09-06.pdf?la=ja-JP
●「カスタマーハラスメントに対する方針」を策定/松屋フーズグループ
松屋フーズグループは4日、「カスタマーハラスメントに対する方針」策定について発表した。カスハラに該当する
行為例として「過度なクレーム」「理不尽な要求」「暴言・侮辱・暴行」「威嚇・脅迫」「差別発言」「居座り」などを
挙げ、同社がカスハラと認定した場合は「警察と弁護士に相談の上、厳正に対処する」としている。
https://www.matsuyafoods.co.jp/whatsnew/topics/78973.html
●「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定/名鉄グループ
名鉄グループは2日、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を9月1日に策定したと発表した。
対象となるカスハラとして、「身体的、精神的な攻撃」「威圧的な言動、土下座の強要」「継続的、執拗な言動」
「拘束的な行動」などを例示。カスハラに該当すると判断した場合は、「毅然とした態度で対応するとともに、
必要に応じて顧客へのサービス・商品の提供を中止する」とし、さらに悪質な言動や犯罪行為に該当する場合は、
「警察や弁護士とも連携し、法的措置も含めて厳正に対処する」としている。
https://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2024/__icsFiles/afieldfile/2024/09/02/24-09-02cushara.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<韓国>
▽雇用労働部が「第7次男女雇用平等及び仕事・家庭両立基本計画」を発表
韓国政府は8月20日、「第7次男女雇用平等及び仕事・家庭の両立に関する基本計画」(2023~2027年)を
発表した。2027年までに女性就業率(15~64歳)を65%に引き上げることを政策目標に設定し、両親が共同で
子育てを行えるよう男性の育児参加の促進に向けた政策課題を盛り込んでいる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/09/korea_01.html
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【イベント】
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●大会「支援者としての成長を考える~社会的要請に応えるには~」/日本キャリア・カウンセリング学会
日本キャリア・カウンセリング学会は11月23日(土・祝)・24(日)に、第29回大会を現地対面(山梨大学)
およびオンライン参加も可能なハイブリッド形式で実施する。大会テーマを「支援者としての成長を考える~
社会的要請に応えるには~」と題し、傾聴の基本や心理的支援などの実践的な研修会のほか、
昨今の人材開発に不可欠なリスキリングや両立支援を専門家と一緒にシンポジウムで検討する。
さらに「ライブスーパービジョン」など現地のみのプログラムも企画。参加費(非会員)9,000円~11,000円。
https://jacc-conf.info/29th/ticket/
▽大会特設サイト
https://jacc-conf.info/29th/
●「多様な正社員」制度導入支援セミナー/厚労省委託
厚生労働省は9月30日(月)、第1回「多様な正社員」制度導入支援セミナーをオンラインで開催する
(事務局:PwCコンサルティング合同会社)。職務内容、勤務地、労働時間などを限定して選択できる
「多様な正社員」制度についての解説、事例発表、パネルディスカッションと制度導入支援等の紹介を行う。
対象は「多様な正社員」制度に関心のある事業主や人事労務担当者等。参加無料、要事前申込。
また、「多様な正社員」制度導入支援事業では制度導入支援(無料コンサルティング支援)も行っている。
https://tayounaseishainseido.mhlw.go.jp/