■□――【メールマガジン労働情報/No.1992】
「人手不足への対応」をテーマに分析/24年版労働経済白書 ほか
―2024年9月6日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】「人手不足への対応」をテーマに分析/24年版労働経済白書 ほか
【統計】7月の実質賃金、前年同月比0.4%増で2カ月連続のプラス/毎勤統計速報 ほか
【動向】8月の国内景気は2カ月連続で改善、観光産業や製造業がけん引/民間調査
【企業】「カスハラ」対応ポリシーを制定、悪質ケースは店舗出入り禁止も/しまむら ほか
【海外】カードル(経営管理職)はブルーカラーワーカーよりも長生き―INSEE職種別平均余命調査/フランス
【イベント】国際シンポジウム「ビジネスと人権」/国際労働財団 ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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◇「最近の統計調査結果から」(2024年8月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202408.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202408.pdf
★研究員の募集について(2025年度採用)
労働政策研究・研修機構では、【労働法】【労使関係・人事労務管理】【労働経済】の3分野で
研究員を募集します。応募書類の提出期限は2024年10月10日(木)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/index.html
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【行政】
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●「人手不足への対応」をテーマに分析/24年版労働経済白書
厚生労働省は6日、2024年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を公表した。
分析テーマは「人手不足への対応」。人手不足には、需要増加、労働時間短縮、サービス産業化の進展等が
複合的に影響し、2010年代以降の人手不足は、それ以前の「短期かつ流動的」な局面と比べて
「長期かつ粘着的」となり、2023年時点で相当に広い範囲の産業・職業で生じていると分析。
白書では、こうした人手不足への対応には、労働生産性向上の継続的な取組とともに、女性、高齢者、
外国人等の多様な人材が活躍できる職場づくりが重要だと指摘。さらに、介護や小売・サービス等の
人手不足が深刻な分野では、離職率を下げることが重要であり、賃金水準をはじめ労働環境、労働条件の
整備・改善のほか、人手不足の程度に応じて、ICTの活用や機械化の対応も効果的だとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43038.html
▽白書に引用されたJILPTの調査結果
記者発表
『「人手不足とその対応に係る調査――小売・サービス事業所を対象として」(事業所調査)結果
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240829.pdf
●建設業の人材確保・育成の取組み、25年度予算の概算要求/厚労省・国交省
厚生労働省と国土交通省は2日、建設業の人材確保・育成の多角的な取組みに向けて2025年度予算概算要求の
概要を公表した。(1)人材確保、(2)人材育成、(3)魅力ある職場づくり、を重点事項に掲げ、ハローワークの
マッチング支援やハロートレーニング(職業訓練)などの施策を盛り込んでいる。建設業の将来の担い手確保が
急務として、特に若者や女性の入職や定着促進などに重点を置きつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上を
一体として進めていくことが重要としている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42550.html
●第47回「技能五輪国際大会」、フランス・リヨンで開催/厚労省・中央能開
厚生労働省と中央職業能力開発協会は9月10日(火)~15日(日)まで、フランス共和国・リヨンで開催される
第47回「技能五輪国際大会」に、自動車板金、情報ネットワーク施工など47職種・55人を、日本選手団
として派遣する。同大会は、幅広い職種において、原則22歳以下の青年技能者を対象とした唯一の
世界レベルの技能競技大会。職業訓練の振興と技能水準の向上、および国際交流と親善を図ることを目的に
2年に一度開催している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/press202409021400.html
●介護職員の働きやすい職場環境づくり、大臣表彰の受賞者決定/厚労省
厚生労働省は2日、2024年度「介護職員の働きやすい職場環境づくり 内閣総理大臣表彰・厚生労働大臣表彰」の
受賞者決定を発表した。介護職員の待遇改善、人材育成および介護現場の生産性向上への取組が優れた
介護事業者を表彰し、それらの好事例の普及を目的に2023年度より実施しているもの。受賞者(全69事業者)の一覧と
6つの取組事例を紹介している。表彰式は3日に首相官邸で行われた。
▽報道資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001298807.pdf
▽受賞者の取組み事例
https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001295549.pdf
●9月は「職場の健康診断実施強化月間」/厚労省
厚生労働省は、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、労働安全衛生法が義務付けている
一般定期健康診断の実施、結果についての医師の意見聴取、意見を踏まえた就業上の措置の実施について、
集中的・重点的に啓発を行っている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42631.html
●「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表/厚労省
厚生労働省は8月30日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」(2023年8月1日~24年7月31日公表分)を
公表した。都道府県労働局が労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働安全衛生規則等の労働基準関係
法令違反の疑いで送検し公表した内容を集約したもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/001150620.pdf
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【統計】
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●7月の実質賃金、前年同月比0.4%増で2カ月連続のプラス/毎勤統計速報
厚生労働省は5日、7月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比0.4%増(6月は同1.1%増)で、
2カ月連続でプラスとなったが、率は縮小。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比3.6%増の40万3,490円、
うち一般労働者が同3.6%増の52万9,266円、パートタイム労働者が同3.9%増の11万4,729円。
きまって支給する給与は同2.5%増、特別に支払われた給与は同6.2%増(いずれも就業形態計)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2407p/dl/pdf2407p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2407p/2407p.html
●勤労者世帯の実収入、前年同月比5.5%増で3カ月連続の増加/7月・家計調査報告
総務省は6日、7月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は
29万931円、実質で前年同月比0.1%増加。前月比(季調値)は1.7%の減少。
支出項目別でのプラス寄与は、住居(1.07%)、教養娯楽(0.56%)、教育(0.22%)など。
マイナス寄与は、交通・通信(マイナス0.63%)、食料(同0.52%)、光熱・水道(同0.29%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり69万4,483円(前年同月比で実質5.5%増)で3カ月連続の実質増加。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
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【動向】
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●8月の国内景気は2カ月連続で改善、観光産業や製造業がけん引/民間調査
帝国データバンクは4日、TDB景気動向調査(2024年8月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.5ポイント増の44.3となり、2カ月連続で改善。観光産業に加えて半導体関連など
製造業が全体の景況感を押し上げ、外出機会の増加や猛暑、備蓄品の駆け込み需要などで飲食、食品製造
など幅広い業種へ好材料が波及した。他方、台風上陸や南海トラフ地震臨時情報等は下押し要因に。
今後の景気は、「IT関連の投資など好材料も多く、底堅く推移していく」としている。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202409_jp.pdf
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【企業】
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●「カスハラ」対応ポリシーを制定、悪質ケースは店舗出入り禁止も/しまむら
衣料品チェーンストアを展開するしまむらは8月27日、「カスタマーハラスメント対応ポリシー」を
制定したと発表した。カスハラとは、「クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、
該当要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、該当の手段・態様により、
従業員の就業環境が害されるもの」とし、「要求内容が妥当性を欠く場合」「要求を実現するための
手段・態様が社会通念上不相当な言動」「要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合」に分類し、
具体的に例示している。また、悪質な行為があったと同社が判断した場合は、取引停止や店舗等への
出入りを断る場合があるとしている。
https://www.shimamura.gr.jp/assets-c/uploads/release20240827.pdf
●希望退職、100名程度募集を実施/東北新社
総合映像プロダクションの東北新社は8月30日、希望退職者の募集を実施すると発表した。同社では、
構造改革による既存事業の再構築を重要課題とし、事業の環境に合わせた組織・人員の再編成や人事・
評価制度の見直しに取り組んでいる。今回、経営改革の一環として、45歳以上の社員100名程度の
希望退職者を募集する。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2329/tdnet/2497243/00.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<フランス>
▽カードル(経営管理職)はブルーカラーワーカーよりも長生き―INSEE職種別平均余命調査
国立統計経済研究所(INSEE)は7月16日、職種別、学歴別にみた平均余命に差があり、カードル
(経営管理職)とブルーカラーワーカーの差は、男性で約5年、女性で約3年などとするレポートを発表した。
経営管理職とブルーカラーワーカーの差は1990年代以降、男性では縮小、女性では拡大する傾向がみられる。
また、ブルーカラーワーカーが35歳から65歳までに死亡する可能性は、男性では経営管理職の2.5倍、女性では
2倍に及ぶ。過去50年間で管理職は増加し、ブルーカラーワーカーは減少するなど雇用構造が根本的に変化して
いるにもかかわらず、職種間の平均余命の差は依然として顕著なままであることを裏づける結果となっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/09/france_01.html
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【イベント】
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●国際シンポジウム「ビジネスと人権」/国際労働財団
国際労働財団(JILAF)は10月9日(水)、国際シンポジウム「ビジネスと人権~取り組みの加速に向けて
各国労使の対応から学ぶ~」を会場(千代田区)とオンラインで開催する。「労使で取り組むビジネスと人権」
に焦点をあて、各国の取り組み事例を学び、ビジネスにおいてなぜ「人権」が重要かを踏まえ、取り組みに
おける課題や背景について議論し、具体的にはどう進めていくと良いか模索する。基調講演「ビジネスにとって
なぜ人権が大切か?」はJILPT藤村理事長が行う。参加無料。要事前申込、締切は10月8日(火)12時。
https://www.jilaf.or.jp/20240903-4675/
●セミナー「誰もが希望に応じて働き続けることができる雇用環境の整備」/京都勤労者学園
京都勤労者学園は10月に労働関連法セミナー「誰もが希望に応じて働き続けることができる雇用環境の整備」
全3回を会場(京都市中京区)とオンラインで開催する。参加無料、要事前申込(先着順)。
定員は各回とも、会場25名、オンライン30名。各回のテーマは
10月2日(水)「障害者の雇用の現状と就労支援の課題」
10月9日(水)「「人への投資」と「リ・スキリング」による労働者の能力向上」
10月16日(水)「社内外の労働移動に対する労働組合の役割」
https://www.labor.or.jp/gakuen/archives/12076