■□――【メールマガジン労働情報/No.1976】
2024年財政検証の結果公表、年金の「所得代替率」試算示す/厚労省年金部会 ほか
―2024年7月5日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】2024年財政検証の結果公表、年金の「所得代替率」試算示す/厚労省年金部会 ほか
【統計】勤労者世帯の実収入、前年同月比実質3.0%増で20カ月ぶりの増加/5月家計調査報告 ほか
【労使】33年ぶりに5%超えを維持/連合第7回(最終)回答集計
【動向】景気は3カ月連続で悪化、前月比0.2ポイント減/民間調査
【企業】「出産育児祝い金」新設、一子につき200万円支給/タカラトミー ほか
【海外】首都やカリフォルニア州主要都市などで最賃引き上げ―物価上昇に連動、7月から適用/アメリカ
【イベント】「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局 ほか
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【JILPT研究成果情報】
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◇労働政策研究報告書No.231『地方の若者のキャリアの変化と職業意識―北海道・長野調査および東京都調査との比較から―』
地方に住む若者のキャリアと意識について15年ぶりに調査(2022年)し、大都市(東京都)の若者の2021年調査
と比較、分析しました。2022年地方調査では、卒業直後の高卒者正社員比率は東京都よりも高いですが、前回の
地方調査に比べ、男性では正社員比率に学歴による差がより見えるようになり、女性では明確になりました。
また、地方ではハローワークの利用割合は東京都よりも高く、正社員移行の場合もハローワーク等公的支援の
利用割合が高く、地方では若者に対する公的支援は重要な位置を占めていることが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0231.html
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【JILPTからのお知らせ】
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☆『日本企業の能力開発システム──変化のなかの能力開発と人事・職場・社員』刊行!
企業における能力開発は、一連の制度や慣行によって企業内に構築される人事管理体系の一部(サブシステム)
と位置づけられるとともに、人事部門、職場管理者、社員といった能力開発に関わる当事者の取組みや相互関係
の体系として捉えられます。こうした「システム」の視点から、各企業の企業(人事部門)・職場管理者・社員
へのアンケートデータを分析し、変化のなかにある日本企業の能力開発の実態・課題の解明を試みました。
【A5判 325頁 定価:3,300円(本体3,000円)】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/ability-dev-system.html
◇労働政策フォーラムの開催報告を掲載しています
第132回「キャリア形成に寄与する学び直し・リカレント教育」(2024年3月16~19日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240319/houkoku/index.html
第130回「ガイダンスツールを活用した就職相談とキャリア支援」(2024年2月27日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240227/houkoku/index.html
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【行政】
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●2024年財政検証の結果公表、年金の「所得代替率」試算示す/厚労省年金部会
厚生労働省は3日、社会保障審議会年金部会を開催し、2024年財政検証を公表した。年金の給付水準を示す
所得代替率(現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率)は、2024年度の61.2%に対して、
「成長型経済移行・継続ケース」(経済成長率1.1%)では2037年に57.6%となり、24年度(61.2%)と比較
して約6%低下。「高成長実現ケース」(成長率1.6%)では2039年に56.9%(同約7%低下)、「過去30年
投影ケース」(成長率マイナス0.1%)では2057年に50.4%(同約18%低下)などと推計(資料1、p.3)。
財政検証は、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証するため、5年ごとに、国民年金及び厚生年金の
財政の現況及び見通しとして実施。
今回の検証では2024年10月施行の適用拡大(企業規模要件100人超から50人超へ)等の影響を織り込んでいる。
また、検証の前提の一つである将来の就業者数等については、JILPTの「労働力需給の推計」が用いられている(資料1、p.2)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_2024070.html
▽資料1「2024年財政検証結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001270476.pdf
▽JILPT記者発表資料「2023年度版 労働力需給の推計(速報)」(2024年3月11日)
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240311.pdf
●教育訓練費用、「支出した企業」は約5割/厚労省調査
厚生労働省は6月28日、2023年度「能力開発基本調査」の結果を公表した。教育訓練費用(OFF-JT費用や
自己啓発支援費用)を支出した企業は54.6%(前年度比4.3ポイント上昇)。能力開発や人材育成に関して、
何らかの問題があるとする事業所は79.8%(同80.2%)で、主な問題点は「指導する人材が不足している」
57.1%、「人材を育成しても辞めてしまう」53.2%など(概要p.22)。 自己啓発を実施した労働者は
34.4%(同34.7%)で、「正社員」44.1%が「正社員以外」16.7%より高く、性別では、「男性」39.9%が
「女性」28.0%よりも高い(概要p.50~)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00159.html
▽調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/001265204.pdf
●トラック事業者、運賃交渉で「理解を得られた」は53%/国交省調査
国土交通省は6月28日、「標準的運賃」(2020年4月告示)の活用状況等に関するトラック運送事業者
及び荷主企業へのアンケート調査結果を公表した。2023年度に運賃交渉を行ったトラック事業者は約71%
(前回2022年度調査69%)、うち荷主から一定の理解を得た(希望額又は一部を収受できた)事業者は約75%
(同63%)で、全体の約53%(同43%)。「標準的運賃」の8割以上収受できたのは50.4%(同45.3%)。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000303.html
▽概要
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001751425.pdf
●期間業務職員、公募によらない再採用の制限回数を撤廃/人事院
人事院は6月28日、「期間業務職員の適切な採用について」の一部改正について公表した。期間業務職員を
再採用する場合は、勤務実績等により能力を実証できれば原則連続2回まで、公募によらない再採用を可と
していたが、今回、「連続2回まで」を削除する。期間業務職員とは、1会計年度に限って臨時的に任用
される、週当たり勤務時間が職員の4分の3以内の非常勤職員。
https://www.jinji.go.jp/seisaku/kisoku/kaisei/kaisei_tsuuchi/fy2024/gaiyou_r6jinki840.html
●「農業経営人材の育成に向けた官民協議会」を設置/農水省
農林水産省は6月26日、「農業経営人材の育成に向けた官民協議会」を設置、第1回協議会を開催した。
農業者の減少が進むと見込まれる中、地域の農業生産維持のため、農業法人等を中心に、離農する経営の
受け皿となる農業者や付加価値向上を目指す農業者の役割を重視し、農業者の経営管理能力及び農業者を
支援する者の支援能力の向上促進を目的としている。
https://www.maff.go.jp/j/press/keiei/keiei/240626.html
▽「農業経営人材の育成に向けた官民協議会」ホームページ
https://www.maff.go.jp/j/keiei/ikusei_kyogikai.html
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【統計】
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●勤労者世帯の実収入、前年同月比実質3.0%増で20カ月ぶりの増加/5月家計調査報告
総務省は5日、5月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は29万328円、
実質で前年同月比1.8%減少。前月比(季調値)は0.3%の減少。支出項目別でのマイナス寄与は、食料
(マイナス0.94%)、教養娯楽(同0.88%)、光熱・水道(同0.77%)など。プラス寄与は、交通・通信
(0.54%)、教育(0.38%)、保健医療(0.31%)など。勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり50万231円
(前年同月比で実質3.0%増)で20カ月ぶりの実質増加。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
●生活保護の保護申請件数、前年同月比5.9%増/4月被保護者調査
厚生労働省は3日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2024年4月分概数)結果を公表した。
保護の申請件数は2万796件で、前年同月比1,163件(5.9%)増。保護開始世帯数は1万8,833世帯で、
同982世帯(5.5%)増。被保護世帯は164万7,853世帯で、同3,966世帯(0.2%)増。被保護実人員は
201万1,281人で、同7,085人(0.4%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/04.html
▽報道資料(2024年4月分概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/dl/04-01.pdf
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【労使】
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●春闘賃上げ率5.1%、33年ぶりの高水準/連合第7回(最終)回答集計
連合は3日、2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果を公表した。平均賃金方式で回答を引き出した
5,284組合の加重平均は5.10%・1万5,281円(昨年同時期比1.52ポイント・4,721円増)で、第6回回答集計
の5.08%を上回り、最終集計まで5%超えを維持したのは33年ぶり。このうち、組合員300人未満の中小組合
3,816組合の加重平均は4.45%・1万1,358円(同1.22ポイント・3,337円増)。有期・短時間・契約等労働者
の賃上げは、時給は概算5.74%・62.7円(同9.92円増)、月給は4.98%・1万869円(同4,041円増) 。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/kaito/press_no7.pdf
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【動向】
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●景気は3カ月連続で悪化、前月比0.2ポイント減/民間調査
帝国データバンクは3日、TDB景気動向調査(2024年6月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.2ポイント減の43.3となり、3カ月連続で悪化。円安によるコスト負担の高まりや個人消費
落ち込みにより改善が進まなかった。今後は、横ばい傾向で推移するとみている。業界別では、10業界中
6業界(サービス、小売など)で悪化、円安による原材料価の高止まり、人件費増加などが影響。地域別
では、10地域中6地域が悪化、4地域が改善。規模別では、「大企業」「小規模企業」が3カ月ぶりに改善、
「中小企業」は3カ月連続で悪化。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202407_jp.pdf
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【企業】
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●「出産育児祝い金」新設、一子につき200万円支給/タカラトミー
タカラトミーは6月28日、7月1日からの人事諸制度の改定を発表した。主に、ジョブ型人事制度への改定と
両立支援制度の拡充。人事制度では、等級制度を管理職と専門職の複線型職群制度へ変更。報酬制度は
年功賃金要素を払拭、属人的手当を廃止。初任給は大卒で1万円(4.3%)増の24万2,000円に改定。
両立支援制度では、「出産育児祝い金」を新設し、一子につき200万円支給。ほかに育児、介護、不妊治療
などの事情へのセーフティネットとして「ライフサポート休暇制度」を新設。育児、介護休業取得社員の
業務をカバーする社員への「休業・短時間勤務応援手当」の試験導入等を行う。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7867/ir_material1/232495/00.pdf
●新卒採用へ「ジョブ型人材マネジメント」を拡大/富士通
富士通は6月21日、2026年度(26年4月入社)の新卒採用より、「ジョブ型人材マネジメント」の考え方を
拡大し、新たな採用形態へのシフトおよび有償インターンシップの拡充を行うと発表した。一斉入社・一斉教育
の採用形態から、一部の採用コースで適用していた、入社後に各人が担うジョブや職責、Job Description
(職務記述書)に基づく「ジョブ型人材マネジメント」による採用形態へシフトする。初任給も、学歴に基づく
一律の初任給から、26年度新卒採用より、ジョブや職責の高さに基づいて処遇する。また、従来の1~2週間の
インターンシップのほかに、より実践を重視した、専門スキル・経験を積んだ人材向けに1~6カ月の有償インターンシップを拡充する。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2024/06/21.html
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<アメリカ>
▽首都やカリフォルニア州主要都市などで最賃引き上げ―物価上昇に連動、7月から適用
首都ワシントンD.C.やカリフォルニア州の主要都市など米国の一部の州や市・郡が、2024年7月1日に
最低賃金を引き上げた。これらの地方では毎年この時期に、物価の上昇に連動する形などで最賃を
改定している。ワシントンD.C.では時給17.5ドル(2.94%上昇)、サンフランシスコ市では18.67ドル
(3.32%上昇)となった。なお、カリフォルニア州ではファストフード店員を対象にした最賃(時給20ドル)
を別途制定し、2024年4月から適用を開始した。同州ではこのほか医療従事者らを対象にした最賃を設定
したが、州の財政事情などを考慮し、施行を延期している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/07/usa_01.html
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【イベント】
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●「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局
東京労働局は7月19日(金)、「派遣先事業主・責任者研修会」をオンライン(Zoom)で開催する。
派遣労働者を受け入れている(または受入予定の)事業所の担当者向けの内容で、男女雇用機会均等法等の
派遣労働者への適用、派遣労働者と労働基準法等の適用、外国人在留支援センターの紹介など、労働者派遣に
関わる様々なルールを説明する。参加無料。要事前申込。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_20240719_hasaki_00002.html
●「派遣労働者の同一労働同一賃金オンラインセミナー」/東京労働局
東京労働局は7月25日(木)、「派遣労働者の同一労働同一賃金オンラインセミナー~労使協定作成実務~」を
オンライン(Zoom)で開催する。派遣労働者の同一労働同一賃金に関する労使協定の作成方法について、
主に派遣元事業者の労使協定作成実務担当者向けの内容で、誰でも参加可、受講無料。申込専用フォーム
から要事前申込。今後、2025年2月まで毎月1回、同一内容でオンライン開催の予定。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_060725_01.html