■□――【メールマガジン労働情報/No.1961】
今後の労働基準関係法制のあり方、経団連と連合が見解を表明/厚労省研究会 ほか
―2024年5月15日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】今後の労働基準関係法制のあり方、経団連と連合が見解を表明/厚労省研究会 ほか
【統計】正規職員・従業員、前年同期比31万人増/労働力調査・詳細集計1~3月期平均 ほか
【労使】コスト増加分の「4割以上の価格転嫁」ができた企業は50.9%/日商LOBO調査
【動向】景気は2カ月ぶりに悪化、前月比0.3ポイント減/民間調査
【企業】時差出勤、朝活インセンティブ制度を導入/オープンハウス・アーキテクト
【イベント】「男性の家事・育児推進セミナー」/東京ウィメンズプラザ ほか
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【JILPTからのお知らせ】
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★2025年度 職員(事務職員)募集について
労働政策研究・研修機構では、以下のとおり事務職員を募集します。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2024/index.html
★2024年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)
<人事管理・労働経済> 部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門 7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html
◇「最近の統計調査結果から」(2024年4月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202404.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202404.pdf
☆『労働関係法規集2024年版』 好評発売中!
主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html
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【行政】
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●今後の労働基準関係法制のあり方、経団連と連合が見解を表明/厚労省研究会
厚生労働省は10日、労働基準関係法制研究会を開催した。経団連と連合は、今後の労働基準関係法制のあり方に
関する要望や基本的考え方を報告した。
経団連は、テレワーク普及など働き方を巡る環境変化への対応、柔軟な働き方を可能とする労働時間法制が
必要、労働者の健康確保は最優先としたうえで、労使自治を重視し、時代に合った制度見直しを検討すべき、
とした。また、事業場単位の規制を企業単位で手続きできるよう見直しを求めた。
連合は、グローバル化・デジタル化を背景に、働き方の多様化に伴う過重労働リスクがあり、労働基準関係法制が
遵守されていない現状、労働関係法令の保護を受けられない「曖昧な雇用」の就労者の増加をふまえ、
労働基準監督行政の充実・徹底が必要で、労働者・就労者保護の視点で現行法制の見直しを行うべき、などとした。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40163.html
●賃上げ定着のため、労務費の適切な転嫁への取り組み強化を指示/経済財政諮問会議
政府は10日、経済財政諮問会議を開催し、マクロ経済運営や先端技術実装と競争力強化について議論した。
首相は、「賃金や所得の拡大、価格転嫁対策の強化、人手不足への対応に取り組む経済の好循環を実現」、
「賃上げの動きの裾野を広げ、来年以降も持続的なものとして定着させるには、労務費の適切な転嫁や
省力化投資の加速が必要」とし、下請法違反行為への対処、労務費指針の策定を挙げ、「中小企業の声を
踏まえ、官民双方で取り組みを更に強化」すると述べ、骨太の方針の取りまとめに向けて、賃上げ定着への
準備を指示した。また、脱炭素や人口減少・少子高齢化など各分野での課題の解決を経済成長へつなげるため、
「研究開発や人材投資を拡大するとともに、政府調達や規制改革を通じ技術開発を支援し、新技術の社会実装を
加速していく」と述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202405/10keizai.html
▽資料
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0510/agenda.html
●2024年版「中小企業白書・小規模企業白書」を公表/中小企業庁
中小企業庁は10日、2024年版「中小企業白書・小規模企業白書」を公表した。
同白書では、中小企業・小規模事業者の現状と直面する課題、生産性向上や事業継続に欠かせない
資金と人手を確保する取組、支援機関の役割と体制強化等について、20社以上の企業事例を交えて分析。
資料の「概要」では、能登半島地震、コロナの影響、人手不足、賃上げ、価格転嫁など10のテーマ別に
動向を紹介。白書本文ではJILPTの研究成果も活用された。
https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240510002/20240510002.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240510002/20240510002-1.pdf
(活用されたJILPTの研究成果)
▽調査シリーズNo.215『ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成~転職者アンケート調査結果~』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/215.html
▽海外労働情報 22-10『諸外国の雇用維持政策―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス―』
https://www.jil.go.jp/foreign/report/2022/22-10.html
▽資料シリーズNo.217『若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状(3)』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2019/217.html
●「専門職大学院におけるリカレント教育・リスキリングの現状・課題に関する調査研究」報告書を公開/文科省
文部科学省は「専門職大学院におけるリカレント教育・リスキリングの現状・課題に関する調査研究」報告書を
公開している(2023年度委託事業)。専門職大学院におけるリカレント教育・リスキリングの現状把握、課題や
成果、社会人学生や企業等のニーズ・期待等を明らかにするため、専門職大学院、社会人学生、企業に対し
アンケート及びヒアリング調査を実施。社会人学生の比率は高くリカレント教育の場として活用され、また
学生や所属先企業の満足度は高く一定の成果はあるとしつつ、(1)教育とニーズの乖離、(2)仕事と学習の
両立、(3)費用負担、という課題も判明したとしている。
https://www.mext.go.jp/content/20240426-mxt_daigakuc01-000035614_1.pdf
●国家公務員の人事管理の在り方に関する中間報告を提出/人事院
人事院の人事行政諮問会議は9日、国家公務員の人事管理の在り方に関する中間報告を提出した。
採用試験申込者数の減少や若年層の離職増により、人材確保は危機的な状況にあり、対症療法的な方策では
対応不可で、これからの取るべき対応として(1)主体的・意欲的に働くための「行動規範」の明確化、
(2)職務ベースの報酬設定、能力主義の徹底、(3)自律的なキャリア開発と成長支援、(4)勤務環境の
整備と採用手法の改善、を挙げ、各府省のニーズにより、順次、柔軟に施策導入することを提言した。
本中間報告を契機とする関係各方面での議論を踏まえつつ、最終答申に向けて更に議論を深める、としている。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2405/shimon_chukan.html
▽人事行政諮問会議:中間報告
https://www.jinji.go.jp/civilservicehrmadvisoryboard/index.html
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【統計】
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●正規職員・従業員、前年同期比31万人増/労働力調査・詳細集計1~3月期平均
総務省は14日、「労働力調査(詳細集計)」結果を公表した。2024年1~3月期平均の役員を除く雇用者は5,736万人。
うち、正規の職員・従業員は前年同期比31万人増の3,599万人で、4期連続の増加。非正規の職員・従業員は、
同25万人増の2,137万人で、9期連続の増加。非正規として働く理由は、「自分の都合のよい時間に働きたい
から」が746万人(同54万人増)、「家計の補助・学費等を得たいから」が354万人(同13万人減)。
「正規の職員・従業員の仕事がないから」は184万人(同27万人減)。失業者は193万人(同3万人減)。
失業期間別にみると、「3カ月未満」は79万人(2万人増)、「1年以上」は58万人(1万人減)。
就業者6,714万人のうち、追加就労希望就業者は176万人(同11万人減)。非労働力人口4,069万人のうち、
潜在労働力人口は33万人(同1万人減)。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/2.html#latest
▽結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf
●二人以上世帯の消費支出、前年同月比1.2%減/3月家計調査報告
総務省は10日、3月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は31万8,713円、
実質で前年同月比1.2%減と13カ月連続の減少。前月比(季調値)は1.2%の増加。支出項目別での
マイナス寄与は、光熱・水道(マイナス1.26%)、教養・娯楽(同0.58%)、住居(同0.32%)など。
プラス寄与は、食料(0.5%)、交通・通信(0.5%)、教育(0.38%)など。勤労者世帯の実収入は、
1世帯当たり51万3,734円(前年同月比で実質0.1%減)で18カ月連続の実質減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
●街角景況感、前月差2.4ポイント低下/4月景気ウォッチャー調査
内閣府は10日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2024年4月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差2.4ポイント低下の47.4で、
2カ月連続の低下。雇用関連DIは同2.5ポイントの低下。家計動向関連、企業動向関連のDIも低下。
先行き判断DI(同)は、前月差2.7ポイント低下の48.5。今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調が
続いているものの、このところ弱さがみられる。また、令和6年能登半島地震の影響もみられる。先行きに
ついては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0510watcher/menu.html
●3月の景気動向指数、基調判断は「下方への局面変化を示している」で据え置き/景気動向指数速報
内閣府は9日、2024年3月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は113.9で、
前月と比較して2.4ポイント上昇し、3カ月ぶりの上昇。プラスに寄与したのは 「生産指数(鉱工業)」
「投資財出荷指数 (輸送機械を除く)」「耐久消費財出荷指数」「有効求人倍率(学卒除く)」 など。マイナス寄与
は「商業販売額(小売業)」「商業販売額(卸売業)」。一致指数の基調判断は「下方への局面変化を示している」として据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202403psummary.pdf
●生活保護の保護申請件数、前年同月比4.6%減/2月被保護者調査
厚生労働省は1日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2024年2月分概数)結果を公表した。
保護の申請件数は1万8,427件で、前年同月比891件(4.6%)減。保護開始世帯数は1万6,912世帯で、
同386世帯(2.2%)減。被保護世帯は164万9,681世帯で、同6,768世帯(0.4%)増。被保護実人員は
201万7,260人で、同4,353人(0.2%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/02.html
▽報道資料(2024年2月分概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/dl/02-01.pdf
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【労使】
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●コスト増加分の「4割以上の価格転嫁」ができた企業は50.9%/日商LOBO調査
日本商工会議所は4月30日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」4月調査結果を発表した。
トピックスの「コスト増加分の価格転嫁の動向」によると、「価格協議が実施できた」企業は73.7%。
2023年10月調査から0.7ポイント低下したものの、依然として高水準であり価格協議が浸透しているとしている。
コスト増加分の「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業は50.9%(前回調査から4.4ポイント減)。一方、
労務費増加分を4割以上転嫁できたのは33.9%(前回調査比0.8ポイント減)で、低水準で推移している。
業況DI(全産業合計)はマイナス14.0で、前月比1.1ポイントの低下。円安基調や人手不足、輸送費上昇、
賃上げ等によるコスト増に、価格転嫁も追いつかず、中小企業の業況は再び悪化した、としている。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2024/04/LOBO202404.pdf
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【動向】
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●景気は2カ月ぶりに悪化、前月比0.3ポイント減/民間調査
帝国データバンクは7日、TDB景気動向調査(2024年4月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.3ポイント減の44.1となり、2カ月ぶりに悪化。急速な円安の進行やコスト負担の高まりが
収益環境を悪化させ、2カ月ぶりに後退。今後は、為替レートに不確実性はあるが、賃上げなどにより緩やかな
持ち直し傾向で推移するとみている。業界別では10業界中6業界で悪化、原材料価の高止まり、不十分な
価格転嫁などが影響した。地域別では10地域中6地域が悪化。規模別では、「大企業」「中小企業」
「小規模企業」が2カ月ぶりにそろって悪化。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202405_jp.pdf
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【企業】
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●時差出勤、朝活インセンティブ制度を導入/オープンハウス・アーキテクト
住宅等建設業のオープンハウス・アーキテクトは4月25日、「時差出勤制度」「朝活インセンティブ制度」を
2024年2月から本格導入したと発表した。「時差出勤制度」は、前日までの申請・承認で、翌日の勤務開始時刻を
「6時」から「8時30分」(部署により「10時」)まで30分単位で選択できる制度。開始・終了時刻を変動し、
効率的な働き方を目指す。対象は正社員のみ、1日の所定労働時間(9時より18時まで)は変更しない。
「朝活インセンティブ制度」は、時差出勤制度利用かつ9時前に勤務開始した場合、30分当たり300円の手当を
支給。朝方勤務へシフトすることで、全体的な労働時間の短縮を目指す。建設業界の人材不足が深刻化する中、
長時間労働の是正や多様な働き方への仕組み作りのため、としている。
https://oha.openhouse-group.com/workstyle-system2024/
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【イベント】
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●「男性の家事・育児推進セミナー」/東京ウィメンズプラザ
東京ウィメンズプラザは6月16日(日)・23日(日)に、「男性の家事・育児推進セミナー」を開催する。
先輩パパの体験談や育業の取り方の解説、家事・育児分担を考えるワークなどを通し、育業をきっかけに
男性がより主体的・継続的に家事や育児を担えるようになることを目指す。1日のみの受講も可。参加無料。
▽6月16日(日)「先輩パパが語る!育業のススメ」ウェビナーによるライブ配信。申込締切6月10日(月)。
▽6月23日(日)「話して納得、わたしたちの子育てライフ」会場(渋谷区)開催。定員60名。申込締切6月19日(水)。
https://req.qubo.jp/ikugyou/form/devotion
●テレワークセミナー/東京テレワーク推進センター
東京テレワーク推進センターは5月21日(火)にセミナー「最新セキュリティ事故から学ぼう! ミニマムコスト
のテレワークセキュリティ強化策」をオンライン及び会場(文京区)で開催する。参加無料、要事前申込。
定員はオンライン300名、会場15名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent