■□――【メールマガジン労働情報/No.1960】
3月の実質賃金、前年同月比2.5%減で24カ月連続のマイナス/毎勤統計速報 ほか
―2024年5月10日発行――――――――――――――□■
┏━━━━━━━━┓
本号の主な内容
┗━━━━━━━━┛
【行政】賃金と物価の好循環などにより物価上昇基調/日銀・展望レポート(24年4月) ほか
【統計】3月の実質賃金、前年同月比2.5%減で24カ月連続のマイナス/毎勤統計速報 ほか
【労使】中小組合の賃上げは平均4.66%、全体では5.17%と高水準/連合第5回回答集計 ほか
【動向】賃金増加幅が物価上昇幅より「大きい」は6%台にとどまる/連合総研調査 ほか
【企業】特定技能制度を活用した労働者採用/関電工 ほか
【イベント】「日本の外国人労働者政策に関する国際シンポジウム」/社人研・OECD共催
━━━━━━━━━━━━━━
【JILPTからのお知らせ】
━━━━━━━━━━━━━━
★2025年度 職員(事務職員)募集について
労働政策研究・研修機構では、以下のとおり事務職員を募集します。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2024/index.html
★2024年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)
<人事管理・労働経済> 部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門 7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html
◇「最近の統計調査結果から」(2024年4月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202404.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202404.pdf
◇『日本労働研究雑誌』2024年5月号を刊行しました!
特集「ジェンダー平等における「公正」と「経済合理性」」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2024/05/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2024年5月号を公開しました!
「介護離職をなくす」
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/05/index.html
◇労働政策フォーラムの開催報告を掲載しています
第129回「仕事と介護の両立─介護離職ゼロに向けた課題─」(2024年2月1~5日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240205/houkoku/index.html
フォーラム 池田講師著書・労働関係図書優秀賞受賞『介護離職の構造─育児・介護休業法と両立支援ニーズ』
https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/04/index.html
━━━━━━━━━━━━━━
【行政】
━━━━━━━━━━━━━━
●賃金と物価の好循環などにより物価上昇基調/日銀・展望レポート(24年4月)
日本銀行は4月26日、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」(2024年4月)を発表した。
「政策委員の大勢見通し」では、2024年度の消費者物価指数を2.8%とし、前回(1月)から0.4%引き上げた。
「基本的見解」では、消費者物価の基調は「賃金と物価の好循環が引き続き強まることにより、「物価安定の目標」
と概ね整合的な水準で推移する」とみている。また、企業の賃金・価格設定行動については「本年の春季労使交渉
では、昨年を上回るしっかりとした賃上げが実現する可能性が高い」「賃金の上昇を販売価格に反映する動きも
強まって」おり、「物価上昇を反映した賃上げが実現するとともに、賃金上昇が販売価格に反映されていくことを
通じて、賃金と物価の好循環は引き続き強まっていく」(5頁)としている。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404a.pdf
▽全文(4月30日掲載)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2404b.pdf
●船員の労災・海難防止や労働環境向上の取り組み募集/国交省
国土交通省では、船舶所有者、船員等を対象として、船員の労働災害(災害・疾病)及び海難防止、労働環境向上
に関する取り組みを募集している。優れた取り組みは2024年度「船員安全・労働環境取組大賞(SSS大賞)」
として「船員労働安全衛生月間(9月)」に表彰、同省HPで公表するとともに、9月に全国各地で実施する
「船員災害防止大会」等でのPRや、ロゴマークの使用ができる。募集期間は6月14日(金)まで。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji04_hh_000297.html
●デジタル推進人材育成のためのデータ付きケーススタディ教材を提供/経産省
経済産業省では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、ビジネスの現場における課題解決の実践を通じた能力を
磨くため、デジタル推進人材育成プログラム「マナビDX Quest」で活用した、データ付きケーススタディ教材を
教育機関・企業等に提供している。昨年度からの教材2つに加え、新規事業創出・組織変革の疑似体験の教材を
追加した。教材は実際の企業のAI実装を疑似体験学習できる内容や、データ駆動型の変革推進の疑似体験を行う
ため課題・目的の設定・絞込みから解決の仕方までを学べるものとしている。
https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240423002/20240423002.html
━━━━━━━━━━━━━━
【統計】
━━━━━━━━━━━━━━
●3月の実質賃金、前年同月比2.5%減で24カ月連続のマイナス/毎勤統計速報
厚生労働省は9日、3月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額は、就業形態計で前年同月比0.6%増の30万1,193円、うち一般労働者が同0.8%増の38万6,795円、
パートタイム労働者が同2.5%増の10万8,036円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った
実質賃金は、前年同月比2.5%減で、2月の1.8%減より拡大した。減少は 24カ月連続。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2403p/dl/pdf2403p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2403p/2403p.html
●3月の完全失業率2.6%、前月と同率/労働力調査
総務省は4月30日、2024年3月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季調値)は2.6%で、
前月と同率。完全失業者数は185万人(前年同月比8万人減)で、2カ月ぶりの減少。就業者数は6,726万人
(同27万人増)で20カ月連続の増加。雇用者数は6,080万人(44万人増)で、25カ月連続の増加。
正規従業員数は3,602万人(同11万人増)で5カ月連続の増加。非正規従業員数は2,131万人(同30万人増)で
7カ月連続の増加。
同日公表された2023年度平均の完全失業率は2.6%で、前年度と同率。完全失業者数は178万人で、前年度と同数。
▽3月結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
▽3月概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
▽2023年度 結果の概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nendo/pdf/gaiyou.pdf
●3月の有効求人倍率1.28倍、前月比0.02ポイント上昇/一般職業紹介状況
厚生労働省は4月30日、2024年3月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.28倍で、
前月と比べ0.02ポイント上昇。新規求人倍率(同)は2.38倍で、前月比0.12ポイント上昇。新規求人(原数値)
は、前年同月比で7.4%減。産業別では、増加したのは学術研究、専門・技術サービス業(1.6%増)、減少した
のは製造業(10.8%減)、生活関連サービス業・娯楽業(10.5%減)、教育・学習支援業(10.5%減)など。
同日公表された2023年度平均の有効求人倍率は1.29倍で、前年度(1.31倍)に比べ0.02ポイント低下。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39833.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001249393.pdf
●定年後再雇用の基本給時間単価、6割の企業が「50~80%未満」/中労委調査
中央労働委員会は4月30日、2023年「賃金事情等総合調査」を公表した。
賃金事情調査によると、所定内賃金は38万1,300円(男女計・産業計平均、2022年調査比6,700円増)、
所定外賃金6万5,300円(同1,700円増)。出向制度があるのは125社(回答した161社中77.6%)、うち手当制度が
あるのは79社(制度ありのうち63.2%)。別居(単身赴任)手当制度があるのは149社(回答した161社中92.5%)、
配偶者との別居条件を問わず支給は53社(制度ありのうち35.6%)。
退職金、年金及び定年制事情調査によると、定年後再雇用の労働条件では、基本給時間単価は「50%以上80%未満」
が95社(再雇用制度ありの149社中63.8%)、「50%未満」が28社(同18.8%)等となっている。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/index.html
▽調査結果の概要
(賃金事情調査)
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/dl/03.pdf
(退職金、年金及び定年制事情調査)
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/dl/07.pdf
●4月の消費者マインドの基調判断、「改善している」で据え置き/消費動向調査
内閣府は2日、2024年4月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数(二人以上の世帯、季調値)」は
38.3(前月比1.2ポイント低下)。同指数を構成する意識指標は4つとも低下し、「耐久消費財の買い時判断」
31.8(同2.2ポイント)、「暮らし向き」」36.1(同1.4ポイント)、「雇用環境」44.2(同0.8ポイント)、
「収入の増え方」41.1(同0.4ポイント)。消費者マインドの基調判断は、「改善している」で前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
▽統計表等
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html
●3月の鉱工業生産3.8%上昇も、基調判断は「一進一退ながら弱含み」で据え置き/鉱工業指数速報
経済産業省は4月30日、3月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。
生産指数(季調値)は前月比3.8%上昇の101.1で3カ月ぶりの上昇。業種別で上昇したのは「自動車工業」
「生産用機械工業」「電子部品・デバイス工業」等。低下は「鉄鋼・非鉄金属工業」「無機・有機化学工業」
「その他工業」等。出荷は100.0で前月比4.3%・3カ月ぶりの上昇。在庫は1.1%の上昇。在庫率は7.1%の上昇。
基調判断は、「総じてみれば、生産は一進一退ながら弱含んでいる」として据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202403sj.pdf
●こどもの数は1,401万人、43年連続の減少/総務省統計局推計
総務省は4日、5月5日の「こどもの日」にちなんで、2024年4月1日現在のこどもの数(15歳未満人口)
の推計を発表した。それによると、こどもの数は1,401万人(対前年33万人減)で43年連続の減少。こどもの
割合は11.3%(対前年比0.2%減)で50年連続の低下。都道府県別では、こどもの割合は沖縄県(16.1%)が
最も高く、秋田県(9.1%)が最も低くなっている。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/pdf/topics141.pdf
━━━━━━━━━━━━━━
【労使】
━━━━━━━━━━━━━━
●中小組合の賃上げは平均4.66%、全体では5.17%と高水準/連合第5回回答集計
連合は8日、2024春季生活闘争 第5回回答集計結果を公表した。平均賃金方式で回答を引き出した3,733組合の
加重平均は5.17%・1万5,616円(昨年同時期比1.50ポイント・4,693円増)で、第4回回答集計の5.20%増と
ほぼ同水準を維持した。このうち、組合員300人未満の中小組合2,480組合の加重平均は4.66%・1万1,889円
(同1.31ポイント・3,561円増)。全体も中小組合も、比較可能な2013年以降で最も高い水準。中小の奮闘で
定昇除く賃上げ分3%超えが続く、としている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/kaito/press_no5.pdf?104
●「労務費を含む適切な価格転嫁」を根付かせよう/連合系メーデー
連合などのメーデー中央大会実行委員会は4月27日、東京都渋谷区の代々木公園で第95回メーデー中央大会を
開催した。連合会長は、2024春季生活闘争について、大企業から中小企業にわたる高い賃上げ実現に触れ、
「労務費を含む適切な価格転嫁」という商習慣を根付かせようと呼びかけた。昨年に続き、首相が出席し
「今年、物価上昇を上回る所得の実現」、「来年以降、物価上昇を上回る賃上げ定着」などについて述べた。
参加者数は2万8,800人(主催者発表)。
▽連合ニュース
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2108
▽首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202404/27meidei.html
━━━━━━━━━━━━━━
【動向】
━━━━━━━━━━━━━━
●賃金増加幅が物価上昇幅より「大きい」は6.6%/連合総研調査
連合総研は4月26日、第47回「勤労者短観調査」(勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査)の
首都圏・関西圏版分析結果を発表した。1年前と比較した賃金収入の変動幅と物価上昇幅の差について、
賃金の増加幅が物価上昇より「大きい」と回答した割合は6.6%(前回2023年10月調査は6.9%)、
「小さい」は60.0%(同58.7%)。就業形態別では、賃金の増加幅が物価上昇より「大きい」と回答した
正社員は7.3%、非正社員は5.0%(5頁)。また、1年前と比べた賃金収入の増減D.I.(増えた-減った)は、
正社員8.6、非正社員0.7で、いずれも7期連続上昇(8頁)。
なお、今回調査では、職場の人手不足感、業務繁忙によるストレス等のトピックスの調査結果も掲載している。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/50645803abbffd526c4902d16b5089a690e581e7.pdf
▽集計表
https://www.rengo-soken.or.jp/work/tankan/
●「出世したいと思わない」は48.2%/民間調査
ソニー生命保険は4月18日、2024年春から働き始める社会人1年生と就職後1年経過した社会人2年生
(計1,000人)の金銭事情、仕事観などに関する「社会人1年目と2年目の意識調査」結果を発表した。
将来、どの役職まで出世したいかについて「課長」12.4%、「部長」18.4%、「役員」13.7%、「社長」7.3%で、
「出世したい」(計)は51.8%、「出世したいと思わない」は48.2%。社会人2年生の女性では「出世したいと
思わない」が63.6%と、他の層と比べて高かった。
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2024/nr_240418.html
▽調査結果PDF版
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2024/files/240418_newsletter.pdf
━━━━━━━━━━━━━━
【企業】
━━━━━━━━━━━━━━
●特定技能制度を活用した労働者採用/関電工
関電工は4月18日、特定技能制度を活用し、建設分野の「特定技能1号」試験に合格した14名のフィリピン国籍
の技能労働者を屋内線技能職社員として採用したと発表した。電気工事も特定技能制度の対象になったことを
受けて採用。新入社員と合同の導入研修を実施、10月に各支店へ配属された後は、照明器具取付作業等の現場実習を
行う予定。建設業就労者の減少が確実視される中で、生産力強化に向けた労働力の確保とダイバーシティ・
エクイティ&インクルージョンの推進を進め、魅力ある建設業をめざす、としている。
https://www.kandenko.co.jp/news/2024/post_5.html
●アルムナイ(退職者)専用サイトを導入/タイガー魔法瓶
タイガー魔法瓶は4月22日、「タイガー魔法瓶アルムナイネットワーク」を導入すると発表した。同社は
2017年に、仕事と家庭の両立の観点から退職した社員のキャリア継続支援のため、「カムバック制度」を導入
しており、今回、専用サイトを新設するとともに、対象を従来の「カムバック制度」より緩和し、アルムナイは
いつでもネットワークに登録可能とした。登録条件は、同社に1年以上在籍し、育児、介護、配偶者転勤、
転職等の自己都合退職者で、短期的に再入社を検討していなくても登録可。アルムナイと中長期的に優良な
関係を構築し、多様な人材の活躍による企業価値の向上を目指した環境整備を進める、としている。
https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/newsroom/editorial/corporateinformation_20240422/
━━━━━━━━━━━━━━
【イベント】
━━━━━━━━━━━━━━
●「日本の外国人労働者政策に関する国際シンポジウム」/社人研・OECD共催
国立社会保障・人口問題研究所は5月30日(木)、「日本の外国人労働者政策に関する国際シンポジウム」を
対面(東京都港区)およびオンラインで開催する。OECD共催。日本の外国人労働者政策について
国際比較の視点から両者が実施した共同研究の成果を報告。技能実習や特定技能といったマニュアル
ワークを始め、「技術・人文知識・国際業務」等の高度専門職、またそのステップとしての留学生など、
日本で働くことにつながる広範なルートを含む包括的なレビューとなっている。
パネル討論には、経団連、日本商工会議所、連合、厚生労働省の担当者も登壇。参加無料。同時通訳付。
https://www.ipss.go.jp/int-sem/j/sympo240530j.html